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第六章 ダルムス動乱 ① 


 ◆◆◆



 ダルムス大公国 ロズモ男爵領 モノモ地方 セリネ・アル・ウルカ



 「乱戦になると面倒くさい。一班と二班はそれぞれ二手に分かれ、指定された標的を囲いつつ確実にヘイトを稼ぎながら、互いの戦闘の邪魔にならぬよう慎重に距離を引き離しつつ戦うように心がけよ! たかがレッドベア四匹と侮るなよ、後ろでは陛下が見ていらっしゃるのだ。腑抜けた戦いを見せることだけは絶対に許さん! 一瞬たりとも気を抜くなよ。いいな!」


 「「「「「「「「応っ!」」」」」」」」


 護衛団団長である銀狼族のフラム・ニルゴが檄を飛ばすと、それに応じて戦闘第一班隊長の熊人族、ガル・ジー・ザロッガと戦闘第二班隊隊長の蜥蜴人族バルギ、そしてそれぞれの指揮下にある班員たちがみな揃って気合いの入った声を上げながら各自に割り振られた目標へ向けて襲いかかっていく。


 「団長もそうにゃけど、各班長達も班員たちも揃いも揃って力が入り過ぎているにゃぁ。今回の旅の最初の戦闘だからまあ仕方がにゃいと言えば仕方がにゃいにゃけど、ずっとあの調子じゃすぐに息切れしてしまうにゃあ」


 身もふたもないその相棒(ノワール)の評価に、セリネも思わず口元に苦々しい笑みを浮かべるしかない。


 「後ろで湊様がご覧になられているのだから、力が入りすぎてしまうこと自体はある程度仕方がないことかもしれないわね。とはいっても、彼らもトンガール戦で目覚ましい戦功を立てた選りすぐりの兵たちなのだから、それについては時間が解決してくれる問題だとは思うわよ。事実、若干ぎごちなさはあるものの単体でA+クラスのレッドベア相手に苦戦という苦戦もしていないようだし……ね」


 「さすがはアンリエスト軍のエリート部隊にゃりね。ま、仮にそんな彼らの包囲を一匹二匹すり抜けてきたところで、結局のところあの不運なクマたちの運命は何一つ変わらにゃいけどにゃあ」


 「保険としてこうして私と貴方が後ろに控えている訳だしね」


 「何なら、ウチたちの更に後ろで守られているはずの面々の実力もウチやセリネとほぼ同等、一部に至っては圧倒的に強い方までいるからにゃあ……」


 「これでも私たち、派遣者ギルドで新たに大陸最高位のS+ランクに認定されたはずなんだけどね。現実ってのはいつも世知辛いわね」 


 「アンリエスト王国の層の厚さが半端ないにゃん。味方ながら怖いくらいにゃ」


 ノワールの言う通りだ。

 

 「ナトーヤ教団からの襲撃に備えて十分すぎるほどの戦力を国元に残してきているのにもかかわらず、ここに連れて来ているメンバーだけでも軽く国の一つや二つ陥とせてしまいそうだものね」


 「このメンツで押しかけられるダルムスの新公王とやらが哀れでならないにゃん」


 「自責100%の自業自得だから、同情するのは筋違いってやつじゃないかって気もするけどね」


 「そうにゃねぇ。どんないざこざの結果その座に就いたか知らないにゃりけど、前公王の方針を全部ひっくりかえして突然国内に住まう全亜人への問答無用の捕縛命令と隷属化宣言なんかぶちあげやがった愚物中の愚物だからにゃあ」


 「亜人保護を訴えるアンリエスト王国への事実上の敵対宣言よね」


 「だにゃ。しかもダルムス国内できちんと正規の代価を払って亜人たちを保護したコルドバさん一行すら攻撃対象として追い回してくれたにゃん」


 「それもわざわざ正規軍であるダルムス騎士団を差し向けてね。まぁ、幸いと言ってはなんだけど、たまたまその時の護衛には私とノワールがついていたから全て返り討ちにしてやったけどもね」


 「ざまぁいいにゃん。やつらのターゲットには亜人であるウチやセリネも含まれてたし、遠慮する必要は欠片もなかったにゃ」


 「問題は私たちのその反撃がダルムスとの国家間の問題にならないか、ということだったけど……」


 「こてんぱんにしてやったからにゃあ。実際、国家間の問題にはなったにゃん」


 「そうね。アンリエスト王国に対してダルムスから何度も猛抗議があったらしいけど、全て湊様との面会までは叶わず実務者レベルの対応で追い返されたようだし、逆に私たちはコルドバさんたち一行を無事護りきったことで湊様から直接お褒めの言葉と褒美をいただけたんだから万々歳よね」


 「にゃりにゃり」


 …………と、私事(わたくしごと)の範疇ならばここまででも良かったのかもしれない。

 

 だが、此度の問題は先ほどセリネが言ったように、ダルムス大公国の発した全亜人奴隷化宣言がそのまま亜人保護を謳っているアンリエスト王国への事実上の敵対宣言になっている、ということだ。


 これに対して、不本意ながらも一方的に喧嘩を売られた形になるアンリエスト王国側であるが、事が大きくなるのを恐れてただただだんまりを決め込んでしまうような弱気な外交姿勢を取ってしまうと、今後はダルムスのみならず他の周辺諸国からも同じような目で見られかねない。


 マフィア同士の喧嘩ではないが、国家間の力関係は一方的に舐められたら終わりなのだ。

 つまり、アンリエストとしてもダルムスに舐めた態度を取られた今の状態ではいられない。

 ここで少しでも弱腰な態度を見せると、先の敗戦で今は大人しくなっているトンガールやヘムガール、そしてナトーヤ教会までもが勢いづきかねないのは目に見えている。

 

 国として毅然とした態度を周辺国家へ向けて早急に示す必要があった。


 とはいえ、話し合いで済まそうにも、それで片が付く相手なら最初っからこんな馬鹿な行動は起こしていないだろう。

 それに、互いの国の意見を主張し合って悪戯に時間を取られてしまっているその間にも、ダルムス国内の亜人たちが奴隷として続々と捕らえられて、酷い目に遭わされる被害者が増えていくだけだ。


 だからこそ、湊は即断した。

 

 国際社会へ向けダルムスに対する非難声明を発してアンリエストの立場を明確にするとともに、少数精鋭で直接ダルムス王宮に乗り込んで、有無を言わさずに新公王を名乗るザムド・ノル・ディン・ダルムスと直接王同士で話をつけることにしたのだ。


 追い返したダルムス側の使者には一応、「お前んとこの新しい公王に直接話を聞きに行ってやる。何か言い分があるならその時まとめて聞いてやろう。こちらが納得できるような説明を聞けると楽しみにしている。納得できる説明がない場合には、身の程というものを骨の髄まで教え込んでやろう」という極めて攻撃的な内容を、丁寧な言葉と上品な表現ででオブラートに包み込んだ一方的な通告文(てみやげ)を持たせてやったらしいのだが、その段階で傍から見てももう明らかに湊が穏当に済ます気がないのは誰の目にも明らかだった。


 そもそも一国の王が敵対国入りするとなるとそれなりの戦力を伴うのは当然のことであり、此度の湊のダルムス入りは、それだけでも下手すればアンリエスト軍の侵攻と受け取られかねない危うさを秘めていた。


 場合によってはそれだけで他の国々から侵略行為だと非難を受ける可能性だってある。


 だからこそ先手を打ったのだ。

 それが出来るだけの大義名分がこちらにはあったからだ。

 

 そもそも、湊の行動を侵略行為だと非難してきそうなのはトンガールとヘムガールの二国だが、そんなことをいうならば先のお前たちのアンリエスト、クレッサールへの侵攻は何だったんだ? という話になる。

 

 それに、先ほども触れたが、こちらには明確な大義名分がある。

 そもそもダルムス正規軍から攻撃を受けたコルドバは湊直属の奴隷証人であり、家臣扱いになる。事実、彼の荷を運ぶ馬車には誰から見てもそうと分かるようにでかでかとアンリエスト王国の国旗が描かれている。

 この一点だけでも、ダルムス側からのアンリエスト王国への一方的な先制攻撃だと言い張れる。


 コルドバ自身が何かしらの違法行為を行ったならばともかく、正規の商取引を経て亜人奴隷を購入した上でアンリエストへ帰還する最中の彼を、正当な理由なく有無を言わさず攻撃してきた時点でそれはもはや強盗である。

 ダルムスからの先制攻撃だと湊がみなしたとて誰も彼を非難することは出来ないだろう。まして攻撃してきたのはダルムスの正規軍だったのだから猶更である。


 加えてもう一点。

 コルドバの馬車を警護していたのは、派遣者ギルド所属であるとはいえアンリエスト王湊と専属契約を交わした食客であるセリネとノワールの二人である。ダルムス正規軍はそんな彼女たちも奴隷化の対象としてみなしていたのだから、もはや言い逃れの余地もない。


 差し向けた正規軍が二人に返り討ちにあったことで相手国からアンリストあてに直接抗議が来ているのだから、ダルムス側はコロドバがアンリエスト王国の関係者だと知った上で攻撃してきていたことはもはや明白であり、「アンリエストの関係者だとは知らなかったんです」などという子供だましは今更通用しない。


 そのような事情もあり、湊は即座に行動に移した。


 ダルムス大公国へ行くにはアンリエストから街道沿いにクレッサール王国を抜けていく必要がある。

 そのため、湊はまずクレッサール王国のアレス王へあらかじめ渡していた通信機経由で連絡をとり、王から直にクレッサール国内の通行許可を得ると、即座に兵をまとめて出兵した。


 本音はともかくとして、形式上はこれがアンリエスト王国からの侵攻ではなく、あくまでもダルムスへ話し合いに行く王の護衛であるということを示すため、帯同する兵の数は軍から選りすぐった300名に抑えた。


 彼らを率いる将は、かつて左遷されて燻っていた状態から一転して湊によって都市憲兵隊隊長へと任命されたことで人生逆転の栄転を果たしたラウムハルト・グルトルカ。

 ヒト種も亜人も分け隔てなく接するその公正な人格に関しては、セリネも何度もその評判を人伝いに耳にしたことがある。

 アンリエスト屈指の仁将であることは疑いようのない彼ではあるが、軍を率いて戦うことに関しても非凡な能力を持っていることが先のトンガール戦を通じて証明された。

 故の、此度の遠征の護衛指揮官への抜擢なのであろう。

 驚くべきは、亜人たちの中からさえ誰一人としてその人事に異を唱える者が現れなかったことだ。

 それほどまでに民からの彼への信頼が厚いということである。


 総勢300名とは、一国の王を護る人数としては決して多いものではない。

 アンリエスト王である湊を捕えようと、件の新公王がここぞとばかりにダルムス軍を差し向けてくる可能性だって十分に考えられる。

 そうなれば、ここにいる人数だけで数万の軍団を相手にしなければならないような事態に陥ってしまうかもしれない。


 だが、そんなことは既に想定済みである。


 今回の護衛軍の装備は先のトンガール戦と違って、全員が銃器(アサルトライフル)始めとした、神無(ていこく)防衛軍の最新兵器と全く遜色ない装備を携えた本気版である。

 今回はそれに加えて先の大雅国戦でも活躍した最新鋭の49式電磁戦車、兵員輸送車を始めとする各種支援車両、重機関銃、迫撃砲を始めとする重火器、手榴弾、攻撃偵察用ドローン、場合によってはComposition4(※1)などの使用までもが解禁されている。


 湊曰く「亜人が決して人族に劣っている訳でないということは、先のトンガール戦において地球由来の銃器に頼ることなく自分たちの力のみで数倍もの敵兵を返り討ちにして見せたことで既に証明されている。その事実を以て彼らは自分たちへの誇りと自信を取り戻すことが出来た。である以上、今後の戦いにおいては一切の出し惜しみをする必要はない。今後我らと敵対する国は、科学と魔術、そして亜人由来の身体能力が合わさった際の真の恐ろしさをその身で骨の髄まで味わうことになるだろう」と。


 300名もの兵士たちがびしっと揃いの軍服を着て、更に見たことも聞いたこともない戦車を始めとする特殊車両を伴いながら整然と街道を進んでいく様は傍から見ていてさぞかし壮観であるに違いない。


 彼らのその晴れ舞台を()()()()()()()()()()()ことがセリネは残念でならなかった。


 『自分たちが列の中にいるから外から眺めることが出来ない』とかそういう単純なことではない。


 おそらくラウムハルト率いる兵たちは、今頃アンリエストを出てまず隣のクレッサール王国へ向けて順調に街道を進んでいるところであろうが、実際に王である湊を護衛している当のセリネたちは今この瞬間、既にダルムス入りを果たしてしまっているのだ。


 どういうことかというと、街道沿いに進んでいる最中のラウムハルト率いる300名の部隊は諸外国の目をごまかすための囮であり、実際にはそこにいない(みなと)を護衛している振りをしているだけなのである。

 「アンリエスト王は正規の手段できちんとダルムスに入っていますよー」という、いわゆる見せかけ上のアリバイ作りのための部隊であって、本物の湊は護衛含めても20名そこそこの少数精鋭を率いて海路経由で既にダルムス入りしていたのだ。


 なぜ湊がそのようなことをしたのかというと、ダルムスの亜人迫害の実情を自分自身の目でじっくりと確かめるためである。


 そんな理由もあり、セリネたちは現在ダルムス大公国最南端にあるロズモ男爵領モノモ地方という田舎にいる。

 ちょうどここの海岸沿いに強襲揚陸艦『二藍』から荷下ろしするのにうってつけな吃水がある天然の港たる地形が存在していたからである。


 本来なら『二藍』からの積み荷はLCAC、いわゆるエア・クッション型揚陸艇を使って沖合から海岸へ揚陸するべきところなのだが、残念ながら今回荷下ろしした兵器は海上から直接戦車すら揚陸させることが可能なLCACですら載せきれないほどに大きすぎた。


 「そもそもこんな小競り合い程度の問題にそこまで大げさなものを持ち出す必要ないだろ」と湊本人は呆れたような口調で言っていたのだが、鷲尾竜太郎をはじめとする湊と共に地球から渡ってきた直属の幹部たち全員に口をそろえてNOを突き付けられた結果、「巨大な戦車なのか兵員輸送車なのかキャンピングカーなのか移動ホテルなのか移動基地なのかさっぱり分からないが、その割には意外と活躍した」と称せられることになる異色の兵器がこうして初めて世間にお目見えすることとなった、らしい。


 陸上戦艦『八千代』と名付けられたその陸戦兵器は、一言で戦車と片付けてしまうにはあまりに異形な存在だった。


 案内してくれた紗希の説明では、


 「『八千代』のコンセプトを分かり易く説明するなら、すんごい豪華なスーパーヨットを用意して、そのエンジンとメインコンピューターをとんでもなくヤベーやつに乗せ換えて、めっちゃ賢いAIに制御させて、外殻を全てヒヒイロカネ製の装甲でガチガチに覆って、ついでに足周りに走破性能の高い無限軌道を履かせて、最後にめちゃくちゃ強くて弾切れの心配のない武装と鉄壁なバリアつけてみた。そんな感じですかねぇ?」

 

 …………とのことだったが、この数年で帝国の文化や兵器に徐々に詳しくなってきたセリネでも、分かるような分からないようなという感じだった。


 紗希と一緒に軽く見て回って分かったことは、とんでもなく堅牢な装甲に護られた部屋の中に信じられないほど優雅で快適な居住空間が広がっているということと、車と同じようにそれに乗ったまま移動できるのだろうということだけだ。


 その快適性能は、広さこそ控えめではあるものの、その内装や備え付けられた調度品は上級貴族の屋敷にも劣らない。なにしろ人一人がゆったりと入れる浴室まで完備しているのだ。


 「高性能量子コンピューターの超性能を活用した佐官級AI「ちよちゃん」によって全ての基地機能が完璧に制御されています。『八千代』の周囲は「ちよちゃん」が制御する偵察ドローンが昼夜問わず常に警戒していて、さらに攻撃偵察衛星、戦場に配備されている戦車や航空機などからリンクして送られてくる様々な情報を瞬時に統括することで、迫る危険をいち早く察知し、瞬時に敵味方を判断して迎撃行動に移ります。 更に、いざという時にはデータリンクにより遠くにいる母艦、強襲揚陸艦『二藍』や駆逐艦 『蘇芳』及び『濡羽』、そして総旗艦である『天下布武』などからの情報提供や支援攻撃を受けることもできます。仮に直接攻撃を受けることがあってもそのことごとくを電磁障壁……いわゆるバリアが防ぎますし、万が一それが抜かれたとしても第二の盾である魔術障壁と最後の砦である超硬金属ヒヒイロカネ製の積層装甲が完璧に乗員を護りきります。何より武装の半分以上を占める光学兵器によって弾切れの心配も一切ありません」


 調子が出てきたのか、徐々にセリネの理解を越えて難しくなっていく紗希の説明。

 「勝ったなガハハ!」と腰に手を当てて高笑いを浮かべる彼女は今日も絶好調だった。

 とにかく、この『八千代』が凄いということだけはセリネにもどうにか理解できた。


 地球に比べて格段に文明レベルの低いこの世界でなぜこのような物々しい兵器が必要なのかというと、全ては王である湊の身の安全を図るためだ。

 彼は強い。派遣者ランクを上り詰めてついに最高ランクたるS+にまでたどり着いたセリネとノワールの二人がかりでも未だに模擬戦で手も足も出すことが出来ないその強さは、異質といってもいい。


 しかし、どんなに強かろうが、彼は決して不死の存在ではないのだ。


 彼はアンリエストのみならず母国である帝国にとっても必要不可欠な存在だ。

 だからこそその身の安全には常に万全を期さねばならない。


 だったら、快適性能は必ずしも必要ないではないのか? と疑問に思うかもしれない。

 当然の疑問だ。

 実際湊はこれについても製造計画が立った時点で「そんな無駄なものいらないだろう」と一度は突っぱねた経緯がある。らしいのだが…………


 「何言ってるんですか! いくら外征先であろうとも、帝国最高位貴族である公爵が一般兵と仲良く並んでテント暮らしだなんて帝国の沽券に関わる行為は絶対に許されません。百歩譲って何らかのやむを得ない理由で配下と枕を並べて休まなきゃいけない状態に陥ったとしても、それは『八千代』の中でです。幾ら戦場であったとしても湊様には常に万全の態勢を整えていただかなくてはいけないんです。そもそも未踏の地である異世界の環境が、必ずしも地球人である私たちに易々と野営を許してくれるような優しい世界とは限らないじゃないですか。向こうのことが何も分からない現状でのその判断は、まんま命の危機に直結しかねないあまりに危険な思考です。私や宮子ちゃんは固有能力の性質上、異世界の地で戦死することが絶対に許されていません。そう決めたのは湊様ですよね? ですが、それは私たちのリーダーであり、かつ地球帰還の可能性を秘めた唯一の鍵を握っている湊様自身だって同じはずです。あらかじめ対応しておけば未然に防げるであろう身の安全を、断捨離感覚で軽視するようなことは仮にお釈迦様が許したとしても私が絶対に許しません! いかなる事態に陥ったとしても単騎で帰還可能な圧倒的な攻撃性能と防御性能、そして地球水準を凌駕する機動力と医療設備、居住性の確保はマストです! いいですね!」


 「……………………」


 「い・い・で・す・ね?」


 「………………………………………………おっ、おう」


 「本当ですね? やったー! 確かに許可を貰いましたよ? 今になってやっぱなしってのはもう絶対に受け付けませんからね! さーて、これから忙がしくなりますよー。とりま緊急でおやっさんたちをかき集めて製造計画を練らないといけませんかねぇ。では湊様、私はこれで失礼しまーっす! See you―!!」


 ウインクしながら投げキッスをすると、ばびゅーんと、戦闘訓練でも見せたことのない俊敏な足取りで格納庫に向かって爆走していってしまう。


 「………………………………………………」


 『八千代』の設計者である小此木紗希からもの凄い勢いでたたみかけられて、その異常なまでの熱量と正論を武器に鼻息荒く迫ってくる彼女の圧力を前に、あの湊をして言われるがまま歯切れ悪くGOサインを出すしかなかったのだという。


 怖いもの知らずというか何というか、正に無敵の人というやつである。


 もっとも、セリネにこのエピソードを披露してくれた羽間黒子の見立てでは、「言っていることは正論で何一つ間違ったことは言っていなかったし、紗希の意見には私も概ね同意なんだが…………」と、じっくり前置きした上で、「ありゃ絶対自分の設計した『私の考えた最強の秘密基地』を作りたいその一心で脳内から必死の思いで絞り出した一種の詭弁の成果だったのだとは思うんだけどもな……。自身に危機に迫ると瞬間的にIQが急上昇する様は、まるでG(※2)みたいな変態(おんな)だよ、あれは……」


 呆れた口調で苦笑いしながら、黒子はセリネに向けてそっと己の肩をすくめてみせた。


 「まあ、そんなこと言いつつも、何だかんだで『天下布武(ここ)』に住まう者全員が等しくあの変態(紗希)の暴走の恩恵に与っているんだけどな…………」


 「え? この『天下布武』にですか? 基本設計は全て湊様によるものだと伺っていますが?」


 セリネの質問に、黒子は「そうだよ」と頷く。


 「(セリネ)の言う通り。基幹部分の基本設計、重力慣性制御装置兼メインエンジン、ジェネレーター及び電力供給システム、主武装並びに艦載兵器を含む全ての武装、超性能量子コンピューター、超硬耐熱耐衝耐魔装甲たる魔法金属ヒヒイロカネの発見、その他もろもろこの艦を構成するほとんどが湊様の手による発明由来の機密技術だ」


 「もっとも、『てんかちゃん』を始めとする超性能AIと制御システム、戦闘システムなどのプログラム関係については全て湊様の双子の兄である雨久水綴(みずなぎつづり)様の手によるものらしいが…………」


 「それでは、紗希さんは一体何をなさったのですか?」


 「居住区の確保だよ」


 にやりと悪戯っ子のような笑みを浮かべながら黒子は言った。


 「湊様はあの通りあまり生活環境の豪華さには興味を示さないお方だが、この異世界における我々の日常生活のストレス解消のため、衣食住全てにおいて帝国における中堅上位の家庭と何ら遜色ない、いや、むしろそれを大幅に上回る快適性と利便さを兼ね備えた必要十分以上の居住空間を設計してくれていたのだ。しかし、そこへ突如として横槍を入れて来たのが紗希の奴でな、あの女はどこから調べ上げてきたのか、建造中であった豪華客船飛鳥Vのロビー、居住区、娯楽施設、内装や搬入予定であった食器や高級家具などの調度品などを丸々接収して、『天下布武』の居住区画へまるっと転用してしまおうというとんでも案をぶちあげてきたというわけだ」


 「接収って、そのようなことが許されるのですか?」


 「いや。いくら最高位貴族である公爵の命令であったとしても、そのようなことは絶対に許されることではない。普通であればだがな。しかしあの女の悪魔的なところは、それを回避できる巧妙な言い訳(抜け道)を用意していたことなのだよ」


 「抜け道、ですか?」


 「そうだ。紗希の奴が主張したのは大きく二つ。一つ目は、『地球の命運をかけて帰還の保証もない異世界へ向かわなければならない言わば最大級の貧乏くじを引いた我々に対して、その恩恵を受けるだけの立場である地球側がそれくらいの負担に対して文句を言うのは烏滸がましい行為ではないのか? ましてその役目を押し付けられた一人は我が帝国の誇る公爵の一角たる四十無湊様であり、建造中の『天下布武』はいわば彼の御座艦になる艦なのだから、地球側は考えうる最上級の待遇で送り出すのが本来の筋であろう』という、役目の重要性と身分に相応しい待遇を焦点にして議論を展開した。そしてもう一点は、『そもそも論として、二つの世界が巨大次元裂によって強制的に重なってしまっているという現状に由来する世界の崩壊現象についてですが、一応学者たちの予想では早くとも数年後とはいわれてはいるものの、あくまで希望的観測を多分に含んだ不確定な予想に過ぎないという現実の中で、実際には明日始まってしまうかもしれないわけですけど、そんな切羽詰まった状況の中で、『天下布武』の居住区をゼロから作るのと既に出来つつあるものを可能な限り流用するのとでは最終的な納期にどちらが良い影響を及ぼすのかはもはや明白ですよね? 世界の危機をより堅実に回避するという意味においてどちらが有用な案であるかの是非は、馬鹿でもなければ誰にでも理解できるはずです』という、より現実的に逼迫した納期を焦点にしてだ。あの女は『天下布武』の建造費及び建造計画を決定する国際会議の場で、その二点をもって反対する他国の代表の意見を次々と跳ね飛ばして見せたわけさ」


 「その結果として、我々は今こうしてホームとして何不自由ない最高級な設備に囲まれて生活していられるというわけなのですね?」


 「認めるのはしゃくな話だが、まぁ、そういうことになるな。とはいえ、紗希の性格や個人的嗜好から考えても、当初湊様が計画していた案通りの居住区で彼女自身は何の不満もなかったはずだ。おそらくだが、気に入らなかったのだろうな」


 「気に入らなかった? 何をですか?」


 聞き返したセリネに黒子は憮然とした表情を浮かべる。


 「自分たちはその計画の実行に直接関わらないからと『天下布武』の建造費の負担を出し渋ろうとする各国の代表(お偉いさん)たちにだよ。彼らにとって、私たちを異世界へ送り出して無事次元裂を閉じさせた後のことは完全な他人事だったんだ。実際、彼らの中に湊様の案ですら要求過多だとして大幅に予算を削減させようと露骨な動きを見せる一団も存在していた」


 「自分たちの命運を託そうという方々たちに、なんと不義理な……」


 「先ほども言ったが、これが自分のことだけだったなら紗希も当初の計画で文句は言わなかっただろうし、そもそも不満を感じもしなかっただろうよ。だが、選ばれたメンバーの中には、いやむしろその計画の中核として湊様がいたからな。自分はともかく、湊様が他国の代表たちから軽んじられていることが気に入らない。いや、むしろ内心で腸が煮えくり返るほどに怒り狂っていたのだろうな、紗希(あれ)は。『天下布武』についても『八千代』にしても、そして強襲揚陸艦『二藍』や駆逐艦である『濡羽』『蘇芳』の二隻にしてもそうだが、彼女が金に糸目をつけず帝国の通常艦を遥かに上回る設備、性能の負担を各国に要求したのも、湊様始めとするクルーの安全を確保するという本来の目的を担保しつつも、他人事だからと資金の供出を出し渋った無責任な奴らに対して巧妙に、そしてある意味これ以上ないほどあからさまに意趣返しを行った結果だろう。その手段としての最たるものが最上級設備たる飛鳥Vの居住施設流用計画のゴリ押しだったというわけさ」


 「そんな経緯があったのですね……」


 「礼儀知らずなマッドサイエンティストであり、その行動は常に意味不明かつ奇天烈で、趣味趣向に至っては脳髄の奥から腐りきってるとしか思えない制御困難な生物だが、そんな変態(おんな)でも湊様に対する忠誠心だけは疑いようがない。私や紗希に限らず、地球から共にこちらの世界に渡ってきたクルーの大多数(※3)、あの剣の天才、館林五十鈴でさえもが過去に湊様に命もしくは自身の危機を救われた過去がある。だからこそ……というのも取ってつけたような話だが、そんなことは湊様自身が望んでいないことは百も承知の上で言うが、私はあの方のためならいつだってこの命を投げ出す覚悟がある。能力上戦死を許されていないという制約こそあるが、普段から興味がある事にしか関心を示さずそれ以外には全くやる気を見せない自己中の権化みたいな人間であるあの紗希でさえ、心の内に秘めた覚悟の強さは同じだろう」


 その心に秘めたあまりにも重すぎる覚悟を、実にあっさりとした口調で黒子はセリネに告白した。

 だからといって、常日頃口先でだけはカッコイイことを言っておいて、いざという時には簡単に逃げ出す無責任な輩の垂れ流す覚悟の軽さとは全く異なる。

 むしろその逆だ。

 彼女にとっていざという時に湊の盾となるべく己が身を投げ出すという行為は、もはや息をするように当たり前というレベルにまで達してしまっているのだ。覚悟は既に完全に定まってしまっていて、いざという時にはわずかな逡巡をも見せず当然のごとくそれを行うというある種のガン決まった決意が常に心の中にあるからこそ、逆に「己の命を投げ出す」という極限状況における究極の行為をこうもあっさりと話せるのだろう。


 「凄まじい覚悟ですね」


 「まぁね。しかし、それは君たちにも言えることだろう?」


 「それは…………はい。確かにそうなんですけど……」


 にやりとした表情で視線を向けられてしまえば、事実であるがゆえに肯定せざるを得ない。

 ただ、先ほど黒子が見せたキマり切った覚悟を見せられた後では、軽々しく頷く行為も思わず幅られてしまう。


 「私たちは湊様との契約と引き換えに能力を手に入れた眷属ですから。湊様が命を失えば自動的に私たちの命も潰える関係に最初からなっていますから、私たちにとって湊様の命を守ることは自分の命を守ることと同義なのです。である以上、黒子さんたちの覚悟と並べられてしまうのは少々恐れ多いと言いましょうか、烏滸がましいと言いましょうか……」


 「そんなに自分を卑下する必要はないんじゃないかな。いくら能力を得るためとはいえ、決して軽くないリスクやデメリットを飲み込んだ上で契約をしたんだ。その決意は私たちの覚悟に決して劣るものではない……。少なくとも私はそう思っているよ」


 「きょ、恐縮です……」


 …………などというやり取りがあった。


 最後の方は少し論点がずれてしまったが、『天下布武』にしても『八千代』にしても、過剰ともいえるその快適性へのこだわりは、紗希の性能への執着の産物であり、湊の身を案じる彼女の願いを映す鏡であり、同時に無責任な同胞(ちきゅうじん)へ向けた彼女の怒りの発露でもあったのだ。


 ちなみにそんな彼女は今回の旅程に不参加だ。


 万全な防御性能を誇る『八千代』があるんだから帯同しても問題ないはずだと最後の最後までごねていた彼女だったが、出発間際に湊から耳打ちと共にこっそり渡されたデータチップ(※5)を受け取ったかと思うと、ちょっと前までぶすっとふてくされていた表情をまるで別人であるかのように一転して上機嫌へと様変わりさせて、見送りもそこそこにスキップしながら自室へ戻っていってしまった。


 《主の出立を最後まで見届けないままとっとと部屋に帰ってしまうだなんて、そんなこと許されるの?》

 

 さすがにそれはないだろうとセリネは驚いたが、彼女の奇行は珍しくないのか、その場には誰一人としてそれを気にする者も咎める者も存在していなかった。


 「あの浮かれよう、よほど美味しい設計図(エサ)でも貰ったのかしらね」


 溜め息まじりのルシルの呟きが、偶然セリネの耳にも届いた。

 同時にセリネの答え合わせも完了して、思わずなるほどと頷いてしまう。

 実に自由人である彼女らしい行動だった。 



 ◆◆◆



 ダルムス大公国 ロズモ男爵領 モノモ地方 四十無湊

 


 ラウムハルト率いる300名のダミー部隊の出兵を見届けた後、海路で一気に彼らを追い抜いていち早くダルムス入りしたセリネたちは、現在順調に王都へ向けて移動している。


 当初予定していた13名に加えて護衛として無理矢理押し付けられた正規軍の選りすぐり9名の計22名、これが湊率いる別動隊(むしろこちらが本隊?)の全人員である。


 内訳としては、


 当初予定されていた一行13名 『八千代』に搭乗


 アンリエスト国王にして一行のリーダ 『剣聖』四十無湊。

 『魔女王』にして湊の能力の源たる守護神でもある ルシル・テンペスト

 湊直属の武装メイドかつ『幻影』の祝福者にして剣の申し子 館林五十鈴

 湊直属の武装メイドである妖精種小人族の少女にして『影』の祝福者 ロジエ・ロロッサ 

 蟲人族の代表にして今代の『闇』を司る神人『蜘蛛人族女王』ウルミラの娘 ナルミア(人化中) 

 妖精族代表 妖精七部族長ライナス・セルニカの娘 リリア・セルニカ 

 オーク族代表 篠原霧枝の料理の弟子であり『八千代』の料理長 ノンナ・スカウィ

 天狐族代表 今代の『雷』を司る『空狐』である玉藻の実の娘 神代霞

 元ナトーヤの使徒No13(使徒唯一の良心)にして『光』の祝福者 リスティリカ・クルネシオン

 古人種の生き残りにしてS+ランク派遣者 『魔女』セリネ・アル・ウルカ

 黒猫の獣人 館林五十鈴の剣の弟子にしてS+ランク派遣者 『黒猫』ノワール・クー・カノッタ

 鬼人族代表 高位治癒術師にして黒子の医学の弟子 ガルギス

 ドワーフ族代表にして『八千代』整備士 ドルガ 


 追加で加わった護衛兵 計9名 歩兵機動車×3 バイク×6


 獣人族代表 銀狼族族長長子 護衛団団長 フラム・ニルゴ

 熊人族の獣人 戦闘第一班隊長 ガル・ジー・ザロッガ 以下班員3名

 蜥蜴人族代表 戦闘第二班隊長 バルギ 以下班員3名


 となっている。

 

 全員が銃器などの最新現代兵器で身を固めており、帝国防衛陸軍の特殊部隊に準拠した戦闘訓練を受けている。

 魔術による強化抜きでも亜人特有の高い身体能力を活かすことで防衛軍の第一空挺団や特殊作戦群に優るとも劣らない能力と規律を持っている彼らは、アンリエスト軍の精鋭たちの中から更に湊を護衛するために特別に選抜されたエリート中のエリートたちである。


 湊たちは『八千代』に搭乗し、その前後をフラム率いる護衛団が歩兵機動車とバイクで警護を固める形を取っている。

 『八千代』のいかにもメカメカしい見た目とサイズはかなり異形ではあるが、巨大な荷物を運ぶ商隊を変わった騎馬に乗った亜人たちが警護しているようにも見えなくもない……かもしれない。


 なぜそう周囲に見せる必要があるのかというと、これみよがしに亜人たちが何かを大事そうに警護する姿を見せることによって、ダルムス側の亜人狩りをおびき寄せる餌の役目を兼ねているからだ。


 そのため、見た目にいかにも強そうなサイクロプス族、ミノタウロス族、トロル族、蟲人族など見てからに釣り餌としては強靭(いかつ)すぎる肉体を誇る部族(※6)や、逆ににゴブリン族や一部小型妖精族などあまり戦闘を得意としない部族などは最初から帯同対象には入っていない。


 『積み荷』たる『八千代』の至る所に、誰の目にもそれと分かるようにアンリエストの国旗が描かれているのも、あわよくばコルドバの時のように亜人を狩っているダルムス正規軍が釣れないかと期待してのことである。


 そのような意図もあるので、場合によってはこの22名でダルムス軍を丸々相手取るケースも想定されている。

 だからこそ、『八千代』に搭乗しているメンバーを含めた全員が基準以上の戦闘力を持っている者で固められているのだ。

 それについては、オーク族の料理長ノンナや、鬼人族の治癒術師ガルギス、ドワーフ族の整備士ドルガを含めて例外はない。

 戦死が許されていない紗希が今回居残り組となったのも、このせいである。

 

 そして9名という護衛団の人数の割に乗り物の最大定員数が多い(※7)のも、いざという時にバイクを乗り捨てたりするケースや、奴隷狩りに遭った亜人たちを保護した際にその身の安全を確保することなどを想定してのことである。


 護衛団全員が車両に搭乗せず6名がバイクで随伴しているのは、二輪車の機動力と小回りを利用して効率良く偵察をこなしてもらうという意味合いも無論含まれているが、全員が車両の中に入ってしまうと、外からのぱっと見だけではせっかくの「撒き餌」である亜人の存在をターゲットである亜人狩りたちに気付いてもらえないままスルーされてしまう可能性や、最悪、『八千代』や歩兵気動車を未知の魔物と誤認されたあげく逃げられてしまうという本末転倒な状況に陥ってしまう可能性すら考えられたからである。


 現在一行はダルムス最南端のここモノモ地方からゆっくりと公都へ向けて順調に北上中だ。


 湊たちの移動速度は時速10キロ前後。

 馬の巡航速度が10~15キロ程度らしいので、それに合わせている形だ。


 もちろんスピードを上げるだけならいくらでも可能だ。だが、あえてそれをしないのは、奴隷狩りが追いつける速度に合わせているからだ。


 せっかく襲いかかってこようとしている奴隷狩りを振り切って爆走してしまっては、完全に本末転倒というものである。


 

 そこまで綿密に想定しておきながら、結果として一番最初に釣れたのがまさかのA+ランクのレッドベア4匹というレア魔物だったというのは一種のご愛敬というやつかもしれない。



 


 ◆◆◆


 予告していた『他の異世界ものではごくごくありふれた展開であるにも関わらず、この物語においてはなぜか連載始まって以来(今さら感はぬぐえませんが)初となるシーンが展開される予定』……ですが、答えは『仲間と冒険してモンスターと戦う』というものだったのですが、一行の人数が予想以上に膨れ上がった結果、湊たちが戦う隙が全くありませんでした。

 とりあえず、一応『仲間と旅』までは達成しているかもしれません。メンバー過多気味ですけど。

 当初に予定してたのは『八千代』に搭乗した13人だけだったのですが、『なんか女性ばっかだな。とりあえず護衛名目で男も増量しとくか』と思い急遽9人増員した結果あんなことになってしまいました。


(※1) C-4爆弾のこと。極めて高い破壊力を持つ軍用プラスチック爆弾。


(※2) ゴ○ブリは危機察知能力と危機への反応能力が極めて高く、危機に陥ると一秒間で体調の50倍の距離で移動する。その事実から瞬間的にIQ が300~350に上昇しているのではないかという研究成果がどこやらの研究機関から発表されたというまことしやかな都市伝説がある。

 実際にはGのIQを測定することは困難であることから創作、もしくは事実誤認ではないかと言われている。


(※3) 例外と言えるのはルシル・テンペストとおやっさんこと鷲尾竜太郎の二人くらい。ただし、ルシルは湊と契約を交わした能力の源である守護神であるので事実上の一蓮托生。なので本来の意味で唯一の例外と言えるのは竜太郎のみ。しかし、だからといっておやっさんの忠誠心や覚悟が他のクルーに比べて劣っているというわけでは決してない。

 そもそも地球から共に渡ってきた『天下布武』のクルーは全員が竜太郎含めて例外なく自らの意思での志願者であり、他にたくさんいた希望者たちの中から資質、能力適正、地球残留組との戦力バランス(※4)もろもろの条件を元に選抜された選りすぐりのメンバーである。

 竜太郎には最年長者としてある意味父親、もしくは保護者的な存在としてクルーたちから頼られる存在でいてくれることを湊から求められており、形式上は配下でありながら湊からも常に一目置かれる立場にいる。


(※4) 志願者全てに異世界行きを許可した場合、円卓1位、3位を始めとする旧渋谷ギルド出身の階位騎士を中心におよそ三~四分の一もの人数が集団離脱してしまいかねなかったため、希望者たちの中から十名ほどに選抜せざるを得なかった。

 選抜の優先順位は必ずしも能力の戦闘能力の高さ(一部例外除く)ではなく、未知の地である異世界においていかなる状況にも対応できるような特殊性の高い能力の保有者、かつ、建築や土木、鉱物、医術、環境、農業などの生存性、生産性などなど、未知の世界で役に立つ専門知識を持っている者が優先された。

 特に最強の能力者である円卓1位の霧咲円は自他ともに認める湊の恋人でありながら、帝国としてもただでさえ円卓である湊、そして表ざたにはなってこそいないが実は円卓と同等の戦闘力を持つルシルと五十鈴という最強クラスの能力者計三人を同時に送り出すことは大きな痛手であり、敵対国への抑止力や帝国内における派閥の力関係等の観点から考えても、幾ら湊の恋人であるとはいえ、上記三人の特記戦力に加えて帝国最強の駒である円をも同時に異世界に送り出してやることは出来ないという苦しい事情があった。


(※5) USBメモリのようなもの


(※6) 彼ら(サイクロプス族、ミノタウロス族、トロル族、蟲人族)はその分ラウムハルト率いる300名の部隊に多めに配備されている。


(※7) 運転者を除いて歩兵装甲車に4名ずつ×3台の12名、バイクの背に1名ずつ×6の6名。合計で18名の亜人たちを保護可能。さらにいざとなれば『八千代』にも収容可能なので、保護可能な最大人数はさらに多い。

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