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第201話 ご対面

そのまま一刻とはいかない距離だったものの、あくびが出る前には到着した。

 

 ジャイルズが馬車からひらりと飛び降りた後、手が差し出される前にさっさとアタシもピィラも飛び降りた。

 ジャイルズはやや残念そうにしていたけれど、恐らく身長差でもっと残念な事になってたんじゃなかろうか。ショタキャラでそれは厳しいところがある。

 飛び降りてから顔を真っ直ぐ上げれば、幾重もの巨大な柱が並び、人々がその間を歩いている。

 規模感が狂いすぎて、人が蟻のように見える。 

 どれもワンポイントとして金色が使われており、思わずげんなりする。

 屋根のある空間だけれど、魔道光ランプが燦爛と輝いており、金と合わせて余計に目が眩しい。

 

「相変わらず趣味が悪いですね……」


 ピィラが眉を顰めながら呟いた。

 

「お金を持つ者は救われるという感じかねぇ」


 こちらを先導している使者の人には聞こえてないんだろうけれど、敵地と言える真っ只中でよくやると思う。

 身なりの良い、多くの人が来ているが、どの人もやはり暗い感じだ。

 神に祈ればどうにかなるのではないかという期待で来ているのだろうか。


 神殿としての空間は短く、直ぐに内装が洋館へと切り替わった。

 奥行きのある広いホールだが、先ほどとは異なる広い空間である。

 高い天井にはシャンデリアが輝き、大理石の床には美しい模様が描かれている。

 思わず息を飲むのは、成金趣味といえども、優秀な芸術家を招き入れて作成されているからだろう。

 壁には宗教画や彫刻が飾られ、ここが美術館のようにも見える。

 武装した警邏の二人組が歩き回っているのが見える。


 使者は先導し、アタシ達を案内しながら歩いて行く。

 ホールを抜け、曲がり角を行き、方向感覚が狂いそうになる。

 通路には赤いカーペットが敷かれており、掃除をしているメイド達が何人も見かけた。

 アタシ達が通路にいると分かると廊下の端に素早く移動して頭を下げていた。

 老若様々だが、垂れた頭越しでも総じて美形に見える。

 と、大きな扉と、その両脇を護る守衛の姿見えた。

 近づくと、使者の手により扉が音も無く、スムーズに開かれていく。

 光が部屋に吸い込まれていくかのように消えていく。


「主がお待ちしております。どうぞお進みください」


 このゲームでは教皇とか呼ばれていたと思うけれど、主ねぇ。

 

 部屋の中へと進む。

 中央の部屋は、一部屋としては広大だ。

 奥に大きな机と何かを記述し続けている人と、後ろに控えている二人組が見える。遠くからでも背が高く、肩幅が広いように見える。武人だろう。

 一番奥は一面窓だ。薄いカーテンが引かれていて、こちらかは逆光になる。部屋の明るさはそれでも暗い。意図的に光を落としているかのようだった。

 壁際は全て本だろうか。天井まで埋まっているが、そこまで光が届いていない。

 神殿入り口で見かけたような、魔道光ランプの大量消費とは真逆の光景だった。


 歩き、威厳のある机の前で立ち止まる。

 年齢を重ねたお爺さんが一人。その後ろに立つ二人組は……かなり出来そうだ。フルプレートを着込んだ巨体が二人。ヘルムの奥から見られている。

 とはいえ……アタシは、その二人を見て、内心、少しだけ首を傾げた。立ち居振る舞い、挙動、うーん……。

 考えている傍で、使者が告げる。


「こちらがジャイルズ家の方々です」


 アタシ達を紹介すると、教皇は優雅な笑みを浮かべて立ち上がった。


「ジャイルズ家の方々、ようこそお越しくださった。お待ちしておりましたよ」


 皇帝の声は威厳に満ち、しかし親しみやすさも感じられるものだ。笑みの裏にあるはずの含みは欠片も読み取れない。

 この声色も所詮は飾りだ。ゲーム中の振る舞いを辛うじて思い出して、見た目と振る舞いに騙されないようにする。そもそも、待っていたのはこちら側である。

 ……そっと見た隣のジャイルズは、一瞬、かなり苦虫を潰したような顔をしていたので、何ともまぁわかりやすいものだった。

 

またしても月曜日になってしまった(寝るまで月曜日スタンス

今回は短めで申し訳ない。次の更新予定は引き続き、土曜・日曜深夜目標です。


追記:月曜更新となりますね……!

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