2話
2話 激戦、総督の覚悟
2020年7月25日0800
マルビナス諸島
同諸島総督府
「閣下、既に敵は東島への上陸を開始しました。それに我が空軍の早期警戒管制機は既に敵戦闘機部隊及び洋上のミサイル駆逐艦からの攻撃を浴び撃墜、更に戦闘機部隊も戦闘に続く戦闘で弾薬が尽き、3機が既に撃墜されてしまいした……………」
そう参謀の大佐が言うとこの諸島の総督である元陸軍少将のエドワード・スティーブン卿が「とは言え私はすべての住民の無事を確認するまで逃げる訳にはいかない。それはジョンソン君、君も同じだよ」と言う。
すると参謀のジョンソン大佐は「その通りですね。私の敬愛する日本のジェネラル・栗林(※1)は硫黄島の戦いで最後の最後まで自分の信念を貫いて戦い抜き、そして戦死しましたが、その姿こそが軍人のあるべき姿です」と続き、更に諸島駐在英軍司令官のウォーレン空軍少将が「うむ。島民を護る事が我々の役目だからな……………その通りだ」と続く。
……………島内某所
「おい、大丈夫か?」
ある英軍所属の三等兵曹が聞くと血塗れの耐Gスーツの男、空軍所属の中尉は口から血を吐きながらも「お、お………おぅ。俺は大丈夫だ。兎に角、アイツの事を…………」と言うが、腹部からは腸が出ており、左目の周囲は赤黒くなっていたのである。
明らかに彼は大丈夫ではなさそうだ。そして更に向こうの方を見ると上半身が無くなった耐Gスーツの男が倒れていた。
「クソッ、何て様だ!」
三等兵曹がそう言うと遥か遠くから上空を聞き覚えの無い旧ソ連いやロシア製の大型ヘリが飛来するのが見えたのである。
「このクソヤロウが!」
しばらくするとその三等兵曹はそのヘリが小翼に搭載する対戦車ミサイルが放たれたのを見ると走り出すが、ミサイルは逃げようとした場所に着弾、そのまま彼は爆風に巻き込まれて木端微塵に粉砕されたのである。
それからしばらく間を置いてから別の3機のロシア製ヘリ、それもMi-26と呼ばれる大きな輸送ヘリが地上に降り立ったのである。
そしてその中からアルゼンチンとは違う国の国旗の腕章を付けた兵士が出て来たのである。
そしてヘリの前で男が「良いか?この戦いは俺らの兄弟達の土地を帝国主義者から取り戻す正義の戦いなんだから絶対に負けてはならんぞ!」と言う。
すると部下たちは一斉に男に敬礼し、
さっきの男の名はホセと言い、ベネズエラ陸軍の援ア部隊の小隊長を務める大尉だ。
「良し。行くぞ野郎ども!」
ホセがそう言うと彼の部下はAK-74アサルトライフルや、RPG-7などのロケットランチャーなどを持ち、一斉に英軍陣地の方角に走っていくのであった。
英軍陣地
「来たぞ!おいジョン、カール・グスタフを寄越せ!」
ある少尉がそう言うとある一等兵曹が迫撃砲をその少尉に渡す。
「よし…………撃てぇ!」
少尉がそう言うと迫撃砲がホセ達へと向けて放たれる。
そして……………「弾着ぅう!」
観測員がそう言うと爆煙が敵兵の近くに立ち昇ったのである。
「おぉ!良いぞ良いぞ!」
先程迫撃砲を放った少尉がそう言うと彼は第二射目の装填を命じるが……………
「少尉、危ないです!」
ある兵曹長がそう言うと少尉を押し倒す。するとさっき別の場所で英兵を対戦車ミサイルで木端微塵にしたのと同じヘリ、すなわちMi-35(※2)と呼ばれる強襲ヘリから12.7㍉4連装機銃による機銃掃射がなされたのである。
………………30秒後
「はぁはぁはぁ……………助かった!おい、兵曹長、お前は大丈夫か?」
少尉がそう聞くとさっきの兵曹長は「はい。大丈夫ですよ」とすぐに答えたのである。
「長い戦いになりそうだな」
少尉はそう言うと持っていた水筒に入っていた紅茶を飲み、敵がいる方角を見つめるのであった。
ちなみにこの男、捕虜にはなったものの、友軍が救出に来た際に英雄的な行動をおこすことなるが、その一方で自分が捕虜だった時の敵歩哨を逆に捕虜した際に加えた暴行などの大きな議論を呼ぶ事を島内での作戦中に引き起こした。
だが、捕虜だった時に彼も暴行されていたとはいえ、極めて良く訓練された軍隊においても捕虜への虐待時たまとは言え発生したことでこの戦争の大義名分を論議を巻き起こすことになったのである。
(※1)ジェネラル・栗林
大日本帝国陸軍の誇る名将、栗林忠道中将の事
(※2)Mi-24/35ハインド
ロシアの兵員輸送ヘリと攻撃ヘリが合体したヘリのこと。
簡単に説明すれば空飛ぶ歩兵戦闘車のことで、強襲ヘリとも言う。