第二章 第二話
部屋に戻るとカミラは既に寝ていた。
ウンディーネの召喚はかなり体力を使うので、今日のような長期戦はかなり疲れるようだ。
もちろん俺も疲れたし、これはもうクエストに行く流れじゃないな。
「それなら私はご主人様と一緒に買い物に行きたいのです!」
どうしようかと思っていると、ウルファがそう提案してきた。
「それなら、行くか。」
どうせすることなくて、暇だしな。
これが日本だったら、部屋に居ても漫画やゲーム、ネットサーフィンなど色々やれるのに。
「えへへ。ご主人様とデートなのです。」
ウルファがいつものように腕に抱き着いてくる。
別にデートじゃないっての。
「ちょっと待って!ストップ!ストップ!」
腕を組んだまま店に入ろうとするウルファを止める。
「ご主人様どうしたのです?」
不思議そうな顔をするウルファ。
俺が止まったのは、ここに入るのが嫌だからだ。
「だってここは下着を売っているところだろ!?」
そう女性用の下着専門店なのだ。
ここに入る勇気は俺にはない。
「ご主人様の好みの下着を選んでほしいのです!」
そんな力説されても!
逃げようとするが、う、腕が抜けない!
「さぁ、ご主人様。店の前で暴れたら他のお客さんの迷惑になるのですよー。」
身体能力は獣人であるウルファの方が強い。
戦っている時は戦士である俺の方が強いのだが、職業の補正は戦闘時にしか適用されない。
まぁ、モンスターと戦っている時以外であの怪力なんて出したら大変なことになるが。
俺は店の中にずるずると引っ張って行かれたのであった。
「ご主人様!これとかどうなのです?」
この世界でも何故か下着は日本のと大差ない。
ウルファが持ってきたのは、上下セットで下がローライズになっている純白の下着だ。
獣人は尻尾が生えているので、どうしてもローライズになるらしい。
できる限り早く店を出たい。
今も周りの女性たちから白い目で見られたり、クスクス笑われたりしている。
漫画だとおいしい展開じゃないかとか思っていたが、実際にする側になると恥ずかしすぎて死にそう。
一度逃げ出そうとしたのだが、ウルファに捕まって店の中に戻された。
こうなったら早く決めて、さっさと出るしかない。
だが、目の前の下着には非常に問題があった。
「あのー・・・、それ透けてるんだけど・・・。」
これでは着ていないよりかはマシ程度である。
「これならご主人様も襲ってくれるかなと思ったのです。」
襲わないよ!
ウルファって一体こういう知識をどこから仕入れているんだ!
ウルファは散々悩んでから、下着を何セットか買い、ようやく店を出ることができた。
「なんかモンスターと戦うより疲れた・・・。」
だが、本当に疲れるイベントはこの後に待っているとは夢にも思っていなかった。
ご飯も食べて部屋に戻ると、カミラはまだぐっすり眠っていた。
さすがにカミラたちが入ってくるのはともかく、自分からカミラと一緒のベッドに入るのはどうかと思って、もう一つのベッドに入る。
「疲れた・・・。」
うとうとしていると、やっぱりウルファはこっちのベッドに入ってきた。
だが、いつもだったら腕に抱き着いてくるのに、今日は違った。
「ごしゅじんさまぁ・・・。」
甘い声で俺を呼びながら、馬乗りになるウルファ。
しかも、その姿は服を着ておらず、今日買った下着しか身に着けていなかったのである。