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最強の学園で、最凶の運命に挑む ―それでも、俺たちは運命に抗う―  作者: sakura
入学式と討伐訓練

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守れなかった先で


「ここからは……大人の出番だ。」


 ダリルは周囲を確認しながら自らが拘束したデスグリズリーに近寄る。


「ボクのかわいい生徒たちによくもこんなことをしてくれたねえ」


 彼の眼鏡が妖しく光る。その表情は果たして本当に生徒を心配しているのか不明であるが重力魔法にて身動きの取れないデスグリズリーを恐怖させるには充分であった。

 そしてとうとうダリルの手がデスグリズリーに触れる。

 

「ふむ。この瘴気はこのあたりで確認されたことはないんじゃないか?自然発生したのか、はたまた理事長の読み通りなのか……」


 デスグリズリーの毛を撫でながら一人で何やら呟き続けている。デスグリズリーは恐怖で心が支配されていたが重力の拘束から逃げる為にありったけの力を振り絞る。


「グアァァァァ!!!」

「おっと、まだそんなに動けるの?」


 デスグリズリーが力を振り絞った結果拘束から逃れることに成功した。しかし、ダリルに焦った様子はなかった。デスグリズリーはダリルが何か企んでいることを本能で理解したが、今は生きてこの場を去ることが最優先であった。

 まずダリルから距離を取り、逃げる隙を伺おうとしたデスグリズリーだが、不思議にもダリルは何もしてこなかった。その場から動かずデスグリズリーをただ見つめてくるだけであった。それならばと逃げるために全力疾走を始める。しかしその直後、おかしな事にまた地面に叩き伏せられていた。なんとか視線だけ動かしダリルを補足するが動いた形跡すらない。ならばなぜ自分は地面に叩き伏せられ身動きが取れなくなっているのか。わけのわからない事に恐怖心が一層強くなる。


「この場には沢山の罠を仕掛けさせてもらったよ」


 デスグリズリーに向かって笑顔を向ける黒衣の男。その顔に自分はもうこいつから逃げることは出来ないのだと悟ったデスグリズリー。

 1歩ずつ近付いてくる黒衣の男にもう逃げる事すら諦めたその時だった。男の後ろから眩しいくらいの何かが飛んできているのが分かる。


「もうちょっと手加減して欲しいよ……」


 そう言い残してその場から退避する黒衣の男。その瞬間飛来物がハッキリ見えた。その正体はとてつもない量の火球であった。重力に拘束されているデスグリズリーは避けることも防御することも出来ず飛んできた火球全てを受けることしか出来なかった。


「ダリル先生のおかげで全てのファイアーボールが命中したのう」


 声の主はセドリックだった。セドリックの後ろにはフレイムも着いてきている。さらにその横にはいつの間に移動したのかダリルの姿もあった。


「セドリック先生?せっかくの被検体なんですよ?もう少し手加減というものをですね……」

「ハッハッハッ。いやはやこれは面目ない。ダリル先生の拘束が予想より強力でね。全ての弾が当たってしもうたわ!」


 豪快に笑い飛ばすセドリックに深いため息をつきながら意識をデスグリズリーに戻す。


「まあ、まだ息はあるし研究は出来そうか……このクマは色々と確認しなきゃいけないことが多いからね」


 丸焦げになったデスグリズリーの損傷を確認しながらどう言った順序で研究していくかに想いを寄せていると、空が光った。

 ダリルはまたかと頭を抱えてその場から退避する。

 次の瞬間、森が静けさを取り戻した。その理由は簡単でデスグリズリーの身体がふたつに両断され、絶命したからであった。

 いくら強大な力を持った魔物であっても教師たちの前では子供に等しいのであった。

 しかしダリルは涙していた。魔物に同情したのではない。面白そうなおもちゃを楽しむ前に壊されてしまったことに。


「ミレーナ先生……あなたって人は……」


 真っ二つになったデスグリズリーの影から金髪を靡かせながら女性が現れた。


「レオンは!?レオンは無事なのか!?」

「……レオンくんならそこに……」


 悲痛な訴えは興味無いとばかりに無視されてしまったため諦めてミレーナを研究対象から遠ざける道を選んだ。


「人間!お前らはレオンの味方なのか!?頼む、うちのともだちを助けてくれ!」


 ミレーナが倒れているレオンに近付くとどこからともなくスフィラが現れた。


「君はもしかしてレオンの契約精霊か?」

「うちはスフィラ!レオンのともだちさ!そんなことよりレオンを助けてくれ!こいつあの魔物を1人で倒そうと無理して魔力が……!」


 スフィラの悲痛な叫びを聞きながらミレーナはレオンの状態を確認する。

 しばらくの沈黙の後ミレーナが沈黙を破った。

 その口から紡がれる言葉とは一体……

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