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1話

電子レンジ先生に描いて頂いた美しいイラストに大興奮しています!!


あ、空母ハリー・トルーマンとなっていますが、実際の空母トルーマンはハリー・S・トルーマンなので…………


因みに私のほか作品でも登場する護衛艦ふそうやむさしはこのイラストの船ですw

1話 各国の反応


2020年7月25日ロンドン

0500、首相官邸

「ふわぁぁ……まったく、明日はよりによって会議かよ……さて、資料でもさっさと書き終わらすか………」

フォークランドで空戦が発生したのとおなじ頃、リチャード・トンプソン首相は明日の会議の為の資料を作り終わらすべく執務室に入ったそう次の瞬間、ある秘書官が息を切らせながら「そ、総理、大変です!」と目の前にやってきた。


すると総理は「どうした?」と聞き返す。すると秘書は「アルゼンチンがフォークランド諸島への侵攻を開始しました!」と続く。すると総理は落ち着いた声で「わかった。プリマスの空母プリンス・オブ・ウェールズを中心とした空母機動艦隊と揚陸部隊を今すぐ出撃させろ」と言うと秘書官は「わかりました」と続き、首相はそれに続いて「それと今すぐ貨物船や客船を徴用しろ」と言う。一方で首相はTVを見たり、省庁の次官補から情勢の説明を聞いたりし、状況把握をしようとしていた。


同時刻プリマス

多数の海軍航空隊と一部空軍所属のF-35B(ライトニングⅡ)JSF(JSF=統合(Joint)打撃(Strike)戦闘機(Fighter))を乗せた(Royal)海軍(Navy)の誇る最新鋭の空母プリンス・オブ・ウェールズにその護衛艦であるサンプソンシステムと英仏伊の共同開発したミサイルを搭載したミサイル駆逐艦ドーントレスとディフェンダーに、高性能対空誘導弾(シーセプターミサイル)を搭載した準防空駆逐艦とも言えるミサイルフリゲートフッド、レパルス、ロドネー、ウォースパイト及び原潜アンソン、オーディシャスなどが早朝にも関わらず手や英国国旗(ユニオン・ジャック)や海軍旗を振る大勢の国民や軍楽隊の演奏に見送られ出港しようとしていた。


挿絵(By みてみん)

フォークランドへ向かうべく英艦隊が出撃した38年前のあの日と同じ光景であった…………


東京、12:00

市ヶ谷、国防省大臣執務室

「国防長官、さきほどアルゼンチン軍がフォークランドへ侵攻を開始しました。それで首相より内戦などが発生した場合はブエノスアイレスに在住する邦人の脱出のために自衛隊が出動出来る様に防衛出動準備の命令が下りました」

そう秘書官が言うと総理と親しい軍事評論家で、突如、防衛大臣に抜擢された野島卓二が「わかった。取り敢えず環太平洋合同演習(RIMPAC)(※1)に参加予定でハワイにいる航空機搭載護衛艦かがと護衛艦むさしとさみだれ及びあきづき、輸送艦くにさき、補給艦ましゅうを米本土に向かわせ、護衛艦ちょうかいと潜水艦そうりゅうはそのまま参加する様に海幕に伝えとく」と続く。


すると秘書官は「わかりました」と続き、お辞儀をして大臣室を退出したのである。

挿絵(By みてみん)

その数時間後、ハワイに停泊していた護衛艦むさしは記念館となった戦艦ミズーリの前を通り過ぎ、真珠湾を出港、さみだれ、あきづき、くにさき、ましゅうを率いて待機場所であるカリフォルニアへと一路向かったのである。

挿絵(By みてみん)

とは言え、フォークランド戦争が終わってからもアルゼンチンの治安は安定しており、日本政府が想定していた最悪の事態は結局、発生しなかったのでそれらの話が存在したこと自体が機密情報として永久に葬り去られたのである。


ワシントンD.C、01:00

「ジョンソン君、今日も遅くまで感心だな……どうしたのか?」

アメリカ合衆国第49代大統領のジム・フォールスがそう言うとジョンソン大統領補佐官が「はい、1つ悪い報告があります」と続くが、ジョンソンは冴えない表情を浮かべていた。


それを見た大統領は「ジョンソン、何があった?またロシアの連中(イワンの馬鹿)が何かやったのか?」と言うとそれに対しジョンソン補佐官は「いえ、またもアルゼンチンがフォークランドに対して侵攻し始めました」と続く。


すると大統領は「なるほど。それはな大変だ…………とは言えどちらも我が国にとって重要な友好国である。特に英国とは第2次世界大戦が終わってから長年に渡って外交・軍事において緊密かつ強力な関係を築いてきた。だが、アルゼンチンを始めとした南米諸国も我が国にとって重要な国であるのは違いない。なので南米諸国の反米感情を高めない為に我が国としてはアルゼンチンへの制裁を科さないのは大事だが、しばらくは武器の販売は取りやめとこう」と続き、ジョンソンも頷く。


しばらくして大統領は「取り敢えず今日中にノーフォークに向かっている空母(ハリー・トルーマン)機動部隊ないし強襲揚陸艦(レキシントン)(※2)揚陸部隊を南大西洋に進路を変更する様に伝えておけ」と言うと更に「もしもベネズエラの軍事政権が動くと厄介だしな」と続くとジョンソンと国防次官補が頷く。

挿絵(By みてみん)

だが大統領は一方で、この紛争は両国の外交的努力で解決してもらいたいとも思っており、溜め息交じりに独り言をぶつぶつと呟いていた。


モスクワ、07:00

大統領官邸執務室

「で…………アルゼンチンが。そうか、わかった。ありがとう。では同国大使に我が国の衛星が撮影した写真を渡しておけ」

小柄ながらも殺気に満ちた男がそう言うと怯えた様な声で秘書官が「わかりました」と続く。


殺気に満ち溢れた男はリシャール・ラスプーチンと言い、情報将校を20年近く務めた後に政治家に転身。それから20年近くずっと世界最大の国であるロシア連邦の大統領を率いてきた男の中の男である。


彼は3年から5年前にあった露中戦争を中国を平和維持活動が必要なレベルの内戦寸前のレベルまで追い込んだ上でロシアを勝利に導き、クリミア問題でも欧米の経済制裁によって支持率を大幅に伸ばし、その後のロシア経済を回復させたなどソ連/ロシア史上最も優れた指導者とも言える名指導者であり、今回の紛争についても中立を表面上は保っていても裏ではアルゼンチンに軍事援助を実施。クリミア紛争の報復に近い事を英国に対して実施していたのである。


もっともロシア以外にも仏独などが中立を保つと宣言していたが、アルゼンチンの旧宗主国であるスペインは国民の中に欧州統合こそ進んだとは言え、やはり根強い反英感情があるという事もあって、英国とアルゼンチンの外交努力による解決を望むと表明した程度にとどまったのである。


そして日本もアルゼンチンと同じく南米の国々であるブラジルやペルーなどに多くの日系移民が在住し、そして在日外国人としてそれらの国の人びとが住んでおり、南米諸国との関係悪化を避けるべく、英国とアルゼンチンの外交努力による解決を望むと表明していた。


むろん、これらの事は既にアルゼンチンにも伝わっており、アルゼンチン大使館は出来る限りはやめに日本国民を陸路でブラジル避難させると表明していた。


そう艦隊の派遣とは陸路で邦人を隣国ブラジルに脱出させる為の陸路が何らかの事情で使えなくなった時に歩兵部隊などで救出し、艦艇でブラジルまで移送する為の言う保険案であった。


もっともアルゼンチン政府も諸外国がその国のアルゼンチン在留民を救出する為に航空機や船舶を派遣する事を許可しており、もう片方の当事者である英国政府も同じくその計画を把握しており、米、仏、独、伊なども同じような計画を立てていたのである。日本政府は既に多くの日本国民がフォークランド戦争後の騒乱などに備えて既にサンパウロへと脱出する様に勧告していたので混乱なく多くの邦人が脱出することに成功していた。


更に幸運ではあったのはアルゼンチン内戦が発生しなかったことであったが、それはまた別の話である。

(※1)RIMPAC=環太平洋合同演習

1960年代の終わりから米豪加などを中心に行われている西側の合同軍事演習で、日本は1982年に護衛艦ひえい、あまつかぜの参加を皮切りに参加している。

最近は中南米諸国や旧東側のロシアや中国、インドなども参加している。

(※2)揚陸艦レキシントン

アメリカ級強襲揚陸艦4番艦の事(ただし架空の名前です)

なお、レキシントンと言う船名自体は米国海軍にとって歴史ある名前である。


本作中の空母トルーマン搭載機

F/A-18E/F戦闘爆撃機×32、F-35C戦闘機×24、E/A-18G電子妨害攻撃機×4

E-2早期警戒機×8、SH-60F対潜ヘリ×6、V-22輸送機×6など

(まぁ、米空母が出るとこういう感じの搭載数を予定)

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