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17話

長崎県対馬及び九州本土の間

さきほど主翼下の外側に搭載していたAGM-3を放った強襲揚陸艦”ずいかく”に搭載されているものの、熊本空港に臨時配備され、そこから出撃した6機のF-35がある程度の距離をとって編隊を組み、会敵に備えていた、いや会敵と言うよりもむしろ敵の地上発射型防空ミサイルによる迎撃に備えていたと言った方が良い。


とは言えこれら6機のF-35に加え、後ろには別のF-35が英国製のミーティア中距離空対空ミサイルを胴体内の爆弾倉(ウェポン・ベイ)に各2発と左右の外翼部に懸架した連装ラックに航空自衛隊の開発した世界最高峰の格闘戦用AAMである04式空対空誘導弾(AAM-5)と中距離ミサイルであるAIM-120C(AMRAAM)を計8発の空対空ミサイルを搭載して護衛に就いていた。

(因みにミーティアミサイルの搭載数は不明なので取り敢えずF-35のアップデートでAMRAAM3発が搭載されるそうなので、それやや大きいミーティアの搭載量は2発と推定しましたのでご了承を)


”ずいかく”飛行隊

「ブレス1よりブレス隊各機、これより本部隊は対馬上空に露払いとして侵入する。良いな、敵のミサイルがいつ襲ってくるかわからない。全員覚悟は出来ているな?」

そう”ずいかく”の飛行隊長である岩島辰夫1等海尉が言うと彼の部下たちは『覚悟は出来ております!!』と続き、「だろうな…………全機攻撃用意!」と岩島が言うと岩島が多機能ディスプレイを対地攻撃モードに切り替える。


するとディスプレイの表示が地上の状況を示すマッピングモードに切り替わり、地上にある地対空ミサイルの位置の上にそれらがロックオンされている事されている事を示す四角いマークが表示される。

「…………ブレス1、投下(ドロップ)!!」

岩川がそう言うと『ブレス5、投下(ドロップ)!!』『ブレス3、投下(ドロップ)』と次々にブレス隊のF-35の爆弾倉から統合直撃誘導爆弾(JDAM)が投下される。


因みに前述の通りJDAMとはJoint Strike Attack Monution、即ち統合直撃誘導爆弾の事であり、つまりこの爆弾は簡易的なミサイルであるのだ。

もっともJDAMの優れた点は高度な誘導システムを持つ本格的なミサイル、例えば米国のSLAMやHARM、それに日本のASM-3シリーズと比較して遥かに原価は安く、命中精度はそれらに劣らなず、敵のレーダーに大きさ故に映りにくい事である。


閑話休題。JDAMは順調に滑空を続け、指定された場所に着弾すると人民連邦のミサイル陣地らしき場所から爆風が先遣偵察をしていたステルス無人戦術偵察機であるRQ-9FJスーパー・プレデター無人偵察機から送られてきた高感度の映像で確認されたのである。


「ブレス1より本部。任務完了、これよ…………」岩川がそう言うと次の瞬間、コックピット内にミサイル警報が鳴り響いたのである。


「くそ、ミサイルだ!!各機、回避行動に移るぞ!!」

岩川がそう言うと彼は操縦桿を傾け、機体を急旋回させる。一方、戦闘機パイロットである岩川は冷静さを失っていた訳ではなく、中露戦争時に海自がF-35Bの導入を決定した際にP-3C操縦士から戦闘機へ機体を変えるべく米海兵隊のF-35飛行隊に海自戦闘機乗り1号として教育を受ける為にへ出向していた際に身に着けた戦闘機乗りとしての基本を覚えていた。


常に冷静たれ。岩川はその言葉通り、敵のミサイルがレーダー照射によるタイプである事を感付き、最新型のチャフを放つ。噂だと最近のロシア製の空対空誘導弾は妨害するとそこに向かってくるパッシブホーミング能力があるそうだ。


岩川はその可能性を考慮し、チャフを放ったのである。

そしてその岩川機は欺瞞する為に放ったチャフのおかげで見事に人民連邦軍のJ-10が放ったやや旧式の空対空ミサイルR-27を回避する事が出来たのである。


『アロー1よりブレス1、ここは俺ら3機に任せ、貴隊は離脱せよ!!なお、護衛としてアロー2及び4、5を提供するので安心しろ』

岩川が何とかミサイルを回避した直後、レーダーから敵戦闘機の表示が消えると次の瞬間、護衛戦闘機隊の隊長であるアロー1こと防衛大学時代の同期で、彼と異なり英国に派遣されて教育を受けた山見了1等海尉が無線でそう言ってきたのである。

「ブレス1よりアロー1、了解した。これより本部隊は本空域から戦術的退却を実施する。だが、護衛は必要ない、空自さんが恐らく守ってくれるだろう」

岩川がそう言うと山見がそれに対して『了解、ブレス1…………幸運を祈る』と言うと交信を切る。一方、長崎空港に臨時配備されていた百里飛行隊所属のF-2C”ゼロ・ファルコン”戦闘機は”ずいかく”飛行隊と人民連邦軍戦闘機の交戦を受けて同じく佐賀空港に臨時配備されていたF-15J改”スーパー・イーグル”と共にブレス隊の護衛の為に福岡上空に展開していたが、AWACS(スノークラウド)から新たな命令を受けたのである。


対馬上空に出現した人民連邦軍のJ-10戦闘機を排除せよ。

因みにJ-10とは言われているのは中国の技術者が2010年代後半に再開した中露戦争終結後、極秘工作でロシアへの報復に協力してくれないだろうかと人民連邦の工作員に唆された技術者が設計し、製造したからである。

とは言え、新しい鉄を製造するにも鉄の材料がないので、機体の部品の元を辿れば多くが第二次朝鮮戦争とも言われた中露の朝鮮半島の紛争で撃墜されたSu-27やMiG-29、旧韓国の人民連邦所属のKF-16やF-15Kなどのスクラップを溶かして再製鉄したものである。故に機体構造に関しては脆弱な面も多いが、人民連邦軍内ではPFJ-1(人民連邦1号殲撃機)と呼ばれ、次世代の空軍の主力機として大きな期待を集めている。


そしてこの日、対馬戦争最後の空戦が行われ、日本側の圧勝でそれは終わった。

そう、操縦士の腕の違いが確実に表れていたのである。簡単に言えば人民連邦空軍の操縦士はここ4年間燃料不足もあって、年間100時間飛ぶ事を許可されたエリート部隊以外は飛べても80時間くらいであり、それが4年続いても320時間くらいにしかならないのに対して我が空自は少なくても200時間、更に仮想敵戦闘機役を演じる飛行教導隊や航空自衛隊の宣伝部隊である曲芸飛行部隊ブルーインパルス出身の隊員は300時間近くなり、世界一流とも言える腕前を持っていたのである。


そう、人民連邦が今回派遣していた部隊のうち50時間年間で飛べたエリート部隊は壊滅的打撃をこうむり、機体を温存するために既に本土防衛のために退却、残っていたのは一般部隊であり、飛行時間5時間に満たないものであった。

だが彼らは故障しかけたR-77で旧式化していたとは言えC-1及びC-130輸送機7機と2機のF-4EJ改戦闘機、それに防御手段に乏しい陸海空自衛隊がそれぞれ持つH-60(ブラックホーク)シリーズヘリや連絡機を合わせて12機撃墜し、特にF-4と輸送機5機を撃墜した李慮昌大尉であったが、C-2に対して襲いかかろうとした直後に襲ってきたF-2戦闘機との格闘戦の末に愛機PFJ-1にAAM-5が直撃、対馬海峡へと散って行ったのである。なお、その彼を撃墜したのも同じく航空自衛隊のエース、山島和夫1等空尉だったと言う。

後に山島は飛行教導隊へ移動。因みに山島が撃墜王(エースパイロット)であると語ったのは中露戦争、対馬動乱、そして中国内戦です市民団体が息絶え絶えとなった2031年であった。そして2034年には国産いや日英共同開発の世界最初の第6世代戦闘機であるF-3(飛燕Ⅱ)戦闘機(英国では飛燕によく似た機体であったスピットファイアと命名された。一方、日英以外では豪州、シンガポール位しか導入出来なかった)を配備した千歳基地で結成された第343戦闘迎撃飛行隊の初代司令となり、2045年に退役している。


制空権を日本側が確保。ミサイル陣地も陸上自衛隊のレンジャー部隊が破壊するなどし、着々と奪還への橋頭保を日本側が築き始めていたのである。

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