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行き倒れの行商人



「大丈夫ですか?」


俺たちは今、街道の端にいる。

町から2時間、南の方に進んだところの岩場にいるという魔物のフンの採取依頼のために町を出たのだが。

歩いて1時間半のところで、道の端に倒れている人を発見。

背囊があるから、行商人とかかな?南にも村とか町はあるらしいけど。

ともかく、倒れてる人を放っておくわけにもいかず。

ヒール系をかけて、様子を見てるところだ。


「なんだろう、疲労かな?」


「空腹とかじゃありませんの?」


ソニアはあまり興味がなさそうだ。出来ることもないし、周りの警戒だけお願いしてる。


「う…っ……」


お、動いた。生きてるようだ。よかった。

とりあえず背囊をはずして、仰向けにする。

うつ伏せだとわからなかったけど、イケメンだわこいつ。


「大丈夫ですかー??」


「あ……水………」


水て。砂漠の行倒れみたいだな。

とりあえず希望通りに、ペットボトルの天然水を飲ませる。




「くっ、うっ、あ、ありがとうございます。死ぬかと思いました。もうちょっとで女神様のご尊顔を拝めるところでした。そこだけは惜しかった。」


生き返った行商人は両手を床につけて礼をする。

まあ、命を救ったわけですからね。水で。

どうやら隣町から一週間ほどなにも食ってないらしく、町に戻ったら店を構える予定だったようで。

飯食えないのに店たてるのもどうなのって感じなんだけどさ。知り合ってしまったわけだし、飯でも出してあげようかな。で、あわよくば卸先にしよう。


「命を救ったわけだから、ふたつぐらい、言うこと聞いて貰ってもいいよね?」


「……そう、ですね。それがスジですよね。」


警戒されたなぁ。当たり前か。








「女神様に誓って、この事は他言無用にします。絶対に。そして、ありがとうございます。」


ちょっと贅沢に和牛のステーキを食べさせて、デザートも食べさせた。

いや、デザートは無いはずだったんだけどね、ソニアが食べたいっていうから。行商人はチーズケーキ、俺とソニアはモンブランとチョコケーキ。

やっぱりソニアはチーズケーキのほうがいいらしい。

で、いろいろ買えるのを実践して、店を持ったら卸先になってくれと頼んだわけ。

塩や砂糖、香辛料が格安で入手できるってことで、二つ返事で了承を貰った。

俺の取り分は、原価と、売り上げの3割。

500円のものが1銀貨で売れたら、3500円が俺のものになるのかな。

貰いすぎな気もするけど、向こうがいいっていうならいい。ていうかホクホク顔だよ行商人さん。

女神様に誓って不正はしないって言うから、俺も女神様に誓って他の商人には卸さないって言っちゃった。

この誓いの時に行商人が青く光った気がしたんだけど、なんだろう?


「女神様より、スキルが下賜されました!!」


どうやら世界一可愛い女神様が行商人にスキルを与えたらしい。

これって俺のせい、なのかな?


「話術、心理術、鑑定、洗脳耐性、毒耐性、カリスマ…え、こんなに?いいの?女神様?」


どうやらいっぱいもらったらしい。

でも多分、こんなのは片手間なんだろうな。

あたふたしてるのを眺めていると、ソニアも青く光った。


「な、私もですの??え、えぇ〜〜…」


どうやら女神様の片手間のついでにスキルが与えられたらしい。


「吸血鬼能力補正、血液操作、魅了、怪力、眷属召喚、夜目、飛行………あら、成人までの期限つきですわね」


さすが女神様、期限つきの付与も片手間らしい。

多分、全盛期に近い動きができる、のだろう。知らんけど。


ともかく、これでお金稼ぎの目処がたった。

冒険者も続けるけど、お金の心配が減るのは嬉しいね。

もうちょっと贅沢できるのが楽しみだ。



行商人にはうちの住所を教え、別れることにした。

俺たちはまだ依頼の途中だしな。

今週中には店を構えるそうなので、帰ったらいろいろと商品を置いてあげよう。最初は売れてからお金を貰う形になるかな。


「さて、じゃあ、採取いこうか。」


「夜にはチーズケーキを所望しますわ。」

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