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プロローグ
俺が目覚めたのは西暦2112年。
そして俺が生み出されたのは西暦2100年だと記憶に保存してある。
俺は戦争用に生み出された戦闘用アンドロイドと言うことらしい。
俺の名前は目覚めた日にちなんで『コード2112』。
『名前』とは不便だ。
勝手に付けられた呼称を一生背負わなければならない。
そして試作品のせいか、俺にはないものがあるらしい。
幸か不幸か。
俺には『心』と言うものがなかった。
喜び
悲しみ
怒り
楽しみ
後悔
嫉妬
全てにおいて欠落した俺は俺を欠陥品として扱う。
そして見返してやるのだ。
俺に『心』を植えつけなかった科学者共を。
俺が持っているのは右手に内蔵されたコンバットナイフ。
人間は『服』を着て、『歩い』て行動するという情報を元に俺は研究所を抜け出した。
何も心配することはない。
俺の旅立ちを祝ってくれたのは小鳥達だけだった。