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NAGI ―神様と共に私を見つけるまで―  作者: 安藤真司
私編 2 ―神の宴―
13/72

私が天候に追い詰められるまで

倒す、と言ったものの。

たぶん倒せないので。


まずは考える。

大丈夫、今の私は怒っているけれど自分を保ててる。

冷静だ。

天候の神、ツユキと睨みあう。

と言っても睨んでいるのは私の方だけなんだけど、ね。

序列9位のツユキと、たぶん序列19位相当の私。

ふむ。

まず正面からやりあうのは論外。

コンマ一秒だって耐えられやしないだろう。

それに私のツナガレはいわゆる力で圧倒する感じの能力でもないし。

次に変則的な攻撃で不意を突く。

これも無理だ。

既にツユキに不意打ちを喰らって精神的に不利な状況だ。

それに不意打ち程度でひっくり返る実力差でもない。

後は知略をとにかく練ってみる。

これもほとんど変則的な攻撃をするのと一緒だ。

仮にツユキに弱点が見つかったとしても、たぶんそれで倒せるほどの力を私は持っていない。

最後に逃げ。

一番理に適ってはいそうだけど……やっぱこれもダメ。

ついさっき風や雷を操って私の進路を妨害したあれが、本気のはずがない。

あれ以上の攻撃を躱せるほどの力もまた、ない。


考えれば考えるほどいかに自分が無力かがわかる。

いくら強大な相手でも、私に向かって一直線に敵意やら殺意やらを発していれば対処のしようもある。

でも今は違う。

ツユキはあくまで私の足止めがしたいらしい。

それがどこまでの拘束力なのかはわからないけど。

つまり、反撃に出てきた私に対して殺傷性のある攻撃を当ててくるのかどうかまでは、わからないけど、ね。

私の事をよく知ったうえで余裕を持って対峙しているんだ。

ますます打つ手がない。

そもそも私にとれる選択肢が少ないのだ。

圧倒的な実力差。

何が起きているのか全く把握出来ていない状況。

どれだけあるかもわからない時間の制約。

神の宴が始まるまでにはまだちょっと時間があるけど。

いつ何が始まるのかがわからない。

ちらっと雪の降りしきる上空へと目をやる。

確か、神の宴の開催場所は空に展開するとかって招待状に書いてあった気がする。

正確には雲の上、だっけか。

ジャンベルが今日の内に創ることと、大勢の神が集まるには空が楽だとかそんなところなのだろうか。

「んんぅ、何か空に気になることでもあるのかなぁ?」

嫌味な言い方でツユキが私を挑発している。

明らかに挑発だとわかるからとりあえず今は無視しておく。

んー。

ひとまずツユキの力を整理してみよう。

今の時点で確認できている天候の神としての力は、

雨降らし、

風起こし、

雷落とし、

雪降らし、

辺りかな。

今空中に浮かんでいるのも風の力かもしれない。

っていうかそもそも天候の神ってなんなんだろうなぁ。

私の感覚だと、太陽神とか風神雷神とか、ね。

天候の中のある一点に集中した神様がいるような気がするけれど。

そんなことないのかな。

オールマイティにこなしちゃうのかね。

あとついでに天候って勝手に変えても大丈夫なものなのかなぁ。

この町の付近一帯が大荒れとかしてないよね?

よし。

色々ごちゃごちゃ考えてきたけどようやく纏まった。

というか、現状とれる選択肢がこれしかない。


「よし、じゃあ相手してもらうよ」

「ほほぅ、どんなアイデアが飛び出てくるのかなぁ?」

「うーん……じゃ、こんなアイデアは、どう!?」

まずは今私を宙に繋げていたツナガレを解除する。

直ぐに重力を全身に感じる。

と同時に新たなツナガレを展開する。

「ツナガレ、ツナガレ、ツナガレツナガレツナガレ!!」

私の体とツユキの背後の空気とを繋げて、一気に私の体を直線ルートでその場に引き寄せる。

さらにツユキの周りの空気同士を幾重にも繋げる。

私のツナガレの軌跡には光の束ができる。

その光の束でツユキを覆い隠すように球状に展開する。

ツユキの視界を隠した瞬間、私は今度は大きく空に飛びあがる。

これでツユキが自分の周りのツナガレをどうにかできても、私の姿をすぐには見つけられないはず。

その隙をつければ――。

私の目下で輝く光の球が急激に異常なほどの発光を見せる。

その直後ツユキがなんということもなく光の束を破って出てきた。

破られた光は散り散りになって空に溶けていく。

でも、それは私の新しい力の、有効圏内に等しい!

私はその新しい力を叫ぶ。


「ツナギアワセ!!」


その言葉をキーとして、その力は発動する。

破られ、細切れに消えていく光の欠片が再び輝きを放つ。

「あれぇ、何かなぁ?」

その、光の欠片同士の全てが、細い一直線の光で繋ぎ合わされる。

さらに。

ツナギアワセで出てくる細い光は、その道筋にあるモノを、貫く。

貫き、突き刺さる。

物理的にだ。

ツユキの周りに散った光同士は繋ぎ合わされ、ツユキの体を一斉に貫く。

ツユキがふらりと地面に落ちていく。

あれ。

こんなものが効くわけがないと思うんだけど。

意外に効いてる……?

でもどちらにせよ私は先を急いでいるんだ。

こんなで通用するならそれに越したことはない。

まぁでも、少し気味の悪い話し方をしていたし、攻撃したときの反応がどうかなんてわかりはしないか。

逃げれるなら今のうちに逃げてしまえ!

なんてことを考えていたら(もちろん本気じゃないけど)案の定地面に落ちたツユキはツナギアワセをすぐに振り払った。

「あぁ、思いのほかやるんじゃないかなぁ?」

その声は何故か私のいる空にまで届く。

「そうかい、ありがと」

「でもぉ、私はそれじゃあ退けないかなぁ?」

「だろうね、知ってる」

ツユキがグッと手を握るのが見えた。

次は何が来る――。

痛っ!?

何、今、上、から……。

って、雪がどんどん大きな氷の塊になってる!?

まずい、というかこんな天候も存在するんだ!?

まぁ今はそれどころじゃないけども!!

「ツナガレッ!」

頭上にツナガレを展開する、が。

再び風が吹くのを感じる。

来る!!

と思い身構えると、急に降ってきていた氷も風も、この数分で荒れ狂っていた天候変化の全てがピタッと止む。

「え……なに、これ」

「ふふぅ、もう君は私の能力圏内から出ることはできないかなぁ?」

どういう意味だろ。

天候を操ってるさっきからずっと能力圏内から逃げれてはいないけれど。

「あぁ、そんな表情ってことは気づいていないみたいかなぁ?」

「何を……ツナガレ!」

私は自分の体と、ここからかなり離れた空気とを繋げようと、ツナガレを、展開、し、あれ?

私の体から伸びたツナガレがある程度の距離まで行くと目標とは程遠く、滅茶苦茶な方向に飛んでいく。

しかも宙に繋げていた私の体自体も気づけばふらふらと位置がずれている。

これって。

「あはぁ、そう、仮想的な無重力、かなぁ?」

「ほんっと、神様ってこの世のあるべき法則を無視するよね」

「そりゃぁ、ただ天候を操るだけで序列9位になんかならないかなぁ?」

にしたって仮想的な無重力ぅ?

なんだそれ。

いくらなんでも私と起こしてる不思議の規模が違いすぎる!

ここまでとは予想外だった。

これ、どうすれば。

体が微妙に浮いて、上手く姿勢を保てないっ。

ツナガレ自体は本来そういう影響を受けないはずだけど、たぶんこの空間だけ、世界が捻じ曲がってるんだ。

だから、ツナガレもこの空間内でしかきちんと働かない。

隔絶されている。

まっずい。

まだ、もう少し時間が必要だ。

それにこの無重力状態が続くのもよくない。

焦りまくる私に、ニヤァと嫌な笑顔のままツユキが話しかけてくる。


「さぁ、君に策はあるのかなぁ?」

「さぁ、教える必要はないかなぁ?」


私もなるべく心の内をさらけ出さないようにシニカルに。

笑ってやった。

さぁて、どうする、私。

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