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最強の学園で、最凶の運命に挑む ―それでも、俺たちは運命に抗う―  作者: sakura
入学式と討伐訓練

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討伐訓練へのカウントダウン


 午後の授業の代わりに行われたホームルーム。教室に集まった生徒たちの前に、担任のダリルが立っている。彼の厳格な視線が教室全体を見渡し、生徒たちは自然と静かになる。


「いいか、お前たちに重要な連絡だ。」


 低い声で始まるその言葉に、生徒たちは緊張を覚えた。


「2週間後、校外での魔獣討伐訓練を行う。これに備えて、各自、装備の手入れや持ち物の準備を怠るな。中には魔法が通じにくい個体や、強力な群れを形成する魔獣もいる。チームワークが試される場だ。お前たち生き残れるかどうかは、準備と心構え次第だ。」


 その言葉に、教室内はざわつく。討伐訓練は学園でも過酷な実技訓練の一つとして知られており、軽症で済む者はいないという伝説さえ残っている。


「実施場所については追って連絡する。なーに、俺も含めた数名の教師達もついてるからな。いざとなれば助けに行くさ。だけど俺に頼るのは最後にしてくれよ。俺は老人じゃないが、若いお前らより疲れるんだ。」


 ダリルのその言葉に安心したような声を漏らす者や、それでも不安を拭いきれない者などで教室のざわつきは最高潮に達しようとしていた。そんな教室をダリルは視線を一巡した後に咳払いと共に手を鳴らした。その一連の動作で静けさを取り戻した教室にダリルは満足そうに頷きながら続ける。


「今日の授業はここまでとする。午後は自由時間とするが、この訓練に向けた準備を優先しろ。いいな?」

 

 そう言い残しダリルは教室を後にした。残された生徒達は班づくりに勤しんでいた。


「ぜフィスくん、良ければ一緒の班にならない?」「あ!抜け駆けズルい!」「ウチの方がぜフィスくんに相応しいの!」「ぜフィス様……」


 クラスで1番の人気者で実力者のぜフィスの下にはたくさんのクラスメイトが集まってぜフィスとチームになるのは自分だと熾烈な争いを行っていた。当の本人は涼しい顔をしながらもみくちゃにされていた。


「ライズくん、僕たちと一緒のグループで訓練に望まないか?」「俺なんかで良いのか?」「もちろん!俺たちのチームに入ってくれれば鬼に金棒だ!」「ああ!1位間違いなしだね!」「ならよろしく頼もうかな」


 ぜフィスに次ぐ実力を持つであろうライズの下にも何人かのクラスメイトが集まり勧誘を行っていた。そんな中レオンはというと……


「あなた、あのライズに勝ったのよね?」


 誰にも誘われないでいた。


「………………」

「なんとか言ったらどうなの?」


 この学園にはレオンの事を気に入らないと思っている層が複数いた。その理由はレオンが特に優れた出自ではない事が大きな要因であった。いくら実力主義の学園であっても全ての者たちの考えがそうであるとは限らず、才能とは生まれながらに有しているものでそれは血統で決まるといった血統至上主義も特に貴族生まれの者たちには少なくはなかった。

 そんな中レオンは特に偉大な出自という訳では無い中、ぜフィスに善戦、ライズには勝利といった戦績を収めていた。

 血統至上主義の生徒たちからすれば、そんなことは認められるはずがなかった。

いくらミレーナの弟子として才を磨いてきたとはいえ、“磨く土台”が凡庸であれば意味がない──と、彼らは信じている。


その価値観に感化された者や、貴族に逆らうのを恐れてレオンと距離を置く者。様々な理由が重なり、レオンは孤立気味になっていた。


 クラスメイト達の輪を自分の席から眺めるレオンだったが、少しの時間で気持ちに整理をつけリリスに向き直る。そこにはいつの間に現れたのかカイルとティアの姿もあった。


「ちょうどいい。なあ、この訓練なんだけどさ、もしよければ俺たちでチームを組んで挑まないか?」


 その提案にカイルが即座に応じた。

 

「もちろんだとも!お前ら以外と組む気なんてさらさらないしな!」


 ティアも笑顔で頷く。

 

「私も賛成!このメンバーならきっと大丈夫だと思う!」


 リリスは一瞬考え込むような仕草を見せたが、静かに頷いた。

 

「…いいわ。みんな、それぞれの戦闘を実際に見ているからね、このチームが最適だと思うわ。」


 こうして4人は自然とチームを結成することになった。


「そうと決まれば!準備を兼ねて学内のお店を見に行こう!」

 

 ティアの提案に皆同意し、一行は学園内の市場へ向かう。学園の敷地内には、生徒たちの訓練や日常生活を支えるための店舗が多数出店している為、諸々の準備をするのにはうってつけであった。


――――――


「それにしてもいろんな店があるな」

「さすがは学園都市って感じだよね!」


 カイルとティアが周囲を見ながらつぶやいた。目の前にはないものを探す方が難しいくらいたくさんの種類の店が所狭しと並んでいる。食品を扱う屋台から魔法書の専門店など、賑わいは途切れることがない。


「見て!すごくきれいな石があるよ!」


 ティアが指を指している先には魔力石をあしらったアクセサリーを販売している露店があった。


「さすがはオルテナ学園。あんなに立派な魔力石も売ってるんだな。」

「魔力石?」


 レオンの言葉にティアは首をかしげている。


「ティアは魔力石を見るのは初めて?」


 リリスの問いかけにティアは少し考え込むようにしながら答えた。


「うん。見たことはあったかもしれないけど、詳しく知らないかも。これは普通の石じゃないの?」


 その言葉にカイルが笑いながら口を挟む。


「普通の石じゃないさ。魔力石っていうのは、一時的に魔力を増幅させてくれる便利なアイテムだ。でも使い切ると壊れてしまうから、使いどころを考えないといけないんだけどな。」

「一時的に増幅…すごいね。でも壊れちゃうんだ。」


 ティアが惜しそうな顔をすると、カイルは肩をすくめて続けた。


「まあ、その分効果は絶大だよ。特に魔力が不足してピンチのときには頼れる相棒になる。」

「なるほどね!ピンチの時の切り札として持っておくと安心できるね。」

「そういうことだな。」

 

 会話が弾む中、リリスは静かに露店の品々を眺めていた。魔力石に軽く手を触れると、微かに温かい感触が手に伝わってくる。


「この石、質がいいわね。表面の光沢が均一で、魔力の流れも安定している。」


 リリスが呟くと、店主の老人がにこやかに話しかけてきた。


「お嬢さん、よくお分かりだ。この石は学園近くの特別な鉱山で採れる貴重なものだよ。魔力の伝導率が非常に高くてね、特に魔力量の多い生徒たちに人気なんだ。」

「そう。興味深いわね。」

「リリス、すごくきれいな石だよね!私、買っちゃおうかな?」

 

 ティアが目を輝かせながら魔力石を手に取る。


「待って、ティア。」

 

 リリスが軽く手を挙げて制止する。


「こういう石は衝動買いしないほうがいいわ。魔力石にも属性とか傾向もあるからしっかりと見極めて買うべきよ。そうすれは無駄もないし、もっと良いものを見つけられる可能性が高いわ。」

「そっか…確かに。でも、これが一番いい石だったら?」

 

 ティアが不満げに石を手にし続けると、リリスは軽く笑いながら答える。


「そのときは、私が責任をもって一緒に見極めてあげる。」

 

 その言葉にティアは笑顔を見せ、石を元に戻した。

 

「さて、そろそろ武器屋に行こうか。」


 レオンが提案すると、皆が頷き、賑わう市場を抜けて目的の店へと向かった。


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