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最強の学園で、最凶の運命に挑む ―それでも、俺たちは運命に抗う―  作者: sakura
揺らぎ始める日常

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繋がれた命、その先で


 目が覚めるとそこにはやけに静かで見慣れない白い天井が広がっていた。自分のいる場所を確認するため、身体を動かそうとするが激痛が身体中を駆け巡り苦痛に顔を歪ませる。その痛みが自分は生きているのだと実感させてくれるが、こんな状況でどうしたものかと考えていると。


「レオン!レオンが目を覚ました!ほんとに!?死んでない?生きてる?れおおおん!!」


 何もない空間から突如現れた緑髪の少女が整った顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながらレオンに飛びついてきた。


「痛い!痛いよスフィラ!てか鼻水とか服に着いてるから!」

「レオンが生き返ったああああ!もう目を覚まさないんじゃないかと思ってえええ!」


 目を覚まさないかと思った。その言葉は冗談として受け取るには少しだけ声が震えすぎていた。スフィラの頭を撫でながらどうやったら泣き止んでくれるかな、なんて考えていると部屋の向こう側が騒がしくなってきた。話し声が大きくなってきた次の瞬間、ドアノブからガチャッと音がした。

 扉の向こうには見知った顔が3つ並んでいた。


「この部屋はいつも騒がしいわね」

「どうせスフィラがまた『レオン、死ぬなああぁ!』って泣き叫んでるだけだろ」

「アハハ!最近のよく見る光景だよねー」

「まあ、うるさい!って言いながら目覚めてくれたら儲けもんだしいいんじゃね」

「そうね。目が覚めて……」

「急に固まってどうした?」「リリス?なにかあったの?」


 リリスの肩越しに部屋の中の様子を確認するカイルとティア。3人とも鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしてしばらく時が止まる。


「「「レオン!」」」


 3人ともそばに駆け寄りレオンの無事を、1人は飛び跳ねながら。

 1人は胸を撫で下ろしながら。

 1人はレオンの肩を叩きながら。

 それぞれの形で喜んでいた。

 3人を落ち着かせようとするが3人とも聞く耳を持ってくれない。まだスフィラだって泣き止んでくれてないのに、とどうすればいいんだと頭を抱えていた。

 だがそんな時間も長くは続かなかった。騒ぎを聞きつけた保健医が重症を負った人間がいる病室で騒がしくするとは何事か、と注意しに部屋に入ってきたのだ。

 目を覚ましているレオンに一瞬驚いた顔を見せた保健医だったが、そこは流石の教員。直ぐに冷静さを取り戻し、様々な検査を行うため病室で騒がしくしていた者達を静かにさせ退室させていた。


「騒がしくして悪かった……また今度見舞いに来るからな!」

「私も!美味しそうな木の実を見つけたからそれ持ってくるね!」

「私もみんなと一緒に様子を見にくるわ」

「無理して来なくても良いからな」


 今は1人でゆっくりしたかったレオンは建前でなく本音で来なくていいと思っていた。しかし同時にこいつらの事だから絶対に遊びに来るんだろうな……と嬉しさ半分、迷惑半分といった気持ちで胸中はいっぱいだった。


「ウチは絶対にレオンのそばを離れないからな!!」

「はいはい。最近おいしいスイーツがいっぱいあるカフェを見つけたんだけど一緒に行かない?」

「おいしいスイーツ……?」

「このまえ、ティアと二人で行ったけどとってもおいしかったわよ」

「………………いく……。」

「じゃあ今からみんなで行こう!もちろんカイルのおごりで!」

「僕かよ!」


 何かを察知し隅っこで気配を隠していた無事?に女子たちから財布としてロックオンされていた。


「勘弁して貰えませんかね……?あ!そうだ、レオンも一緒に行こうぜ!うん、それがいい!そうしよう!」

「一緒に行きたいのはやまやまなんだけど、流石に厳しいな。頑張れよ」

「厳しいなら何とかななるって!諦めちゃいけない!」

「悪い、言葉を間違えた。無理だ、諦めろ」

「往生際が悪いわね。さっさと諦めなさい」

「ほら!スフィラもカイルも早く行くよ!」

「あ、あああああ……手加減してください、お願いします。」


 リリスに肩を叩かれもう逃げられないと悟ったカイルは情けない声を出しながら連行されて行った。

 心の中で頑張れよとエールだけ送ることにしたレオンだった。



 ――――――――――



「うん、検査は以上かな。結果はまた追って連絡するけど、経過は順調そうですね。ただ、魔力欠乏症の後遺症でまだ暫くは上手く歩けないだろうから安静にしてることね」

「そう、なんですね。分かりました」


 ――――――


 デスグリズリーとの戦闘時、最後の力を振り絞り、全ての魔力を使った影響で魔力欠乏症となり昏睡状態になっていたようだ。

 保健医は続けた。レオンが気を失った後、駆け付けた教師達の手によってデスグリズリーは倒された。その後怪我をした生徒達へ応急処置が施されていた。特に酷かったのがレオンとエドガーとのこと。エドガーの場合、傷口が相当深く出血も酷くダリル達の見立てではもう助からないだろうと判断されていたらしい。

 できる限りの処置をし、直ぐに学校へ搬送しようと話が纏まった所に気絶をしていたティアが目を覚まし回復魔法による処置を全ての怪我人に施したらしい。自らもデスグリズリーとの戦いで傷付いていたはずなのに、そんな事を感じさせないくらいの働きっぷりだったそうだ。全員へ回復魔法を唱え終わった直後に気を失ってしまったらしい。だが、そのお陰もありエドガーの傷も塞がり、呼吸も安定したようだった。

 次に重症だったレオンだが、ティアの回復魔法によって傷は塞がりはじめていたが、魔力ばかりは回復魔法でもどうする事も出来ず自然回復に任せるしか打つ手がないと思われた。そこに現れたのがスフィラだった。どうにかして友達であるレオンを助けて欲しいとミレーナ達に懇願したそうだ。ミレーナも実の息子のように可愛がって来たレオンを助けたい気持ちは一緒だ。何とかレオンに魔力を渡す方法が無いか考えていた。

 何か、何かないか。息子が苦しんでいる中、何か自分にしてあげられることが無いかと。教師達3人で考えていた時、セドリックが閃いた。


「我らは魔法を使う時、精霊の力を借りる。下位精霊では意志を持たず気まぐれで魔力の肩代わりをしてくれたりの発動を手助けしてくれる。しかし契約した中位精霊であれば自らの意思で魔力を分け与え協力してくれる。」

「そうか!ここにはレオンと契約した中位精霊がいる。彼女の力を借りればレオンを助けられるかもしれない!」


 その場にいたミレーナ、セドリック、ダリルの視線がレオンの上で泣いているスフィラに移る。


「彼女は本当に、大丈夫なんですかね……?」


 珍しく不安な気持ちになるダリルを他所にミレーナがスフィラに声をかける。


「スフィラちゃん、だっけ?レオンのともだちになってくれたんだよね。この子のともだちになってくれてありがとう」

「そんなことはいいんだ……今そのともだちが苦しんでいるんだ。お前ら人間の力で何とか助けられないのか!」

「あなたの力があればレオンを助けられるかもしれない」

「ウチの力?」

「ええ。協力して貰えるかな?」

「当たり前だ!ウチに出来ることなら何でもする!だからレオンを、ともだちを助けてくれ!」


 その後は早かった。ミレーナやセドリック達と試行錯誤をしながらレオンへスフィラの魔力を分け与え始めた。


 暫くするとレオンの中で魔力が巡り始める。みるみると容態が安定していくレオンを見てスフィラが泣き始めたのは想像にかたくなかった。

 レオンへの応急処置が終わったタイミングでこの場にいる生徒達を学校まで運んだ。


 こうして、レオンは命を、そして彼らは互いを守る意味を知ることになった。

波乱に満ちた討伐訓練は、そうして幕を閉じた。

皆さんここまで読んで頂きありがとうございます。この3ヶ月自分の書きたい作品を書くために必死でした。たくさんの皆さんに読んで頂けて嬉しい限りです。

残りの時間もとても短いですが、やり残したことがないようにしてください。そしてまた、来年も私の書く物語の続きを呼んで頂けたら嬉しいです。


それでは皆様、良いお年を。


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