ドワーフにカレーを
「この『カレー』とやら、美味いな。『マヨネーズ』があうわい」
俺は今、『ドラゴンの鉤爪』という鍛冶屋にきている。
あの鍛冶師さんのお店だ。
これがまた、デカい。店内広々、三階建て、商品豊富。
安いのからえげつないのまでいろいろ置いてる。
カウンターの奥に飾られてる、本物のドラゴンの鉤爪にはびっくりしたね。
で、昨日作ったカレーをお裾分けにきた。
商人さんには昨日の夜に渡してきた。あの人にはもっと甘口にしないといけない。
結構余ったので、弟子さん達にもお裾分けした。
辛いのが好きな人には辛いソースを渡した。レトルトカレーとこのソースも売り物にできそうだなぁ。
「さて、美味いもんをありがとうよ。…この前の話もな。実は試作ができたんだ。見ていけ。」
この前の、とは。ああ、ステンレスの話かな?
ステンレスで剣とかはさすがに無理そうだけど、どうなんだろうか。剣に良さそうな合金も調べてみようかな。
「これが、試作の包丁だ。配合はただしい筈だが、強度がまだ足りない。お前んとこの包丁のほうが質は高い。」
ふむ、よくわからんけど悔しそうな顔してる。
量産品より、職人の手作りのほうが質がよくなるらしいんだけど、まだその域に達せてないってこと?
「うーん、この本を訳してくれる人がいればいいんですけどねぇ。」
「…知り合いに、そういうのが好きな学者がいるんだが、その本をそいつに任せて見る気はないか…?」
学者さん?言語学者とか、異文化学者とか、暗号学者とかなのかな?
この鍛冶師さんの知り合いなら、悪い人でもなさそうだし。俺にも益はあるだろうし。
「ええ、構いませんよ。どうせなら鍛冶の本をあと数冊と、ほかの分野のも訳してもらいたいなぁ」
「…ああいうのがまだたくさんあるのか?」
「え、ええ。まぁ。いろいろ集まるんですよね。ええ。」
ちゃんと選んで訳してもらわないと、酷い文化破壊とかもありうるなぁ。
「紹介所を書く。いつでもいいから王都に行って、そこの大学に行ってくれ。俺からそいつに手紙も送っておく。王都に行く前に一声かけてくれ。手土産も持って行ってほしい。」
お、王都の大学かぁ。
ていうか大学とかあるんだ。この町では教会で子供が教育を受けてるんだけどね。
朝は教会、昼から家の手伝いってのが基本なようで。俺もたまに、文字の勉強に紛れ込んだりしてる。まだ自分の名前しかかけないけど。
王都、近いうちにいくか。家で留守番してるソニアにも話さないとな。
「では、近いうちに王都へ。5日後ぐらいですかね。」
「わかった。3日後には手土産を作り終えておく。…カレー、美味かったぞ。」
「ええ、また持ってきますね。」
よーし、旅の準備をしましょうか!




