セルフ海鮮丼
「どんぶりの魚はなにがいい?」
宿に戻り、部屋に備えられている湯沸かし場で米を温めている。
今日はいつもよりいい米を買った。どんぶりのためだ。
「魚は食べたことないですぅ」
「そうなのか。あ、っていうかあっちの魚はわかんねぇか。」
ということで、とりあえず、サーモンとイクラとネギトロ、ウニを買う。全部高いやつ!特にウニ。今日だけ、今日だけ特別に、一箱2万円のを全部乗せちゃう。
うわぁ、贅沢すぎる!二度とできない!前世だと最後の晩餐みたいなもんだよ!
あとは、いい感じの醤油と山葵を購入。
皿に醤油を垂らして、買ったものをテレシアに食わせてみる。
「これがサーモン、これがウニ。ウニはどちらかというと貝なのかな?でこれがイクラ。イクラはサーモンのたまごだね。ネギトロはマグロってやつをミンチにしてネギ混ぜたやつ」
「ん、んん〜〜!!美味しい〜〜!!…これ、全部乗せたら、だめですかぁ?」
全部だと…!
そうなると、サーモン、イクラ、ウニ、マグロの他にも乗せたくなるよね。
とりあえずはマグロの中トロを購入。
ホタテ、エビ、ハマチ…ああ、めんどくせえ!
「セルフ丼にする!好きなもん好きなだけのせろ!」
ということで、海鮮を片っ端から購入。最悪、俺が全部食えるから問題ない。
…ウニの追加分は一箱1万のやつね。2万の壁は高い。
「あ、私蟹味噌食べてみたかったんだよねー」
「蟹味噌なら毛ガニのがいいかな。ほれ。」
「わー!前世で終ぞ食べられなかったものが簡単に手に入るなんて…!」
「いやまあ、町に戻ったら働いてもらうからね?」
「チーズケーキを所望しますわ!」
「食ってからだよ!ケーキもいろいろ買うからな」
「あ、これおいしいですぅ」
「それは馬刺しだ。あれ、馬刺しとか買ったっけ」
「え、ユウスケ君、デュラハンが馬食べてもいいのかな?」
「なに言ってんの夏美ちゃん………あほんとだ。え、テレシア、それ馬だけど大丈夫?」
「あ、デュラハンの馬はアンデットなのでぇ、生きてる馬はどちらかというと敵なのですぅ」
「馬を食べるなんて、なんて猟奇的な文化ですの………あ、美味しいですわ。歯応えがあって良いですわね。」
「あ、そのウニ俺のだからダメ!一箱2万すんだぞ!」
「ユウスケ君のケチ!今日死んだ人にそれはないでしょ!?」
「俺だって死んだよ!知らん間にな!」
「やっぱりウニも美味しいですねぇ」
「おいシレッと持ってくなテレシア!!減ってる!20銅貨分減ってる!!」
「ふう…お酒はありませんの?」
「ああもう飲まなきゃやってらんねぇわ!!高いの買ってやるよ!!」
「え、それ、10万ぐらいするんじゃないの…?」
「おうおう、好きなだけ飲めもう!ウニも追加だよ!」
「豪胆なユウスケさん、かっこいいですぅ〜」
「そうだろうそうだろう!だからそれは俺のウニだって言ってんじゃねぇの!?新しいの出したからそっち食べな!?」
「ふぅ…サカナにあいますわね。」
「なんでみんな俺の箱からウニとってくの!そこにあんじゃんか!」
「はい、お酌しますよ?」
「え、夏美ちゃんもう酔ってる?大丈夫?」
「あ、ちょっと気持ち悪……い………」
「あ、まって!ソニア、連れてってやれ!」
次の日。
今日は大学にお邪魔する日だ。
「気持ち悪い」
「飲み過ぎではなくて?」
テレシアと夏美ちゃんは宿で留守番だ。飲み過ぎの二日酔い。
ちなみに出した海鮮は全部食ったよ、みんなで。
朝にカロリーゼリーとドリンクをいくつか買って置いてきたから、帰る頃には立ち直ってるだろう。多分。
あんなにはしゃいだのはいつぶりか。
冒険者になりたての頃の、参加したパーティが大物を仕留めた時以来か。結構最近だな?
ともかく、日は頂点、昼真っ盛りの王都を大学に向けて歩いている。
周りの喧騒が頭に響くが、嫌な感じはしない。
「ヒールで治らんかね?」
「治りますわよ?」
…ヒール。
帰ったら二人にもかけてあげよう。
1時間ほど歩いて、国立大学の前。
やはりここもでかい。でかさこそ正義みたいなところあるよねこの国。
門兵に身分証明書を提示して入る。本館の事務室に紹介状を見せればいいんだったな。
門を潜ってからから、校舎らしき建物までは結構距離がある。
まっすぐ石畳が敷かれていて、左右には広い庭。噴水などがある。
眺めながら歩いていると、右の庭からものすごいスピードでなにかが走ってくるのが見えた。
「あれなんだ?」
「あれは…ウルフ系の魔物ですわね?」
狼かぁ。結構なスピードで俺に向かって一直線だけど、大丈夫なのかな。
「ぶつかるかな」
「避けなきゃぶつかりますわ」
…避けるか。避けれるか?あれ、はやい。思ったより早い。避けてるのにルート変えやがった!
「当たりにきてんのかあいつ!」
やべ、ヒールの準備して、受身…噛まれたらやべぇぞ!!
………あれ
「…なにしてんの」
「ワンッ」
わんじゃねぇよ犬っころ。
「あら、アイスウルフですわね。珍しい。」
「…いや、びっくりした。なんだ、ぶつかんないのか。」
なんでそんな全力で走ってきたんだろ。ネームドではないし、言葉がわからん。犬みたいだな。
「で、こいつどうしたらいいと思う?」
「中まで連れて行ったらいいのではなくて?」
たしかにそうだな。
「じゃあ、アイスウルフよ、とりあえず付いてきてくれ。言葉わかるか?」
「ワンッ」
ああ、わかるんだ。よかった。
というわけで、二人と一匹で正面の本館に向かう。
ウニ食べたい




