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第八話

 今回の仕事は『手紙の受け渡し』。

 現在『カザミドリ殲滅作戦』において暗躍しているとある人物と、指定された場所で接触し、〈ブツ〉を渡し受け取るという、それだけのミッションである。

 ようは、ちょっと遠出のお使いのようなものだ。

 周囲に最低限の警戒をしていれば、それだけで事足りる仕事。自分から首を突っ込んだり足を踏み外したりしない限り、難点はまったくない。まあ、俺達のような新米賞金稼ぎが任される仕事の危険度などこの辺りが関の山で、この前のコロノ山での捜索は、ただ単に運が悪かった――――というより、奴らに目をつけられていた俺達に原因があっただけだ。

 ちなみに、その「指定された場所」というのは、グランデル山である。

 これまたこの前来たばかりの場所であるが、しかし賞金稼ぎというのはひっきりなしにあちらこちらへ移動する仕事であり、逆にこの周辺で言ったことがない場所は皆無に近いので、たいして偶然だとも思わない。一年もこの仕事をしていれば、むしろ行ったことのない場所に出向く方が珍しいのである。

 ことこのグランデル村に関しては、遠方へ行く場合の中継地としても立ち寄ることが多い。俺がここを訪れるのはこれで五回目であり、おかげでこの村の宿屋のおじさんとはすでに顔見知りになっているのである。どれくらいの新密度かというと、

「おや、ダル君か。いらっしゃい」

 と、(発音しにくいのか知らないが)名前をはしょって呼ばれるくらいだ。……まあ、それくらいは別に気にしないが。

 俺はカウンターの方に歩を進めながら、

「どうも、ご無沙汰してます」

「一泊かい? まあとりあえず、ここに記帳してくれ」

 この宿屋の主人たる白ヒゲのふくよかな体型のおじさんは、いつも通りのにこやかな対応をしつつ、カウンター越しに台帳を差し出してきた。なので、俺は備え付けのペンを手にとって、そこにいつも通りの必要事項をつらつらと記入していく。

「ウチを利用してくれるのもこれで五回目だっけね? もうダル君も常連さんだなあ。ようし、特別に料金一割引きにしてやろう」

「え? そんな、悪いですよ」

「いやいや、遠慮しないでくれ。新米の賞金稼ぎってのは、懐が寂しいんだろう?」

 ……よく知ってるなあ。俺がこの宿をひいきにしてるのも、サービスがまともで比較的料金が低いからなのである。完全に見透かされてるな。

「図星か? かっかっか。まあ、気にするな。私の勝手な好意だ。実は私の息子も君くらいでね。頑張ってる少年を見てると、つい情が湧いてきちゃうんだ」

「息子さんがいらっしゃるんですか?」

「ああ、出て行ってしまったんだがね」

 白ヒゲをなでながら、おじさんは苦笑。

「有名な賞金稼ぎさんに弟子入りするって言ってね。一端の賞金稼ぎになるまでは帰らないとまで豪語して、出て行ってしまったよ。五、六年くらい前のことだがね。……果たして今はどうしてるやら」

「そ、そうなんですか……」

「ま、いつかあいつがひょっこり帰ってくるんじゃないかと待ってるわけで、逆に人生の楽しみが一つ増えたとも言えるんだがね。かっかっか」

 お腹を揺らして笑うおじさん。

 何とも前向きな捕らえ方だ。同じ失踪にしても、ルーの場合とは大違い。……まあ、状況が全然違うし、単純に比べるのも不躾だとは思うが。

「で、どうする? もう部屋に入るかい?」

「いえ、ちょっとこれから用事があるので、予約だけしておいて、ちょっと出かけてきます」

「そうかい。んじゃまあ、大きい荷物だけ預かっとこう」

「お願いします」

 そう言って、俺とギーンは背負っていた荷物をカウンターに預け、宿屋を後にした。



 今回の仕事において、俺達は相手方について何も知らされていない。

 これも荷物運びの仕事にはよくあることで、余計な情報を知ってしまうと、そのせいで命を狙われてしまうこともある。危険が増してしまうのだ。だから俺達は特に不審に思うことなく、この条件でこの仕事を請負ったのである。

 ただ、何も知らないと相手と落ち合うこともままならないので、当然のごとく時間と集合場所だけは決められている。そして時間通りにその場所にたどり着いているかどうかが本仕事の信頼性に関わるものなので、俺達は余裕を持って村を出て、


 グランデル山に向かった。


 日没まであと数時間はあるだろうという時刻。

 ふもとの村を眼下に見下ろせる崖の間際に、ぽつんと立っている木。ここが『指定された場所』である。

 約束の時間まであと十五分ほどあり、もしかしたら相手方はまだ来てないかも知れないと思いつつそこに到ったわけだが、俺とギーンがそこに赴くと、すでに二つの影があった。

 このグランデル山は何の趣もないハゲ山で、ここに散歩やハイキングや登山に訪れる人なんてまずいない。この山中で他人に会うことすら珍しいことで、間違いなくこの二人こそが今回の取引相手だろう。

 俺の隣を歩いていたギーンも同じ結論に達したようで、

「どうも、お早いですね」

 と、二人の方にすたすたと近づいていく。

 そのギーンの後方、一体全体こんな危険そうなミッションを遂行しているのはどんな人物なんだと思いながら、俺も二人の方へ近づいていって――

 ――そして俺は驚いた。

 片方は青白い髪のある種豪快そうな笑顔を浮かべた、四十、五十くらいのおじさんで、それはどうでもよかったのだが、もう一人――――それは俺が誰よりも見知っていて、誰よりも共に時間を過ごしていた、長身で細身で眼鏡をかけた青年――


 ――我が従兄弟、ラキだった。


「……え? ……ラ……ラキ……?」

 と、それだけを喉から搾り出すのが限界だった俺の反応に、ラキは五年以上毎日のように俺に向けていた穏やかな笑顔で、

「ふふ。お久しぶりです、ダルク」

 数ヶ月前と何ら変わらない声で、そう言ってくる。

 その俺のリアクションにきょとんとしたギーンが、

「……? お知り合いですか?」

「ああ。…………というか、従兄弟だ。この前まで一緒に住んでたんだが……」

「え? そうなんですか? ……はあ、確かに似てますね。まるで十年後のダルクさんを見てるようです」

 驚いた顔で、まじまじとラキを観察するギーン。

 ラキはそのにこやかな顔をギーンに向けて、

「ふふ。初めまして。ダルクの従兄弟のラキと言います。よろしく。……あなたがギーンさんですね? ふふ。ダルクから聞いてますよ。その歳でアステルギルド随一の頭脳派なんだとか」

「そ、そんな、滅相もありません」

 ギーンは照れ笑いしながら、

「というか、『カザミドリ』の情報収集をなさってるんですよね? ラキさんも賞金稼ぎなんですか?」

「いえ。数年前にちょこっとやっていたこともあったんですが、今は休業してるんですよ。ただ、腕には少々覚えがあるので、護衛のようなことをやってるんです」

 ……ぼやかすような言い方をするラキ。そりゃそうだろう。自分が世界に名を馳せる殺し屋『闇蛇』だなんて、そう簡単に名乗れるわけもない。

 ラキは話題を変えるように、

「……それよりもまず、こちらの方を紹介しましょう、こちらは――」

「はっはー、いやいや、初めまして」

 今さっきまで後ろで傍観していた青白頭のおじさんが、壮大な笑顔でずいっと前へ出てきた。

「どうもどうも、君がダルク君か。ラキ君から話は聞いてたよ。自慢の弟だそうで」

 そんなお世辞を並べながら、そのおじさんは俺に右手を差し出してきた。つられるように俺も手を差し出し、ギュッと握手をする。……痛い。力入れすぎだ、この人。

「それに、ダルク君、君にはウチの娘も世話になってるようだねえ。いやいや、その歳にしてずいぶん落ち着いた少年だ。実直そうだねえ。将来が期待できそうだよ。ふーむ…………君みたいな子がウチの娘を貰ってくれれば、私も安心なんだがねえ?」

 ……どういうことだ? 娘? 世話になってる? 俺に? …………って、ま、まさか、この白髪交じりの青い髪、もしかして、もしかしてもしかして――


「――私はコルート=シーア。ルーの父親だよ」


「る、ルーのお父さんっ?」

 思わず素っとん狂な声が出てしまった。

「……もとい、あなたがコルート博士なんですか?」

「いかにも」

 コルート博士は陽気な笑顔で大きく頷いた。

 ――コルート博士。

 五年ほど前、『銀石』の作成に成功したアステル国研究所の元所長。しかしその研究成果によりカザミドリに狙われることになり、家族の前から姿を消した人物だ。

 そしてルーの父親でもある。

 元々ルーが賞金稼ぎを始めたのも、情報の流れが大きい場所に身を置き、さらに人探しのスキルを上げて、いつかこの父親を見つけ出すためだったのだ。

 この父親との再会が、ルーの悲願なのだが――

「――というか、あなたがカザミドリの情報収集を行っていたんですか?」

「ああ。身を隠すついでに、逆に敵について色々調べてたんだ。このラキ君に護衛してもらいながらね」

 ……そうだったのか。

 確か、この前のリンクさんの説明には「『銀石』の研究は七割がた終わっている」っていうのがあったが――――そうか、そうだよな。〈どこまでできれば研究の七十パーセントが終わってることになるのか〉なんてことは、専門外の人間にわかるわけもない。というか、百パーセントを知っている人間じゃなきゃ、七十パーセントを目算できるとも思えない。それが分かるのは、この世界で唯一『銀石』を作ったことがある人――――コルート博士。この人にしか扱えない情報だったんだ。

 俺は納得しつつ、博士の外見を眺め、

「……無事だったんですか?」

「ああ。表立って行動できないのは相変わらずだがね」

「……無事なら無事と、ルーに伝えてあげることはできなかったんですか? ルーは、今までずっとあなたを探すために一生懸命だったんですよ?」

「ああ、そうだね。娘には悪いと思ってる。……ただ、『失踪』そして『生死不明』としておいてもらった方がよかったのさ。家族を人質にとられる心配があったしね」

「……でも――」

「それに、コンタクトを取る術がなかったんだ。あの娘の周りにもマークがついてたりしてね。だから、いい機会だから、君からあの娘にそれとなく伝えておいてくれないか? 『父さんは無事だ。すべてが解決したら会おう』ってね」

「……はあ、分かりました」

 結局まだ再会するわけにはいかないのは何ともじれったいが、生きてることがわかっただけでもルーには朗報だろう。これであいつも、少しは落ち着くだろうか。

 と、コルート博士はギーンの方を振り向き、

「……まあ余談はこれくらいにして、早速仕事の方に移ろうか」

「あ、はい。ええと……これです」

 ギーンはカバンからギルドで渡された封筒を取り出し、コルート博士に差し出した。

 博士はそれを受け取り、

「ありがとう。助かるよ。ここには援助資金も入っててね、これがないと食事ができなくなるんだ――――で、こっちから渡すのは、この手紙だ。リンクさんに渡してくれ。よろしく頼むよ」

 そう言って、今度はコルート博士がギーンに封筒を渡す。メモ帳ぐらいの、やや小さいものだ。

 それをカバンにしまうギーンを横目で見つつ、この中にはどんな情報が書かれてるのかと思っていると、コルート博士が俺の疑問を汲み取ったように、

「そこに書いてあるのは、カザミドリの最近の動向だ。……まあ、君らもそのうちギルド本部の人間から聞くことになると思うから暴露しちゃうとね、奴らの『銀石』の研究は終わったらしい」

「……終わった?」

「つまり、完成したってことだ」

 …………!

「あいつら、最近になって『白石』と『黒石』を回収し始めててね、その研究スピードが飛躍的に上昇してたんだ。いつ完成するのか冷や冷やしてたんだけど、一昨日カザミドリの研究施設に潜入したところ――というか、ラキ君に潜入してもらったところ――研究は終わってた。完成してたんだ」

「……じゃあ、あいつらは、その『複数の国を相手に戦争ができるくらいの戦力』ってのを手に入れたってことですか?」

「そう、そういうこと。……本当、まいったよ。私が関わらなければもう少し時間がかかると思ってたんだがなあ……」

 頬をぽりぽりかきながら、ため息をつくコルート博士。

「……というか、博士。一つお尋ねしたいんですが」

 不意に、ギーンが質問を投げかけてきた。

「その『銀石』の性能っていうのは、一体何なんです? 一度開発したことがある博士なら、ご存知なんでしょう?」

「まあね。……ただ、これを教えちゃうと、他の人間までこれが欲しくなるかもしれないから、あんまりおおやけにしたくないんだけど――」

 腕を組んで思い悩むような前置きをした後、コルート博士は、

「――まあ、それを知らないと逆に君らが危険になるから、情報として与えといた方がいいかな。……ええと、知ってるかどうかわからないけど、『銀石』っていうのは、『黒石』と『白石』を混ぜ合わせて作るもんなんだ。まあ、両方とも扱いづらい『石』だからね。混ぜ合わせるために色んなデータとノウハウが必要なんだけど」

「へえ……」

 ギーンは感嘆を漏らす。

 それを以前に〈あいつ〉から聞かされていた俺は、別段驚きはしないが。

「それはつまり、無限のエネルギーと無限の無を混ぜ合わせるということ。ようは、プラス無限大とマイナス無限大を足し合わせるようなものだ。計算不能。黒と白の接合部で、計り知れないエネルギーが一瞬で生まれ、一瞬で消える。これによってね――


 ――空間が歪むんだ」


「……空間が?」

「そう。そしてこの『銀石』が発動すれば、その周囲の空間にあるものすべてが――形や質量や強度によらず、あらゆるすべてものが――破壊され、消え去る。シールドを張っても、その壁ごと消されちゃうわけだからね。文字通り空間が壊される。巨大な城も爆弾一個で消滅させることができる。防ぎようがない。無敵の攻撃になるわけだ」

「……む……無敵」

 ギーンは声にならない声で、

「……だ、だからカザミドリは躍起になってそれを開発し、国はそれを阻止しようとしてるんですね」

「そう。そういうこと」

 ゆっくりと頷くコルート博士。

 ……そりゃ、確かに危険だ。あんな危ない集団にそんなものを使わせたらどうなるか、分かったもんじゃない――――というか、

 ここで一つ、俺の中に疑問が生まれた。

「……あ、あの、博士」

「ん? なんだい? ――――というか、ダルク君。『博士』なんて呼ばずに、さっきみたく『お義父さん』って呼んでくれて構わないんだよ? 我が息子よ」

「『お義父さん』なんて言ってません! 『ルーのお父さん』です! ……というか、『銀石』の開発が終わったなら、あいつらはもう博士には用はないはずじゃないんですか? なら、もう自由に動けるんじゃないんですか?」

「はっは、それがさあ、さらに面倒くさいことになっちゃってね」

 コルート博士は、相変わらずの豪快な笑顔に困ったような雰囲気を交えて、

「実はその『銀石』ってのがさ、その構成からしてすごく不安定なものなんだ。十度くらい温度を上げただけですぐ発動してしまうくらいにね。だから、普通の銃や砲台で『銀石』を飛ばすことができないんだ。発射させた瞬間、砲台の熱で『石』が発動してしまう」

「……じゃあ、『銀石』は遠距離攻撃には使えないってことですよね? なら安心していいんじゃ――」

「それが、そうでもないんだ。熱を生まずに弾を発射できるシステムがあるんだ」

「何です?」

「ルーの側にいた君なら知ってるんじゃないか? それは――


 ――『青石』の銃、『サイキ』だよ」


「あ…………」

 思わず声が漏れる。

 コルート博士は、だらしなく口を半開きにしてしまった俺をにやりと見やり、

「そう。私がルーに渡した銃『サイキ』は、『青石』の性質を利用して、わずかな温度上昇だけで弾を発射することができるようにしてある。『銀石』は『白石』の影響を『黒石』で相殺しているからね。発射する瞬間には熱をほとんど生まないんだ。だから逆に『サイキ』が熱で壊れることもない。あの銃ならば、その不安定な『銀石』を問題なく飛ばすことができるんだよ」

「……ってことはつまり、今狙われてるのは――」

「そう。『サイキ』および、私の頭の中にあるそのシステムの設計図だ。そのせいで、最近ルーの周りのマークも厳しくなってるんだよ。あの娘と一緒に行動してて、誰かの視線に気付いたことはなかったかい?」

 誰かの視線? …………あった。

 以前、赤雷鳥のタマゴを取りにコロノ山に行った時、馬車停留所の側で変な視線を感じたことがあった。あれはてっきりウェリィのものだと思っていたが…………そうか、違ったのか。もしかしたら、イヴが言ってた「最近君らの株が上がってきてる」というのも、そういうことだったのかもしれない。

「はっは。まあそういうわけで、私はまだルーに会うわけにはいかないし、私自身もまた姿を消さなければならないわけだ。……まったく、科学者ってのは難儀な職業だよねえ。まあ、好きでなったんだけどさ」

 と、ここでコルート博士は腕時計を眺め、

「じゃあ、貰うものは貰ったし、渡すものは渡したし、とりあえずこの辺りで別れようか。あんまり一つの場所にいるのも危険だしね。じゃあ、ラキ君」

「そうですね。行きましょうか、博士――――と、その前に一つだけ」

 そう言って、ラキがおもむろに俺の近くに寄ってきた。

 そして吐息が頬にかかるくらいに俺の耳に顔を近づけてきて、博士にもギーンにも聞こえないくらいの小声で、


「……ふふ。段々雰囲気が出てきましたね、ダルク。そろそろ社会勉強も終わりにして、『本職』の仕事を始めてもいい頃合ですよ。〈二つ名〉も貰ったことですしね。私が太鼓判を押します。ふふ。あなたと肩を並べて、私達の『生業』に赴ける日を楽しみにしてますよ」


 そう言うと、ラキは俺の耳元から顔を離した。

 俺は頭を真っ白にしながら、その言葉だけを記憶に留める。

 ラキは相変わらずの人当たりのいい微笑のままで俺に手を振り、コルート博士と共に山道を下りようと歩き出した――――その瞬間だった。


 ――ドォグゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン


 目の端に白い閃光が走り、同時に唸り声のような、耳に痛いほどの低音が鳴り響いた。

 風が荒ぶ。

 地面が揺れる。

 何事かと思って周囲を見渡し、そして崖の下に視線を向けて、ようやくその光と音と振動の発生源が分かった。

 数百メートル下、つい三秒前までそこにあったはずの村が――


 ――黒いサラ地と化していた。

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