パーティを組もう
前話に少し……かなり重要な情報を追加しました。
見てない人は確認してきてください。
ショートエピソード
近所のガキ「ニンジャのお姉ちゃんだ! ゴザルゴザル! ニンポニンポ!」
ハク「もぉぉぉ! うっさいなぁ!」
近所のガキ「びえぇぇぇ!」
ハク「えっ……えっ……」
ケイト「わー泣かしたー」
ハク「わァ…ァ……」
ケイト「泣いちゃった!」
「あっ、レンさん。おはようございます」
「おう、おはよう、ハクのお嬢ちゃん。そっちの子は?」
「幼馴染のケイトです」
「どっ、どうも。ケイト・テイラーです……」
次の日の朝、集会所でレンと再会したハクはケイトを紹介する。
ケイトは思っていたより年上の男に少し緊張していた。
「俺はレン・フリーデンスだ。よろしくな。それで、話って?」
レンが切り出す。
ハクは昨日集会所の受付にレンが来たら朝に会いたいと伝言を頼んでいたのだ。
「今まで2人で討伐をしてたんですけど、キツくなってきまして……パーティを探してるんです。良ければどうですか? 無理でも誰か紹介とか……」
「俺は今はフリーだから問題ねぇが、俺みたいなおっさんより歳の近いやつに声かけた方が良くねぇか?」
「ハク、私以外に友達いないんです」
「うっ…………」
パーティ加入の相談でケイトからのエッジの効いた言葉にダメージを受けるハク。
事実とは時に残酷なのだ。
「ハクのお嬢ちゃんの腕は知っているが、ケイトちゃんはどうなんだ? 等級は?」
「準2級です」
うーん……と唸るレン。
ケイトの身体を見る。
茶色の髪をポニーテールに結い、胸には皮製の鎧。
手にはグローブと肘当て。
脛まで覆うブーツの上から覗く太ももは引き締まっていた。
「その歳でそれなら良くやる方だが、俺たちは1級だ。足手纏いにならねぇのかい?」
「それなら多分大丈夫だと思いますよ。ケイティは……」
パーティ内の実力差に不安を語るレンにハクが答える。
「……実際に見てもらった方が早いですね、練習場に行きましょう」
○
集会所近くにある練習場。
ギルドメンバーがトレーニングをしたり新しい武器を試したりする場所だ。
「ケイティー! 準備は良いー!?」
「バッチリー!」
練習場の端でハクは使い古されてそこら中に傷や汚れの付いた的の人形を5体設置すると反対の端にいるケイトに大声で呼びかける。レンも一緒だ。
ハクが急いで安全な場所まで離れる。
すると5体の人形の頭に矢が突き刺さった。
それを確認したらケイトとレンのいる方へ向かう。
「ほぼ同時か。すげぇな。1級にも引けを取らねぇぞ。何で準2なんだ?」
「あー。それはですね……」
耳を貸すようにジェスチャーする。
「その……ものすごく頭が悪いんですよ……」
「あ〜。筆記の方か……」
すごいでしょすごいでしょと胸を張るケイトをちらりと見て、ハクは目を逸らした。
つきっきりで勉強に付き合ったのだ。あれは思い出したくない。
○
「パーティの件、前向きに考えとくぜ。1人だと討伐は限界があるからな」
「「ありがとうございます(!)」」
2人で頭を下げる。
「それから知り合いに魔道師やってるやつがいるんだ。ちょいと癖が強いが、かなりの手練れだ。そいつにも声をかけておくよ」
「確かに魔道師もいればバランスが取れますね。ありがとうございます。よろしくおねがいします」
改めて礼を言う。
背を向けて手を振るレンを見送り、この日は解散となった。
「家でお菓子でも作ろうかな……」
「良いね! ハクの作るお菓子食べたい!」
何を作ろうかと考えながら2人で家に帰った。
ケイトは筆記試験の内容はほとんど忘れました。