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NAGI ―神様と共に私を見つけるまで―  作者: 安藤真司
私編 3 ―end my order ?―
23/72

私が悪夢に苛まされるまで

あなたは、過去に戻りたい?


そんなことを聞かれた。

誰だろう。

見たことのない女の子が目の前にいる。

辺りは一面真っ白で、私と、その子しかいない。

それしか見えない。

顔どころか全身の輪郭もぼやけているせいで、その女の子のことをよく見れない。

なんとなく、その子は白いワンピースを着ている気がする。

なんとなく、私も白いワンピースを着ている気がする。

再び女の子が口を開く。


あなたは、過去に戻りたい?


うーん。

そうだね。

あんまり、わかんないな。

いやだって、ねぇ。

記憶がないものでして。

どちらとも言えないような。

戻るって言われても、困るっていうのが本音で。

いきなりすぎてどう考えたらいいものかわからないよ。

そもそも自分がどうしたいのか、とかよくわかんないし。

戻りたいって気持ちも嘘じゃないし。

戻りたくないって気持ちも嘘じゃない。

誰だってそんなのすぐに決められないよ。

皆、相反する気持ちが共存したまま生きていると思う。

ナギだって、同じことを思ってると思う。


あなたは、過去に戻りたい?


戻りたいけど、ね。

戻りたくない気持ちの方が強いかな。

確かに私は『私』を探してる。

『彼』を『鈴鳴繋』を探してる。

それはもう、今の私より大切なものじゃない。

今の私を司る、根本じゃない。

私は、今を捨ててまで過去に戻りたいなんて思っていない。

過去を取り戻せるとしても、だ。

それに、過去に戻ったって、過去の私は過去の私なりに頑張った結果が今の私なんじゃないのかな。

だから決まりだ。

私は過去に戻りたいわけじゃない。

私は過去を知りたいだけなんだ。

ナギだって、同じことを思ってると思う。


あなたは、過去に戻りたい?


戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。

戻りたい。


私の知らない私は誰?

誰なの?

あなたは私なの?

本当に私?

今の私は私?

あなたは誰?

私って誰?

誰が私なの?

知らない。

私は何も知らない。

私を知らない。

あなたを知らない。

誰も知らない。

知れない。

嫌だ。

怖い。

何も知らないことは怖いよ。

どうしてだよ。

どうして私には過去がないんだよ。

なんで。

戻りたい。

戻ってやり直したい。

こんな惨めな思いを抱えたまま生きていたくない。

私自身を掴めないまま生きていくなんてもうごめんだ。

私が私であることを証明したいんだ。

それができなきゃ私は私じゃない。

それができても私が私になれる保証はどこにもない。

結局私は私になれない。

私は私の私が私で私に私を私と私へ私も私だ。


あなたは過去に戻りたい?



「ハッ!!??……ハァッ、ハアッ、ハァ」

胸の動悸と共に急に覚醒する。

思い切りよく上半身を起こし、数秒、私はただ夢から醒めただけであることを常通り悟る。

なんだ、すごく怖い夢だった気がする。

全然内容は思い出せないけど。

「ふぅーっ」

家にいることに深く安堵して、深呼吸をする。

それでようやく息が落ち着いてきた。

汗でパジャマが体に引っ付いて少し気持ち悪い。

着替えるか。

すぐ隣で寝るナギとベルを起こさないようにそっと布団から抜け出して、さっと着替えてしまう。

カーテン越しに外を見れば、まだ全然夜中だ。

暗い。

私の心みたい。

そうだ。

私の心にはずっと悪魔が取りついている。

そいつが、少しずつ少しずつ、私を侵食してくる。

もう、かなり私はどす黒い。

理由はわからないけれど。

どうにもこうにも説明がつかないけれど。

愛すべき私の神様、収縮の神ナギが。

神様序列の折り返し地点、16位に上がった時から数日。

私が私でいられる時間がどんどん短くなっている気がする。

僅かずつだけど。

いつか私が完全にいなくなる日も来るのだろうか。

まぁ、それはどんな生命にも言えること、か。

そんな風に考えれば特に恐怖を感じるでもない。

ただ。

「ナギとベルには何て話そうか……」

隠し事をするつもりはない。

隠し通せるとも思っていない。

でも、今このタイミングで話す必要があるのか。

それによって何か解決策が生まれるのか。

わからない。

正解が見えない。

自分の事となるとやっぱり何が良いのかわからなくなっちゃうね。

他の人の悩みなら、すぐに課題が見えるんだけど。

それに、ナギとベルでも、たぶん。

私の問題に良い案が浮かぶとは思えない。

私情が入りすぎて、頭が回らないんじゃないかな。

少なくとも私は、ナギの記憶について直接的には何も手伝えないと思ってる。

もう他人事には思えないから、ね。

なら誰か他に、全く別の目線から話を聞いてくれそうな人とかいないかなぁ。

結構知識もあって、私の記憶の話も出来て、かつ相談ができそうな。

そんな。

都合のいい。

誰かが。

いてくれたらなぁ。



…………。

あ。

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