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第一章 第八話

「つまりお前は一日に2~3発しか魔法を撃てないと?」

なんとか街まで帰ってきた俺らはギルドの酒場で軽くご飯を食べながら、話をする。

「うむ!」

何故かカミラはどや顔で言う。

俺は頭を抱える。

確かに威力は高いかもしれないが、威力が高すぎて使える場所が少ない。

さらに一日数発しか撃てないとなると、使いどころが難しすぎる・・・。

俺がため息をつくと、カミラがビクッとした。

「やっぱり・・・私いらない・・・?」

さっきまでのどや顔はどこに行ったのか。

カミラがショボンとした顔になる。

「何度かパーティに入れてもらったけど、使えないからいらないって言われて・・・。」

その発言にウルファがおろおろしだす。

「ごめんなさい・・・。また、新しいパーティ探すから・・・。」

カミラが席を立ってどこかに行こうとする。

「待て。」

俺はカミラを止める。

「俺とお前は契約したんだろ。それならしっかりと契約は守らないと。それに、もう他に入れそうなパーティは無いんだろう?」

その言葉にカミラの目がどんどんとうるんでいく。

「いいの?迷惑かけるよ?」

うん、まぁ、パーティに入れる時点でわかってたし、こんな小さな子を見捨てるのも罪悪感あるしな。

「うわああああああん!!!」

またもや泣きながら、カミラが抱き着いてくる。

やれやれ・・・この子、ものすごい泣き虫だな。


「えへへへへ。眷属ー!」

さすがに俺に責任はないとは言え、女の子を泣かしたには変わらない。

俺を見る周りの人の目が、どんどんと痛いものになってきたので、ご飯を一気にかっ込んで、逃げるように店を出た。

そのころにはカミラも笑顔になっていて、今俺の右腕に抱き着いている。

それに嫉妬したウルファがカミラに対抗して、左腕に抱き着いている。

歩きづらいというのも問題だが、それ以上に非常に恥ずかしい。

だが、振りほどくというのも可哀想だし、早く宿に行くしかない。

と早歩きで宿に戻りながら、ふと気づく。

「そういえば、カミラの宿ってどこだ?」

いくらカミラが冒険者であろうとも、小さな女の子だ。

まだ夕方とは言え、送って行かないわけにはいかないだろう。

「私?宿なんて泊まってないけど?」

カミラは親に追い出された時に多少渡されたお金で、生活していたが、最近はお金がなくなったので、野宿だったらしい。

女の子が野宿て・・・。

「だから、今日からはお前らと一緒の宿に泊まるぞ!」

不憫な子だな・・・。

【魔女の帽子亭】に到着したら、早速、受付の人にカミラを紹介する。

「すみません。この子の部屋を借りたいんですけど。」

「え?」

カミラがそこで驚愕の表情になる。

なんでお前がなるんだ?

「一緒の部屋じゃないの?」

「いや、普通、部屋は別々だろう。」

「やだやだ!眷属と一緒じゃないとヤダ!」

そんなことを言われてもだな。

そこで受付の人が爆弾発言をする。

「今ちょうど部屋の空きがないんですよね。だから、一緒の部屋で良いんじゃないすかね。どうせ片方のベッド使ってないですし。」

「え?眷属?ウルファと部屋が一緒?それに、なんでベッド一つしか使ってないの?」

受付の人の言葉を聞いた瞬間、カミラがほっぺたをプーッと膨らませながら睨んでくる。

「ご主人様は私のご主人様だから良いのです!」

ウルファが俺とカミラの間に立つ。

カミラがぐぬぬと唸っている。

「そ、それなら私だって、ご主人様だから一緒の部屋で何も問題ないな!?」

今度はウルファがうぐっと呻く。

というか俺の意志は?

部屋が空いたらウルファとカミラを同室にして、俺は一部屋にしよう・・・。

最終的にウルファとカミラの口論は、カミラに軍配が上がったようだ。

「ふっふーん!喜べ、我が眷属よ!私も同室だぞ!うれしいだろう!」

ウルファはしょぼーんとし、カミラはどや顔だ。

いや、同室になったところでどうにかなるわけじゃないんだが・・・。

受付の人がものすごいニヤニヤしている。

「うわーい。ベッドだー!!」

カミラがベッドにダイブする。

とりあえず俺も疲れたので、もう一つのベッドに横になる。

「お湯もらってきますね。」

ウルファがまた、受付に戻る。

この世界にはお風呂がないことはないんだが、貴族とかしか使わない。

だったらどうするのかというとタオルをお湯で濡らして身体を拭くだけなのだ。

正直、風呂が好きなわけではないが、身体を拭いただけでは全くさっぱりしないので、なんとかしたいところだ。

お金を貯めて、家でも買ったらお風呂をつけよう。

その為には冒険者としてもっと頑張らないとな。

しかし、どうやらかなり俺の身体能力は上がっているようだ。

いくら小さくてもカミラは数十㎏はあるだろう。

だが、それを小脇に抱えて、長時間走ることができた。

これが女神様が言っていたモンスターと戦えるようにするってことなのだろうか?

そんなことを考えていたら、カミラがこっちのベッドに入ってくる。

「ねぇねぇ眷属ー。そろそろ約束をはたして欲しいなー。」

そう言いながら俺に馬乗りになる。

「約束?」

え?何?この状況?

そのまま身体を倒して、カミラが俺の首筋をペロペロ舐めだす。

「忘れたの?ちゃんと毎日血をもらうって言ったよねー。」

げっ!忘れてた!

「それじゃあ、いただきまーす!」

カミラが俺の首筋に噛みつく。

もしかしたら、ものすごく痛いのでは?と思ったが、噛まれた瞬間にちょっとチクッとしただけだった。

問題は・・・。

「なんかすごく気持ち良いんだけど・・・。」

「吸血鬼の吸血は、血の代償として快楽を与えるってお母さんが言ってたよ。」

そういえばそんな設定あったな!

「眷属の血おいしい・・・。もっと吸っちゃダメ・・・?」

カミラが上目遣いで聞いてくる。

これは・・・やばい・・・。

理性ではダメだとわかっているのに、身体がもっとしてほしいと思っている。

もうちょっとぐらいなら良いだろうか・・・?

「あー!!!!ご主人様に何をしているのです!」

快楽に負けて、カミラに許可を出そうとしたところでウルファの声が聞こえた。

その声で俺は正気に戻った。


「どうしてこうなった?」

あの後、散々ウルファに怒られて、身体を拭き終わった俺らは寝ることに。

ちなみにこの部屋で身体は拭いているが、部屋には仕切りがあるので、ちゃんとお互い見えないようにはしている。

もっとも怒られているうちにお湯は冷めてしまい、身体を拭き終わる頃にはすっかり身体が冷えてしまったが。

それはカミラも同じだったようで、俺がベッドに入ると、カミラも寒いーと言いながらベッドに入る。

ただし、俺が寝ているベッドに。

さらにウルファも狼ではなく、人型で入ってくる。

せめて狼型にと言ったが、カミラは良いのにですか?となんか怖い笑顔で言われたので、許可するしかなかった。

最終的に俺はカミラとウルファに片腕ずつ抱き着かれた状態に。

結局、使うベッドは一つだけかよ・・・。

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