第60話 すっきりとした始まり
現時点設定を軽く書いたのを投稿してます。
各キャラの名前や国をあったなーと思い出す程度に流し見る……ぐらいの気持ちで書きました。
朝日を感じ取り、薄らと意識が覚醒していく。
今までに無くすっきりとした気分があった。
そのすっきりとした思考は、まず朝日が入った事に疑問を示していた。普段はベッドのカーテンを閉めているはずで、大きな窓のカーテンを閉め忘れていてもベッドのカーテンを閉め忘れることは殆ど無い。
偶に星の光を眺めたくて少しだけ開けてしまう事はあるが。
果たして昨日はどうだったか……。
ゆっくりと目を開けると、安らかであどけない顔が目に入ってきたために思わず顔を逸らす。
「すぅ……すぅ……」
目の前の存在が小さく吐息を繰り返すたびにゆっくりと、小さく頭が動いた。
その様子を瞬きしながら見ていると、朧気ながら記憶が戻ってきた。
「そういえば……昨日は神楽と一緒に寝たんだっけ」
思わず声が出てしまい、神楽が起きるのではと思ったが、その兆候は無さそうだ。
起き出そうとして気づく。繋がれた手を引き抜くと、何の抵抗もなくするりと結合は溶かれた。
アタシよりも眠りが十分に深そうだった。
アタシの方が先に寝たという感じがある。少なくとも、最後に見た神楽はまだ元気そうだった記憶がある。
ということは、その後も少し長く起きていたのかもしれない。
ベッドの外を見れば、カーテンはされておらず、窓枠のカーテンも開け放たれている。
ここが一階だったら下手したら見放題だ、女子寮にあるまじき緩さである。
ゆっくりとベッドを出ても、神楽は起きなかった。
ううん、とか何かをむにゃむにゃと喋りながら、アタシが寝ていた箇所へとうにょうにょと動いてはいたが。
寝間着を脱いで簡単に制服へと着替えると、お風呂場へと顔を洗いに向かう。
何時もなら朝は女子でごった返しになる大きな洗面所も、今日は静かだ。ちらほらと少女達が見えるだけである。
昨日から学園が休みなのだから、惰眠を貪っている学生ばかりなのだろう。
完全に休日とばかりに、寝間着姿で着ているのも見かけるぐらいには、みな気が抜けているように見えた。
ふと、女子校は男子の目が無いからスカートの広がりとか気にしないという話を思い出し、ここもやがてそうなるのかなぁとふと思った。
歩きながら軽く見渡しても、普段喋るような仲の良い知り合いは見えない。
が、ちらほらと視線は受けるので見返すと目が合い、思わず会釈すると会釈される。
思わず、ふふ、と小さく笑ってしまう。会釈している相手が、誰が先輩で誰が同学年なのかわからないありさまなのに相手が照れくさそうに俯いてしまうのが何とも奇妙で面白いのだ。
とりあえず、そんな彼女達の間をそそくさと通り抜けるとざっと支度をしてトンボ帰りする。
あのままでは、何となく話し掛けられそうな雰囲気があったのも部屋から抜ける理由だった。
ついでに給湯室でお湯をポットごと貰う。
廊下も静かなもので、すれ違う学生は誰も居ない。
魔道具による明かりも、今は入り込む朝日に負けていて、薄暗い廊下が白く照らされ始めている。
窓辺に廊下に飾られた花が一心に太陽へと顔を向けている。
静かに部屋に戻ると、やはり神楽はまだ寝ていた。
ポットを置き、お茶の用意をするとトポトポとお湯を注ぐ。
コップはまだ買っていないので神楽からの借り物だ。
お湯が出るまでの間、椅子に音が出ないように座り込むと、小さくギシリと音が鳴る。
「……どうしよかなぁ」
といっても、やることは決まっている。
今考えているのは、神楽が起きるまで待つかどうかだ。
もしかしたら朝日がしっかりと昇るまで起きてこないかもしれない。
それだとちょっと遅すぎる。
今日からしばらく。
アタシは街でクエストをして日銭を稼ごうと考えていた。
次の更新は次の土曜日です。
軽い設定まとめを書いたのでだいぶ短め。
章分けしようか悩みましたが、元々章でまとめてないのでまぁいいかと思ったのでこのまま行きます。
あと投稿してから一年経ってましたね。わぁ。
またよろしくお願いします。




