表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まだ見ぬ未来へ駆け抜けて!【改稿版】  作者: 小林汐希
26章 クリスマスイブの予約
98/170

97話 緊張してるか? あたり前です!




 私たちが手を繋いだのを確認して、珠実園の先生たちは黙って肯いて帰っていった。


「俺たちも、行こうか……?」


「はい」


 二人で電車に乗って向かった横浜港の大桟橋は、私も小学校の頃に社会科見学で来たこともある。


 それなのに今は本当に別世界にいるようだった。


 まさか自分がクリスマスイブにこの場所に立てるなんて思ってもいなかったもの。


「長谷川さまですね。お待ちしておりました」


 先生がロビーで名前を告げると、係の男性は私たちを他の人たちとは別の、奥の方のソファーが置かれているブースに通してくれた。


「よくこの日に取れましたね?」


「ずいぶん前から決めてた。松本と一緒にこの日を過ごしたいって……」


 先生の顔が赤い。そんなものじゃないよ。きっと見えないところですごく頑張ってくれたに違いないんだ。


 イブのナイトクルーズなんて、なかなか取れるものではないんだから。


 そもそも私と一緒に行けるかなんて、この間私の予定を確認するまで分からなかったと思うよ。


 この間、私のスケジュールを聞いたとき、ホッとした顔をしていたのはこれのことだったのね。



「もぉ、サプライズを仕掛るのが大好きな結花先生たちの影響ですよね? 流されやすいんですから」


 まわりを見ると、やはり同じように「クリスマスイブの特別な日に」というカップルがたくさんいるみたい。その中に混じってしまえば、私たち二人もそれほど目立つものではなくなる。


 これから約2時間弱の船旅。海の上から港街に施されたイルミネーションを見られると思うと否応(いやおう)なしに心の中がときめいていく。


 それでもこんなことはもちろん生まれて初めてだから、楽しみより緊張が先走ってしまいそう。


「顔が硬いな。緊張してるか?」


「もう、あたり前に分かりきっていることを聞かないでくださいよ。初めてのことなんですから!」


 すかさず「こんなのは俺も初めてだ」と先生も笑ってくれた。


「こういうことは最初から教えておいてくださいね。制服じゃなくてよかったですよ。どんな服装にすればいいか本当に迷ったんですから。結局これになりましたけどね」


 笑いながら「そうだよな、夏休みの前科があるもんな」と肩をたたいてきた。


 でも、先生もいつもの仕事で着ている物とは違うスーツ姿だ。もちろん私は言うまでもないけど……。


「もし制服だったら派手に目立っただろうな。そこまで完璧に変身してきたなら松本が高校2年生とはみんな思わないだろう」


「結花先生も茜音先生も同じ事言ってくれました。結花先生に今日の計画って話していました?」


「いや? 夕方から花菜を借りますとだけは言ったかもしれないけれど」


 それでも、勘のいい結花先生はきっと今日これから起きることは予想がついていたのだろう。


 私に特別なメイクをしてくれたのはその証拠だよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ