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27. 子供扱いに怒る少女に芽生えた希望

その後、日が傾き始めるまでディオリーゼとヴァレイドルは街中を見て回った。

途中で歩き疲れたディオリーゼをヴァレイドルが抱えようとしたが、ディオリーゼはそれを断った。

だって今日は〈デート〉だったのだ。



夕暮れ前に無事に王宮に戻ってきた2人は、何食わぬ顔で夕食を食べ、それぞれの自室に戻った。

ディオリーゼも身を清め、既に眠る準備は終えている。

ただ、まだ気持ちが高揚していて、とてもじゃないが眠れそうにはない。


今日のことを思い出して、ディオリーゼはベッドの上でぷくっとその柔らかな頬を膨らます。

ヴァレイドルは自分を子供扱いすることがある。

〈デート〉の相手を抱きかかえる人がどこにいるだろうか。

しかも横に抱えるのではなく、正面から抱き上げようとするなんて。


ぷりぷりと一人怒るディオリーゼだったが、不意にぷすっと間抜けな音を立てて、頬から空気が抜ける。

だって、怒り続けるには、あまりにも今日の〈デート〉は完璧で最高だったのだ。



お日様の光の下で見るヴァレイドルは、いつもの何倍も格好良くて、いつもよりずっと質が低い服のはずなのに、まるで輝いているかのように見えた。

何も知らない自分の質問にも丁寧に分かりやすく答えてくれた。それが嬉しくて何度も何度もねだってしまった。

街に着いてからはほとんどずっと手を繋いでいて、ディオリーゼがどんなにふらふらと歩き回っても、優しく、でもしっかりとディオリーゼの手を包み込んでくれていた。


今までも当たり前のように触れ合っていたのに、なぜか今日の手の温もりと優しい目を思い出すだけで恥ずかしくなってしまう。



2人きりの街での〈デート〉は、予想以上にディオリーゼに新しいものを教えてくれた。

街や店について。そして、自分自身の気持ちについても。

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