自宅
あれから自宅に帰った響子は、寝室のベッドに倒れるように仰向けになると天井に向かって両手を差し出した。
そしてゆっくりと目を閉じて、両手を差し出したまま小さく何かを呟く
すると響子は、急に目を見開き息遣いが荒くなった。
「はぁ、はぁ……いやっ」
何かから逃げるように響子の口からは、苦しそうな声が漏れる
「来ない、で……いや」
怯える表情を浮かべる響子が表情を変える
息苦しそうに首を両手で抑え始め、少しずつ息が切れ切れになっていく
僅かに溢れたのは、殺さない、で……
そう言い残すと響子は、突然意識を無くした。
両手はシーツに力なく叩きつける
しばらくして響子が咳き込みながら身体を起こすと首に手をやる
首を抑えながら響子は、あの日何が起きたのか分かった。あなたの体験した事を全て体感して……小さく呟く響子の目から涙が流れていた。
「あなたの無念は必ず私が」
晴らしてみせる。そう言って服を握り締めた。
その時
響子の枕元に置かれたスマホが鳴り、いつものように電話に出た。
電話してきたのは、合田で今から来れるか?事件だと言われた響子はすぐに向かいます。と答え、合田から告げられた場所に向かうため寝室を出た。
自宅を出ようとした響子はふと立ち止まり、リビングのテーブルの上に置かれている日記帳を手に取る
それに静かに書き込んだ響子は、またテーブルに置くと自宅を出ていった。