日本人とデュラハン
「ということで、こちらが新しく仲間になった、夏美ちゃんだ。夏美ちゃん、この子は吸血鬼の真祖、ソニアだ。」
「よろしくお願いしますの、ナツミ。」
「え、ええ。よろしくお願いします、ソニアさん。」
女神様直々の祝福の付与やその他雑事を終えて、ソニアの分も終わらせてとりあえず神殿の部屋を貸してもらっている。
この部屋には三人。俺と、ソニアと、新しくこっちにきた夏美ちゃんだ。
「じゃ、細かい自己紹介でもしようか。まず、夏美ちゃんは俺の冒険者パーティに入ってもらう。これは女神様が言ってたからいいよね?」
「うん。ていうかユウスケくんの能力から離れるなんてあり得ない。」
「そ、そか。じゃあまず俺から。異能はネットショッピングとツブヤキッター、魔法は聖属性と無属性。武器はショートソードと盾かな。他の武器使ったことないんだけどね。」
「次は私ですわね。吸血鬼の真祖なので、吸血鬼が出来ることは全てできますわ。魔法は闇と毒、あとは火を少々。武器は一応、このナイフですわ。」
ソニアの武器は、アマソンで買った。黒色でちょー渋いやつ!
闇魔法は音を消したり光をゆがめたり、隠密に長けた魔法だ。ソニアぐらいになると、影に潜んだりできるそうだ。
毒魔法は人間は使えない。毒持ちの魔物も毒魔法を使っているわけではなく、魔法にまで昇華させられるのは上位の一部の者ぐらいだそうだ。
「えー、私は夏美、18歳。向こうでは弓道をしてました。異能はスナイパーと、敵対魔法無効。スナイパーは射出したものが届く距離なら必中するそうよ。魔法は火、氷、土、雷。武器は多分、弓とかがいいと思います。…これでいい?」
「ああ、じゃあよろしくな。」
必中とかまさに異能って感じじゃんか。魔法も全部射出できそうなのだし。これぞチート!ってやつ。
仲間でよかったよ、ほんとに。敵で出てきたら降参するわ。
「さてじゃあ、次の用事を済ませるかな」
「次は孤児を見るのですわよね?」
「え、なに?孤児引き取るの?」
「たぶんな。」
女神様曰く、気にいるだろう子がいるから連れて帰ってあげて、だそうだ。
「こちらが神殿孤児室です。成人までは神殿の雑用をこなして貰い、敬虔な子はそのまま教会関係の仕事につくこともあるのですよ。」
へえ、思ってたより普通の部屋だ。
みんな普通。幼稚園とか小学校を見てるようだ。
これ別に俺が引き取らなくても良いのでは?
「まずはお掛けください。テレシア、お客様にお茶を。」
テレシアと呼ばれた少女は、見た目15歳ごろ。こっちの成人が15だから、そろそろここを出る頃の子かな。
「お茶を待ってる間に…まずは、女神様直々の祝福、おめでとうございます。」
「ああいえ、女神様の慈悲によるものですので。」
「ええ、ええ。しかし、女神様が直々に祝福なされたのは今代の王以来でして。公にはしませんが、名誉なことなのですよ?」
そもそも女神様に連れてこられたわけだしな。でもこれで、女神様の祝福と加護を持ってることになる。違いはわからんけど。
「お茶をお持ちしましたぁ」
「ああ、テレシア…ゆっくり運ぶのですよ?」
「ゆっくりですよぉ?」
テレシアちゃんはおっとりとした話し方だ。
髪は銀、目は青。首にはチョーカー。
ゴスッ
「あ、ああほら、また首を落とした。動かないで、お盆をとるからね」
で、首が取れる、と。
「へぇ、デュラハン…」
「ええ。幼い頃に引き取りまして。両親もデュラハンで、騎士団所属だったんですよ。10年ほど前のスタンピードで前線に投入され、一騎当千の活躍の末に変異種に討たれたのです。」
人間よりも強いネームドの、更に上位の二人はまさに一騎当千で、それはもう鬼神のような活躍だったそうな。だが相手は大群、亜種や変異種なども多く紛れていたそうで。それらは元の種よりも非常に凶悪で、それらに気付くのが遅れてしまったと。
「この子も両親のように、力強く逞しいのですが…なにぶん、ドジというか、抜けてるところがございましてね。なかなか目が離せないのですよ」
たしかにドジだ。首が落ちた時はびっくりした。淹れてくれたお茶は美味いが。
「テレシアちゃん、両親の名は覚えていますの?」
ソニアが口を開く。ソニアは他所だとあんまり口を挟まないんだけど、口を開いたらなにかびっくりするようなこと言うからなぁ。
「ええ。母はミシェル、父はアークハルトですよぉ」
かっけぇ名前だな父ちゃん…
「アークの子、なのね。ユウスケ、この子の能力は保証しますわ。連れて帰りましょう?」
「え、急だなぁ。どうした?」
「アークは私の教え子ですの。嫁ができたといって居なくなったのですけど、まさか子を放ってくたばってしまったなんて…」
ここにもソニアの繋がりがあるのか。
やっぱ長生きさんは違うなあ。
「ということなんだけど、どうかな、テレシアちゃん?」
「…パパやママのように、なれますかぁ?」
「どうなのソニア」
「テレシアちゃん、貴女には両親から引き継いだ、一騎当千の力があるはずですの。それが開花すれば、両親より…アークより、強いデュラハンになれますわ。」
「…なら、連れて行ってください。パパを越えたい。」
強い意志を宿した目。さっきまでの穏やかな雰囲気は霧散し、真剣なのが伝わってくる。
「というわけで、テレシアちゃんを連れて帰りたいんですけど、大丈夫ですかね、シスターさん?」
「ええ、もちろん。女神様もそれをお望みでしょう?資金援助は」
「あ、資金援助はいいです。結構稼ぎあるんで」
「…では、援助に充てる資金は、寄付という形で神殿で頂戴いたしますね。テレシア、幸せになるのよ?それと、後で祝福を受けに行きなさい。」
「シスター、今までありがとうございますぅ。たまに遊びにきますねぇ」
「ええ、いつでも待ってるわ。皆に、女神様の微笑みがありますように」
「じゃ、とりあえず宿を取り直すか。」
今日だけで二人も仲間が増えた。
当分はこういうことないだろうし、先払いみたいなもんだろ。
どっちも可愛いし、俺としては一向に構わない。
「二人分追加で払って、ひとつのベッドに二人ずつ寝ればよろしいのではなくて?」
「たしかにベッドはでかいけど、誰が俺と寝るんだよ」
「私に決まってますわ」
ソニアならいいや。夏美さんとテレシアちゃんだと理性が大変そうだからね。
「今日は疲れたし、どんぶりにしようかなー」
「私はさーもんといくらのどんぶりが良いですわ!」
「あ、私はネギトロ丼がいいなー」
「んー?どんぶりってなんですぅ?」
「テレシアは帰ってから教えてあげるからな。」
俺はウニ丼にしよう。
前よりいいウニ買うぞー!
切断…じゃなくて、接続面は黒い靄で見えません




