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第二章 第五話

あまり時間はないが、下手に動くと最悪操られている冒険者を殺すことになってしまう。

だから急ぎ打ち合わせをする。

「それはさすがにあの人たちが可哀想ではないですか!」

首輪をつけた女性冒険者の一人が、カミラの作戦に対して難色を示す。

「だが、どうせあいつらを無傷で助けるのは無理だ。多少苦しい思いをする程度は仕方ないだろう。それに代案を考えている時間もない。」

一番ランクが高いチームのリーダーがまとめ役をやっている。

熟練の雰囲気を醸し出すおっちゃんだ。

カミラの作戦はこうだ。

ウンディーネのスキルに【タイダルウェーブ】というものがある。

津波を召喚し、かなりの広範囲を攻撃するスキルなのだが、それで敵軍を冒険者ごと攻撃する。

どうせ全員無傷で助けることは現状では不可能なら、いっそ殺さない程度に威力を抑えて、冒険者たちを戦闘不能にし、あとは弱ったモンスターをまともな冒険者で片づけるというすごくひどい作戦だ。

「問題はサキュバスだ。おそらく、あのモンスターの群れのかなり後ろの方にいるだろう。自身の戦闘能力はあまり高くないとは言え、サキュバスは魔族だ。威力を抑えた【タイダルウェーブ】では、ほとんどダメージはない可能性が高い。だから、Bランク以上のチームのやつだけサキュバスと戦え。サキュバスは魔眼を持っていて、その目を見ると【魅了】をかけられるから絶対に見るなよ。Bランク未満のやつらは倒れた冒険者の回復と雑魚のトドメを頼む。よし!カミラちゃん!【タイダルウェーブ】を頼む!タイダルウェーブが終わり次第、全員突撃するぞ!」

おっちゃんが一気に指示を出す。

カミラが冒険者たちの前に出て、ウンディーネを召喚し指示を出す。

「よし、ウンディーネ!【タイダルウェーブ】を頼む!冒険者たちを殺さないように威力は落とすんだぞ!」

「了解しました、【タイダルウェーブ】!!!!」

ウンディーネが呪文を詠唱した瞬間、【ファイアウォール】を展開していた魔法使いたちが【ファイアウォール】を消して逃げる。

呪文を唱えると、ウンディーネの足元に水が突如出現し、どんどんと大きくなる。

その水が津波となり、操られた冒険者とモンスターたちを押し流す。

「よし、全員突撃だ!」

まとめ役だったおっちゃんが号令を出し、冒険者たちが突撃する。

「うっ・・・。」

カミラが魔力をほとんど使い切ったので、崩れ落ちて手を地面につける。

かなり疲れたのだろう。

その息はかなり荒い。

「カミラよくやったぞ!」

カミラをお姫様抱っこで運び、道の端っこに座らせる。

頭を撫でてあげると、カミラは嬉しそうな顔になる。

「カミラはそこで休んでいてくれ。」

あとはサキュバスさえどうにかすればどうにかなるだろう。

俺たちはカミラを守るためにここで待機しよう。

ウルファは戦場に偵察しに行っている。

「ふぅ・・・。」

これであとは他の冒険者に任せれば、終わりだろう。

俺はほっと安堵の息を吐く。

「カミラさんは大丈夫ですか?」

さっき作戦に反対していた女性が話しかけてきた。

「魔力切れを起こしただけなので、少し休めばすぐに回復しますよ。」

「そうですか。それは良かったです。」

戦闘はどうなっただろう。

俺はカミラから少し離れて、戦場の様子を見る。

冒険者たちはもはや残党狩りの様相を呈している。

しかし、俺たちは簡単なことを見落としていたことに気付いていなかった。

「え・・・?」

何かが身体にぶつかって来て、ドンッと衝撃が走る。

そして下を見ると、自分の胸から腕が生えていた。


ウルファが戦場を走り、ご主人様の元に戻る。

まだまだ生き残ったゴブリンやオークなども居るが、低ランクの魔法使いが範囲攻撃をして止めを刺していく。

もはや私が手伝っても、邪魔なだけだろう。

サキュバスは逃げたのだろうか?

冒険者たちがサキュバスを探してかなり先まで進んで行ったがまだ見つかっていない。

「ご主人様戻ったので・・・す・・・。」

ウルファが目撃したものは、血溜まりに倒れ、真っ赤に染まったマモルの姿がだった

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