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缶詰10万食

「王都の騎士団より、缶詰を大量に購入したいと連絡がありました」


商人さんの店に来ている。

いつもの品卸しと、買い物、それと。


「えーと、10万個の注文っす。栄養価の高いものを4種ほど、4等分でとの要望っすね」


「10万か。前金はあるよね?ってか商人さん、この子誰?」


15歳ぐらいの、小綺麗な男の子。身長は170ぐらいか?髪は白で肩までまっすぐ伸びている。100人いたら95人はイケメンと答えるイケメンだ。


「こいつはアレンって言って、新しく雇った従業員です。孤児院で見かけて雇ったのですよ。威圧無効、話術のスキルがありましてね、2号店に置く教育中です。」


2号店?初めて聞いたけど。

まぁ、この店はこの国で一番成長が著しい商店と噂になってるからね。そのうち商会とかになるかも。商人さんは、俺の卸す品に頼ってるうちは急ぎすぎないようにするって言ってるけどね。


「ども、アレンっす。女神様に誓って、商品の出処は死んでも明かさないのでよろしくっす。」


「ああ、ユウスケです。よろしく。こっちはソニア、あれは夏美、あっちがテレシア。店の前にいるのがアイスウルフのヴァン。」


「ああ、ホワイトウルフじゃないんすね、あの子。」


今回はアイスウルフのヴァンの餌をどうするかの相談も兼ねてた。結局、アマソンで肉を食わせてたら大丈夫って結論なんだけど。


「で、缶詰10万個ね。だいたい1缶3銅貨で、10万かけて30金貨が原価です。いくらで売るんです?」


「元々缶詰は薄利多売にしてますから、原価3銅貨に売価5銅貨です。なので50金貨…なのですが、先方は倍で買うとおっしゃってまして。」


倍でか。白金貨をだすと、そう言ってるわけか。

こっちは金さえあれば用意できるし、問題ないんだけど。


「裏はないですか?」


「黒い裏は見えないですね。近々、魔物の領域に踏み込む予定だそうで。人の領域を越えた後の食料、だと考えます。」


ああ、じゃあ問題ないか。

この国は、南は海、北は魔物の領域になっていて、海は航海ができる程度には安全なので島々との交流があったりする。北は人が住めないほどに危険で、度々強力な魔物が攻め入ってくる。なので、要所には対魔物用の要塞があったりするのだが。

今回は、要塞の向こう側まで領域を広げようと言うのだろう。新たな要塞を建てるのかもしれない。


「あくまで、まずは10万個っすよ。また注文はくるっすから。」


「間を空けずに卸して、いろいろ怪しまれないですかね?」


「ああ、うちは特殊な古代遺産を持っていて、それを使って商品を生み出してるとか噂されてますし、古代遺産ともなれば誰も真偽はわかりません。狙われるとしても私だけでしょうね。」


うーん、商人さんが狙われても困るんだけど?


「私が居なくなっても、アレンが後を継ぎます。心配ないですよ。」


覚悟を決めてる顔。そういう顔に弱いんだよなぁ。


「じゃあ、俺の取り分はいつも通りで。でかい取引のお祝いに、ステーキでも焼きますか?」


「おおっ、噂のすてーきを食べれるんすね!楽しみっす!」


「では、中庭でどうです?ばーべきゅーとやらで食べましょう!」


「あら、お話はおしまいでして?」


「ステーキって聞こえたんだけど。なに、ここで食べてく感じ?」


「あ、ヴァンちゃんつれてきますぅ」







「ワンッ」


「待て。いい子だ。もうちょっと冷めてから食うんだぞ。」


ステーキを焼いた。13枚焼いた。

商人さんとアレンに2枚ずつ、俺とソニアと夏美ちゃんが1枚ずつ、テレシアが3枚、ヴァンに3枚。

ちなみに全部国産ブランド牛だ。高いよ!!

店は定休日なので、高いワインも振る舞った。

夏美ちゃんと俺はチューハイだね。テレシアはビール。

ヴァンには犬用ミルクだ。この大きさでまだ3ヶ月ほどだそうで、まだデカくなるらしい。今でもデカイぞ?


「いやぁ、このソースは美味いっすね!これだけでも飲めるっすよ!」


「アレン君、それ実際やってみると、すぐ飽きるんだよ」


「まじっすか夏美さん!ユウスケさん、このソース売ってくれないっすか?」


「ああ、余ったやつあげるよ。ちびちび舐めてると飽きにくいぞ」


やっぱり、ソースだけでもいけそうってのはみんな思うんだな。

たしかに焼肉のタレは栄養価抜群なんだけど。ステーキソースも似たようなもんかね。


「このソースと焼肉のタレというのは卸して貰えますか?」


「ええ…種類がこんなもんです。値段も違えば味も違いますけど、とりあえずこれはサンプルで差し上げます。また後日、卸す数を言ってください。」


「ありがとうございます。アレン、ユウスケさんとの取引は、いつもこんな感じだ。原価は驚くほど安いが、売値は自分で決めなければいけない。基準がウチしかないからな。しっかりと見極めて、最大限の結果を目指せ。幸いなことに、仕入れられる数に限度はないようですからな、ユウスケさん。」


「ええ。必要なだけ売りますよ。俺のためにも、頑張って2号店持ってくれよ?」


「うっす!今後ともご贔屓によろしくっす!」


威勢のいい子は好きだぞ!

とりあえず今日の分のお話は終わったので、デザートを食べてお開きにした。

アレンは商人さんと同じく、モンブランにハマったようだ。

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