大変な日常
第14話
大変な日常
俺は、冷蔵庫に貼ってある担当の家事が書いてあるボードを見ていた。
『掃除・・・蓮』
『洗濯・・・蓮』
『料理・・・蓮』
・・・おかしくね?なんで、俺が全部やることになってんだ?分担しねえの?なんか、損した気分なんだけど・・・。せめてさ、料理ぐらい分担してくれよ・・・。まあ、何言っても無駄だろうけどね。
「はぁ、寝るか・・・」
このときは夜の11時です。
ピリリリリリ
「・・・起きて、朝ごはんつくらなきゃ」
現在、朝5時。みんなは、まだ寝ている。俺は料理も担当だからね。
「何作るかな?そうだなー・・・卵焼きとサラダと焼き魚でいいか」
とりあえず、俺は朝ごはんをつくり始めた。
とりあえず、出来上がると、その匂いに誘われるようにみんな起きてきた。・・・食い意地張ってんなみんな。
「・・・おはよう~蓮。ああー、いい匂い」
「おはよう、蓮君。あら、おいしそうね」
「おはようございます、れなくん。おいしそうですねー」
「おはよう、蓮お兄ちゃん。おいしそうだね」
「おはよう、蓮。おいしそうだね」
なんで、みんな同じこと言うんだよ・・・。これだけ見ると、仲いいね。
「もうできてるから、みんな座ってて」
みんなに、座るよう促す。立ったままだと大変だからね。
「「「「「はーい!」」」」」
やっぱ、仲いいねみんな。
ごはんよそって、料理をお皿にもってみんなの前にだす。
「それじゃあ、食べようか」
「「「「「いただきまーす」」」」」
食べ始めると、また下を向いた。もういいよ!さっさと食べろよ!
「さっさと食べないと遅刻するよ?」
「そ、そうだね」
「そうね・・・」
「少し、急ぎましょうか」
「そうだな」
よし、これで回避はできた!あのままいってたら、昨日みたいになってたからね。ただでさえ、昨日食べたとき、みんなちまちま食べてたからな。あれは、みんな食べ終わるのに時間かかったからな。
「あ、そうそう。みんなのお弁当も、作っといたから。忘れないでね」
「ねえ・・・蓮。思ったこと言っていい?」
「ん?なに?」
なんか、入ってたのかな?
「蓮てさ・・・お母さんみたいだよね」
「・・・何言ってんの?」
なんで・・・お母さん?おかしくね?それがあだ名とか言ったら、すっげー恥ずかしいんだけど。
これが広まったら、相当いじられるんじゃないかな?
「それは、おかしくね?」
「でも、蓮君にはあってるんじゃないかしら?」
「たしかに、れなくんはそういう世話好きな性格してますよね」
あー、このパターンは読めたわ。ほか2人も言ってくるんだろ?それ以前に、男の俺がお母さんって。
「このあだ名?男の俺につけるのは変じゃね?普通、お父さんだよね?」
「いや、だって蓮、家事全般出来るじゃん。そんな、お父さんあまりいないんじゃないかな?」
「桜姫、その言い方は全世界のお父さんに失礼だよ?」
そんなお父さんだって、いるかもしれないじゃないか!
「それに、これはまだ向こうで暮らしてた時に、自分で調べて自分で学んだんだ。父さんは忙しかったからね。だから、俺がやらなきゃダメだったんだよ。・・・って、みんなどうしたの?」
また、うつむきだしたんだけど?なんかしたっけ?まずい事でも言ったのかな?
「どうしたんだ?みんな」
「お父さんの事、また思い出させちゃったね」
「桜姫には話したけど、みんなには話したっけ?」
おかしいな、みんなには話してなかったんだけどな。
「ごめん、蓮。私が教えたの」
「そうなのか・・・まあ、みんなが知っても大丈夫だから。謝らなくても大丈夫だよ、桜姫」
まずい、このままだと暗い空気が続いてしまう・・・!
「そ、それより。早く食べちゃおう」
「そうだね」
とりあえず、何とかなったな。まあ、この後はさっさと食べて、用意を済ませた。
「戸締りちゃんとしたか?」
「大丈夫だよ」
「こっちも大丈夫ですよ」
「こっちも大丈夫だよ、蓮お兄ちゃん」
「こっちも大丈夫だよ、蓮」
「じゃあ、行くか」
もちろん、ここに住む全員での登校になる。こんな状態で学校に行ったら、さぞ恨まれるだろうなー。
下駄箱には、ラブレターが入ってるんじゃなくて、脅迫状まがいなものが入ってるんじゃないかな?
うん、予想通り。やっぱり、キッツい視線が飛んでくるよ。痛い、激痛だよ。どうにかなんねえのかな?
この痛い視線を受けながら教室へ向かった。
昼休み
朝は教室へ着くなり、俺は机に突っ伏した。・・・どこえいっても、休まるところはないのか・・・畜生っ!とか、思っていた。昼休みも、みんなで食べようとか提案したけど、『みんなで食べてて、俺は隼と食べるから・・・』と、言っておいた。
「大丈夫か?蓮」
隼が話しかけてきた。ちょうどよかったけど、きついな。
「あ、ああ。隼か・・・俺は・・・もう、ダメだ・・・」
「とりあえず・・・屋上行くか?」
「そ、そう・・・だな」
俺と隼は屋上に向かった。
「何があったんだ?蓮。何か悩み事があるなら、相談に乗るぞ?」
「そ、そうか・・・ありがとう」
隼なら他言はしないから、安心できるな。持つべきものは、親友だな。
「実はな、どういうわけか心の家が持ってる、アパート?にみんなで住むことになったんだよ。それで、家事全般が俺の担当になっちまってな。しかも、ろくなことがないうえに、学校でしかなかった面倒なことが家でも起きるんだぜ?問題以外の何物でもねえよ。それに、学校へはみんなで行くことになってるからな。そのせいで、男子たちの視線がきつくてね」
「・・・ずいぶんと急なことになったな。大変だな・・・蓮も。頑張れよ、蓮」
「うん・・・ありがとう。隼」
あの日から、俺は絶対にないであろう日常の住人になってしまった。
あの日の俺に会えるのなら、気をつけろといいたい。
こんにちは、妖夢です。数話学校じゃないところの話が続いたので、やっと学校の話に入れました。
それでは、また次回。