事件
7月某日
蝉の鳴き声が鳴り響き、蒸し暑い日がまだまだ続くある日
「被害者は鞄に入っていた免許証によりこの近所に住む佐藤裕美、職業は教師」
死因は首を強く絞められた事による窒息死
死亡推定時刻は、死後硬直からして昨夜の23時以降でしょうか。と検死官からの報告のあと所持品を手渡された刑事の名前は小林 剛巡査長
この春この所轄に赴任した新人刑事だ
そんな彼の傍らには無表情で被害者を見つめる女刑事は不知火響子
女性でありながらキャリアであり警部という立場である。
そんな彼女は、小林の教育担当に指定されたもののこの3ヶ月ほとんど口を聞いたことはない
彼女は、しばらく被害者の顔を見つめた後
無言で立ち上がると小林の元に来ると
「じゃあ、あなたは周辺の聞き込みをお願い」
私は、単独で調べたいことがあるからと小林が呼び止める声に聞く耳もなく、どこかに行ってしまった。
急いで響子の後を追いかけようとした小林はもう一人の上司である佐々木 龍平警部がやめとけと制止された。
「えっ、ですが……」
「良いからやめとけ、彼女はちょっと不思議な人でね」
我々では、止めることなど出来ん、それに彼女は誰かが近くにいるのを嫌がる。と笑いながら小林の肩を叩くとみんな聞き込みを始めるぞ。と現場から立ち去った。
小林は、上司の言うことは絶対だと思っている為、周辺で聞き込みをすることにした。
数時間聞き込みをしたものの犯人に繋がる目撃や証言は得られず、自分の部署に戻る。
するとそこには響子の姿があった。
「あっ、不知火さん」
「有力な証言も事件当日の目撃者も何も得られなかったみたいね」
「えっ、はい……」
元々人気も少ない場所だからしょうがないわね。と自分の机に腰掛けながら呟く響子に小林は、不知火さんはどうだったんですか?と尋ねると、なぜか怪訝な表情を見せてこちらを見つめる
聞いちゃいけなかったのかと小林は、後悔していると今度は笑みを浮かべた響子は、ふと口を開く
「被害者の自宅に行ってきたのよ」
「えっ?一人でですか?」
「一人でしか行かないから、それよりも被害者の自宅に行ったらすごいのを見つけたから」
と差し出されたのは、明らかに持ってきてはいけないであろうパソコンが響子の手に握られていた。
もう片方の手にはスマホも握られていた。
「あの、そのスマホって……」
「そう、被害者の佐藤裕美の物、さっき現場の被害者の持ち物から持ってきた」
「それに被害者の家からはパソコンとか、勝手に持ってきたらいけないんじゃ」
「捜査が終わったら元の所に戻すから問題ない」
いや、問題あると小林が言えるわけもなく、ただただ呆然としていると他の人たちが帰ってきたようで、響子は携帯電話を懐にパソコンは自分の鞄の中に仕舞った。
ちょっとと声をかけようとしたが、まるでこれ以上声をかけるなと言わんばかりに響子に睨まれた小林はおもわず言葉を失って、自分の机に戻ることしか出来なかった。