お揃いの装備と不穏な影
討伐訓練の日の朝。外は雲一つない晴天に恵まれていた。心地の良い風も吹き、気温も最高な温度を保っている為日向ぼっこに最適な人なっていた。そんな中レオンたちはいつも通り食堂で朝食をとっていた。
「いよいよ討伐訓練だね!」
ティアがパンを頬張りながら、気合いに満ちた声をあげる。
「気合いを入れるのはいいが、食べながら喋るなよ」
レオンが呆れながらも笑う。
「今日はしっかり食べておかないとね。訓練中にバテるのは避けたいもの」
リリスはスープを口に運びながら、冷静に言った。
「そうだな。ちゃんとした活動をする為に準備はしっかりしておくべきだ」
カイルが真面目な表情でうなずく。
その後も4人は他愛もない会話で盛り上がりながら食事を続けた。
――――――
それぞれが食事を済ませ、出発前の準備に入る。
「消耗品のチェック忘れないでね!」
ティアが声をかけながら、自分の荷物を確認する。
「魔力回復薬、簡易食料、矢が1.2.3……よし、問題なし!」
「ティア、お前ポーション忘れてるぞ」
「えっ!? ……ホントだ!カイル、ありがとう!」
「まったく……ちゃんと確認しろよ」
一方、リリスはカイルの荷物をチェックしていた。
「……これ剣の手入れ道具?持ちすぎじゃない?」
「念のためだよ。何が起こるかわからないし……」
「いや、カイル。お前これ、予備の剣まで持ってるのか?」
レオンが呆れたように指摘すると、カイルは少しバツが悪そうにそっぽを向いた。
「もお!カイルったら、そんなに詰めこんでも移動がしんどくなるだけでしょ!」
「うぐっ……」
ティアに言われたのが1番効いたのか膝から崩れ落ちいく様にレオンとリリスは思わず笑ってしまった。
「なんでもどんなものでも入る魔法のポケットなんてあるわけないんだから必要最小限に抑えなさい!」
「はい……」
ティアに怒られたカイルはおずおずといった具合に自分の荷物を整理し始めた。そんな様子のカイルを無視してティアが続ける。
「さあ、準備が整ったらこれをつけて!私たちのお揃いのマントだよ!」
ティアが意気込んで、みんなにお揃いのマントを手渡す。
「お揃いって、なんだかチームって感じでいいでしょ!」
彼女の言葉に、リリスがマントを広げてみる。
「まあ、悪くないわね。動きやすそうだし」
「目立つのはちょっと……」
カイルは苦笑しつつも、マントを羽織る。
「動きやすいなら別にいいけど……」
レオンもそう言いながら、マントを身につける。
それぞれのマントには、簡単な装飾が施されていた。
ティアのは葉の刺繍が入っており、リリスのは竜の翼。カイルのは魔導書で、レオンのは剣のモチーフが刻まれている。
「よし!準備万端だね!」
ティアが拳を握りしめる。
「じゃあ、行くか」
レオンが一歩踏み出し、皆が頷いた。
こうして、4人は討伐訓練へと向かうのだった。
――――――――――――
学園の外れに広がる平原には、訓練に参加する生徒たちが続々と集まっていた。皆、それぞれの武器や装備を整え、今日の討伐訓練に向けて緊張した面持ちをしている。
「やっぱりちょっと緊張するな……」
「うん……私たち、無事に帰って来れるかな……」
カイルとティアが不安そうな顔をしながら話している。
そんな話をしているとダリルを含む何人かの教師がレオン達の前に立ちはだかった。
「さて、そろそろ始まるな」
レオンの言葉通り、ダリルが他の教員たちより1歩前に出て訓練開始の合図を告げる。
「静かにしろ。これより討伐訓練を開始する」
一瞬で場の空気が引き締まる。ダリルはいつも通りの落ち着いた口調で話し始めた。
「今回の訓練では、指定された討伐区域にいる魔物を一定数倒し、無事に戻ってくることが目的だ。各自、事前に組んだ班で行動しろよ。決して単独行動をするな」
生徒たちはそれぞれの班ごとに顔を見合わせ、頷き合う。
「討伐対象となるのは主に『ゴブリン』や『ダイアウルフ』だ。どちらも単体であればさほど脅威ではないが、群れで行動することが多い。油断すれば簡単に包囲されるからな、十分に注意しろ」
ここまではいつもの訓練と大差ない。しかし、ダリルは一瞬言葉を区切り、普段よりも慎重な口調で続けた。
「……それと、万が一、何か異変を感じた場合は、すぐに引き返せ。いいな?」
その言葉に、生徒たちが一瞬ざわめく。しかし、ダリルの表情は変わらず、あくまで冷静さを崩さない。
「訓練中に油断は禁物だ。状況をよく判断し、冷静に対処しろ」
表向きはいつもと変わらない指導に聞こえるが、レオンはふと違和感を覚えた。
(……何かあったのか?)
まるで、すでに異変が起きているかのような言い方。しかし、それ以上の説明はなく、ダリルは話を締めくくった。
「では、これより討伐訓練を開始する。各班、準備ができたら順次出発しろ!」
ダリルの号令とともに、生徒たちは班ごとに動き始めた。レオンたちの班も、それぞれ装備を確かめ合いながら、討伐区域へと足を踏み出していく。
しかし、ダリルの言葉が頭の片隅に残ったまま、レオンの胸には妙な予感が拭えなかった。




