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第一章 第七話

「ぶべっ!」

吹き飛んで地面に落ちた俺は、無様な声をあげる。

「ご主人様大丈夫ですか?」

ウルファが駆け寄ってきて、俺の心配をする。

「大丈夫だけど、一体何があった?」

「ふはははは!見たか!我が眷属よ!これが私の魔法だ!」

どうやらカミラの魔法に巻き込まれたらしい。

こっちのことを巻き込んでおいて、カミラはどうだ!と言わんばかりにどや顔している。

おぉ、えらいえらい!

「なんて言うかバカ!」

ズビシッ!とカミラのおでこにチョップする。

「あいたー!!」

チョップを喰らったカミラがぬおおおおおと、おでこを押さえてうずくまる。

「な、何をするんだ、我が眷属よ!」

復活したカミラが俺に文句を言ってくる。

「お前!もうちょっと手加減しろよ!森が大変なことになっているじゃないか!俺も吹っ飛んだし!もっと弱い魔法があっただろう!」

というか現在進行形で森が燃えている。

「早く火を消さないと!」

「ふっふっふ。私に任せるが良い!【ウォーター】!」

カミラが声高らかに呪文を唱えると、ゴゴゴゴゴと音がし始めた。

物凄く嫌な予感がするんだが・・・。

逃げよう!

だが、それよりも早く空より大量の水が降ってきた。

「ぎゃあああああああ!」


「よーし、何か言うことは?」

目の前には正座したカミラが居る。

「えーと・・・?何故私は正座させられているのでしょうか?」

ビキッ。

俺の額に青筋が浮かぶ。

火は確かに消えたが、間違いなく威力と範囲がおかしい。

おかげで全身ビッショビショだ。

「よーし、言いたいことはそれだけだな?」

笑顔で言う俺の目が笑っていないことに気づいたのだろう。

カミラが焦りだす。

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

とりあえず、謝罪の言葉をもらったから良しとしよう。

カミラを立たせるが、足がしびれてうまく立てないらしい。

足がプルプルしている。

「あ、ご主人様終わったのです。」

「お、よくやったぞ。」

カミラを正座させているうちにウルファはウッドマンの死体(?)をギルドに転送していた。

あの爆発でよく残ってたな。

黒こげにはなっていたようだが。

ご褒美として、俺はウルファの頭を撫でる。

「グルルルルル・・・。」

その時、何かの唸り声が聞こえてきた。

ウルファの頭を撫でるのに気を取られて、新たなモンスターが接近していたのに全く気が付かなかった。

ウルファはウルファで俺に撫でられるのに意識を集中していたようで、同じように今気づいて慌てだす。

カミラはカミラで足の痺れといまだに戦っていたようだ。

全員一斉に唸り声がした方向を見るとそこには熊のようなモンスターが・・・。

滅茶苦茶強そうなんですけど・・・。

「ぴぎゃああああああ!!」

一番熊に近かったカミラが悲鳴を上げる。

逃げようとしているが、足が動かないのだろう。

なんとか這いずって逃げようとしているが、ものすごく遅い。

「グアアアアアアアアアアア!!」

俺はカミラを回収し、脇に抱えて、全力で撤退する。

「先行します!」

ウルファが俺の前を走り、俺が走りやすいようにダガーで邪魔な木の枝を斬りおとしながら走る。

「グアアアアアアアア!!」

【バインド】が解除されたモンスターが追ってくる。

「早く!早く逃げて!あれはこの森の奥に居るはずのバトルベアー!滅茶苦茶強いという噂のモンスターだから!」

カミラが解説する。

しかし、それだと不思議なことが一つある。

今居るこの場所は森のかなり浅い場所だ。

じゃあ、あいつは何故こんなところにいるんだ?

蜂蜜でも採取しにきたのか?

「バトルベアーは、大きな音に寄って来るの!おそらく、あいつは私の魔法の音に引き寄せられたんじゃないかな!」

「お前のせいかあああああああああ!!!」

俺の叫び声が森に響く。

今日のトラブルの原因、全部こいつじゃねぇか!!

カミラを投げ捨てたい衝動に駆られるが、なんとか我慢する。

「カミラ!【イグニッション】だったか?他の魔法でも良い!あいつを攻撃して足止めしろ!」

さすがにこのまま逃げるのはきつい。

「無理よ!」

「なんでだよ!このままだと追いつかれるぞ!」

「実は、もう魔力がないの!」

「は!?お前まだ二回魔法を唱えただけだろ?まさか両方とも上級魔法だったとかか?」

確かに攻撃範囲がおかしかったし、初級魔法とは考えられないか。

「いや、あれは上級魔法じゃなくて、生活魔法というものなの。」

おい、ちょっと待て。

それって・・・。

「攻撃魔法ですらないじゃねぇか!」

冒険者はクエストの関係で野宿をすることが多い。

しかし、それでは水に困ったりする。

それを解決するのが生活魔法だ。

要するに火を出したり、水を出したりするだけの魔法だ。

だが、戦士とかでも使えるようにかなり魔力の消費が少なくできていて、着火ができるライター程度の火を出したり、料理に使える程度の水が出る程度はずだが。

「私は膨大な魔力を持っているのだが、その分まともにコントロールできないの。おかげで生活魔法を一度唱えるだけで大半の魔力を持って行かれちゃう。」

大量の魔力を持っているのにコントロールができないせいで、蛇口が全開みたいな感じのようだ。

ライターの火に大量の燃料を投入した状態なのが、あの【イグニッション】や【ウォーター】だ。

そうだよな!

イグニッションって意味は点火だからな!

メ○ゾーマではない・・・メ○だ・・・ってか!

やかましいわ!

「もうお前置いて行って良い?」

「眷属うううううう!見捨てないでええええ!!!」

うるせぇ、暴れるな!

本当に落とすぞ!

「【バインド】!!」

バトルベアーが追いついてきたところで、ウルファがスキルを使う。

【バインド】は盗賊のスキルで、空中から鎖が出現して、少しの間相手の動きを封じるスキルだ。

モンスターが動きを封じられている間に、全力でダッシュする。

なんとかウルファのおかげで、バトルベアーを振り切ることができた。

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