第八話〜ルー無しカレー〜
シュドウが去った後、弥彦はあるものに気が付いた。 それは
「あれ、テレビあんじゃん」
弥彦のいる部屋は、窓が一つも無く、小さな電球だけが、部屋を照らしていた。
「そういえば……今何時だ?」
ふと思いたった疑問。
確か〜……母さんにお使い頼まれたのが7時ジャストだったよな。 んで、まぁ色々あって……今何時だ?てか今日何日だ?
「そうだ」
弥彦はおもむろにテレビのボタンを押した。
電球だけで照らされていた部屋が、また少し明るくなった。 丁度つけたチャンネルでは、ニュースがやっていたので、日付を確認出来る。
「えぇ、と早く日付出ないかな……」
弥彦がテレビを凝視していると、念願の日付が画面に映り出された。
「うあああぁ!!なんて事だ」
弥彦が驚いた理由は……そう、日付が既に次の日に移り変わっていたからだ。
「ヤバイ、流石に母さんも心配してるだろうな」
と、そんな事言ってる場合じゃない。早く帰らないと
弥彦はベッドから跳ね起き、横に置いてあったカレーのルーも、ついでに持ち、部屋のドアノブへ手をかけた。 その時
弥彦の耳に、気になるニュースが流れた。
「えぇ〜昨夜8;30頃、東京都金井沢三丁目で起きた爆破テロと思われる事件ですが、新たな事が判明されました。
警察の調べに寄りますと、爆破に使われた爆弾が従来の爆弾とは比較にならない危険性があるとの事です。
爆破されて箇所を調べてみると、なんと、破壊されたのでは無く、ただしくは、その部分だけが“消滅”したと言った方が正しいのだとか……」
弥彦はその後の話は聞かなかった、が、明らかに犯人は自分である事は明白だった。
ショックはでかい。 なんせ、その当たり一帯がまるでクレーターの様になっていたのだから……自分にそんな力があると思うと、底知れぬ恐怖に襲われる。
だが、恐怖を降りきりテレビを消して、ドアを開けた。
ドアを開けたら直ぐに長い廊下だった。 壁には所々落書きがされていて、一寸先は闇といった感じの場所だった。 幽霊が出て来そうだ……恐れを成した弥彦は走って階段を二階ほど駆け降りた。 そしてついに出口が見つかる。
出て納得。 そこは廃虚と化した病院だった。 恐い訳だ……
「シュドウさん、なんて所に連れて来てくれたんだ」
しかし外に出てみればまだ朝だった。 気分を入れ換えて、弥彦は走って自宅に向かう。
見たことの無い廃虚だったが、意外と近場だったらしく、直ぐに見慣れた場所に出た。
「ふぅ、安心安心……これなら直ぐに帰れそうだ」
その通り、直ぐに自宅は発見出来た。
急いで家に向かう弥彦……しかし、あることに気付いた。
流石に一日帰ってこなきゃ心配してるかもな……もしかしたら警察に電話なんて事も……ヤバイ、どうしよう。
「ま、まぁいいか」
弥彦は自宅のインターホンを鳴らした。 すると家の中から聞き慣れた
「ハァ〜イ」
という声が聞こえる。
「あら、弥彦!?」
「ただいま……ごめん、色々あってさ」
何か言われる前に先に謝る。 これは弥彦の得意技だ。
すると母は……
「あら、朝帰りなんて、貴方も“やるわね”」
弥彦の母、美恵子は笑いながら言った。
「ち、違うっつの!!」
「あら、でも顔赤いわよ、まさか本当に〜」
やめよう……からかわれてるんだ。 相手にしたら敗けだ……
「まぁそんな事より、何してたのよ!貴方のせいで私は一人寂しくルー無しカレーを食べたのよ……」
そこか?たった一人の息子が一日帰って来なかったのに……
え?何かひっかかるって? そうか、『一人寂しく』てとこか。 OK説明しよう。 俺の父さんは小さい頃から出張ばかり……それも海外、で、いつも家にいないんだ。 最後にあったのは10年前かな。 だから母さんは女で一人で、俺をここまで育ててくれたって訳さ
「あぁ、とりあえず説教は後にしといてよ、お腹減ってんだ」
とりあえず話を変えとくか。
「あぁ、丁度食べ物あるわよ」
「本当!?じゃ、早くしてよ」
「分かったわ、弥彦は手でも洗ってなさい」
「おっけ」
よっし見事に、回避したぜ。 じゃ、あったかいご飯に、ありつくとするかな。
手を洗い、速足で台所に向かった弥彦……そこに……
「ハイ、ルー無しカレーよ。 沢山食べていいからね」
そう、そこに出されたのは昨日のルー無しカレーだった。 最早カレーでは無いが…… とりあえず一口……
「……マジィ」
ふぅ〜実は結構無茶苦茶な設定になってしまった第八話です。
僕の未熟さが良く出ていますね……
とりあえず今はちゃくちゃくと伏線を張り巡らせてます。 いつか回収されるのを楽しみにしてて下さい。
では〜