第一章 第九話
「うーん・・・。」
数週間後、俺は宿の食堂でカミラのことで頭を悩ませていた。
色んなモンスターを倒して、俺とウルファはレベルが12になった。
だが、カミラのレベルは8・・・。
実は出会った時からほとんど上がっていない。
街の近くにはあまり群れで活動するモンスターは居ないし、遠くまで行くには1日に数発しか撃てないという制限が厳しい。
あまりモンスターを倒すことができないので、カミラのレベルが中々上がらないのだ。
だが、このままではいずれクエストに連れていくことができない。
魔力をうまく使えるように練習するにも、既に何年もしてきたらしいので、どうにもならないだろう。
何か解決策を考えないと・・・。
「いっそ冒険せずにお留守番というのは・・・。」
「ヤダヤダヤダ!!」
カミラが子供が駄々をこねるように涙目で言う。
「おや?どうしたんだい?」
と、そこで【魔女の帽子亭】の女将さんであるアリステラさんがやってきた。
「ちょっと困ってまして・・・あ、そうだ。」
そういえばアリステラさんは元々冒険者だと言っていた。
しかも、宿の名前から察するに魔法使いの可能性が高いな。
「実はカミラの魔力が強すぎて・・・。」
俺はカミラについて説明する。
「ふーん。なるほどね。そうだね・・・ないこともないが。」
あるのか!
「お願いします。教えてください!」
俺は頭を下げる。
「方法は精霊と契約して召喚士になることだ。」
召喚士だと?
アリステラさんは説明を続ける。
「召喚士は魔法使いからジョブチェンジした職業でね。契約した精霊を召喚して戦わせることができるんだよ。だが、召喚は魔力の消費がかなり多いため、なれる人が滅多に居ない。だが、カミラちゃんがそこまで魔力が多いっていうのなら、そこは問題はないだろう。」
ほうほう。
それならカミラにちょうど良いな。
カミラも問題が解決する可能性があると知って、目を輝かせている。
「あんたたちがウッドマンを討伐しに行ったあの森は、精霊の森って言ってね。森の奥に湖があって、そこにウンディーネが住んでいると言われているんだよ。問題は・・・。」
「眷属!行くぞ!」
「カミラ!ちょっと待てよ!すみません、アリステラさん!ちょっと行ってきます!」
アリステラさんの話の途中なのに、カミラは出て行ってしまった。
慌てて俺は追いかける。
「あっおい!・・・行っちまったか。全く・・・精霊と契約するにはその力を見せる必要があるんだが・・・。まぁ、危なくなったら逃げるだろう・・・。」
そういってアリステラは仕事に戻った。
「はああああああ!」
俺のスキル【剛撃】の一撃でウッドマンが真っ二つになる。
【剛撃】とは力を貯めて、強力な一撃を叩き込むスキルだ。
今、俺たちはウルファとも合流して、森の奥へ向かっている。
この森のモンスター程度なら、簡単に倒せる程度に強くなったが、問題はバトルベアーだ。
今や倒せない相手ではないと思うが、連戦するのはきついので、できれば出会いたくないんだが・・・。
「グアアアアアア!」
フラグだったらしい。
「くっ!やるぞ!ウルファ、カミラ!」
ドスッドスッと森の奥からバトルベアーが走ってくるのが見える。
前回は逃げたからリベンジと行こうか!
少しの間、午前8時と午後8時の一日二回更新の予定です。
代わりに1話が短くなっていますが、ご了承ください。