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6話(中)

6話(中) 一進一退の死闘2


再びラプラタの前甲板VLSからSA-N-20ミサイルが放たれたるとそれに続いてサン・ファンとサン・ルイスのVLSからも同ミサイルが放たれたのである。


SA-N-20またの名をS-300Fフォールト。その管制システムはロシアいや旧ソビエト連邦が80年代の終わり頃にアメリカの艦隊防空用の長射程ミサイルSM-2MR/ERに対抗すべく開発した長射程ミサイルで、射撃統制システムについてもアメリカの開発したイージスシステムと同じ様に電子捜査(フェイズド・アレー)式の射撃統制レーダーを用いて6つの目標に対して同時攻撃が可能な優れものである。と言うよりイージスシステムに先駆けて複数目標に対する同時攻撃を可能とした優秀な防空システムである。

なお、このラプラタが搭載するタイプは誘導の途中段階で母艦の誘導電波を必要とするセミ・アクティブ誘導とデータリンクこそ繋いであるものの、基本はミサイル自身の持つレーダーによって自動的に誘導されるアクティブ誘導に切り替える事が出来る最新型である。


閑話休題。S-300Fミサイルの射撃統制装置は英側の放ったソードフィッシュミサイルと同ミサイルを流用した自律式電波妨害装置の違いを何とか見分けるも、それに逆探により対空ミサイルの飛来を捉えたソードフィッシュミサイルは更に高度を下げ、自律式電波妨害装置の内、1発は妨害電波をバッテリーが許容する最大の出力まで上げてミサイルのルートを狂わそうとする。


だがラプラタの放ったS-300は先に妨害装置搭載のソードフィッシュミサイルを撃墜する様にプログラミングされており、見事に妨害電波を排除したのである。


そして低空レーダーなどを用いて海面反射(シークラッター)効果などでメインレーダーが捉え辛く、一時に見失いかけていたソードフィッシュミサイルを再びラプラタは見つけ出し、フォールトミサイルは弾頭のレーダーによってソードフィッシュミサイルを捕捉し、命中ルートへと入る。


そしてその数秒後、3隻からそれぞれ6発、計18発のフォールトミサイルはソードフィッシュミサイル5発を撃ち落としたとは言え、残った3発はミサイルの迎撃をすり抜けてポート・スタンリーに設置された地対空ミサイル発射装置と空港に程近くに建設されたばかりの兵舎と空中で炸裂した1発からばら蒔かれた散弾によって物資を運ぶ為に着陸したばかりの4機のベネズエラ空軍所属のAn-12輸送機を物資共々破壊したのである。


とは言え戦局は依然として五分と五分であり、物資はややアルゼンチン側が余裕を持っていたものの、英国側は既に英領であるサンドイッチ諸島に徴用した多数の貨物船を集めて兵站の拠点にし始めていたので今後は英側優勢になると言われている。


死闘はまだまだ続きそうだ。

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