久しぶりだな。秋音。
「冬希ぃ~~~♪♪♪」
「はいはい。よしよし」
「んにゃぁ~~~♪♪♪」
秋音は僕より2つ年下の、母さんの妹の娘だ。
いとこ同士ということもあって、小さい頃からお婆ちゃんの家に夏休みやお盆、正月とかに集まってよく3人で遊んでいた。
だから他の親戚にに比べると比較的仲のいい親戚の1人だ。
……僕にとっては。
(きもっ)
「なんか言った?ミス・ゲーム脳」
「いーや別に?ていうかなんであんたがここに居るの?帰れば?」
「来ちゃいけないの?いとこなのに?酷くない?」
「あんたは別なの!さっさと帰れ!」
「え?帰らないよ?私はここに用があって来たんだし?てかあんたが自分の部屋に帰ればいーじゃん。何時まで冬希の部屋に居るつもり?あ!そっか!クソビッチはゲームばっかりしてロクに勉強しないから自分の部屋が無くなったんだね。可哀想に」
「あーもう!ホントムカつく!お兄ちゃんも何か言ってやってよ!」
第三者が見ても分かるくらいに妹と秋音は仲が悪い。
それというのも、僕達が高校にあがるまでは普通に仲の良い関係だったが、高校に入ってから他の人に影響されてかそれぞれが自分の趣味を持つようになったのが原因だ。
例えば僕なら漫画、妹ならゲームといったような感じだ。
まぁ僕達の場合は趣味、というよりはのめり込み過ぎてオタクの域に入っているのは否定できないだが。
……まぁそれはどうやら秋音も例外で無かったようで、秋音も僕達と同じように1つの趣味をオタクと呼ばれるまでに昇華した1人なのだ。
「まぁまぁ。秋音も折角来たんだから、もう少し夏峰とも仲良くしたらどうだ?」
「イヤ。冬希と仲良くしてるだけでいい。あんな人格障害異常者と一緒に居たら馬鹿になる」
「それはこっちの台詞!てかそう言う事人に言っちゃいけないって学校で教わらなかった!?」
「はいはい。どーでもいーからさっさと出ていってくれない?冬希と話したいの。長いこと会ってなかったから話したいことが沢山あるんだから。冬希と最後に会ってから今日までどれだけアニメが放送されたと思ってるの?どうせあんたには理解出来ない話ばかりなんだからさっさと帰った帰った。しっしっ」
それがアニメ。
秋音は小さい頃から自分の顔を分けてあげる空飛ぶパンや、不死身のネコとネズミのアニメなどそれはもう熱心に観ていた。
小学校になると普通のテレビ放送でしているアニメは絶対に逃さず観れない時は録画をして、中学校になるとアニメックスやスガパーなど有料チャンネルを契約して観る始末。
それぐらいならまだ普通だったが、高校生になってからは既存のアニメだけでは飽き足らず、某有名皆がニコニコして観ている動画サイトで様々な動画を投稿したり、直訳するとあなたのブラウン管という意味がある動画サイトに同じように動画を投稿して生計を建てる始末。
どちらも『アキネ』という名前で登録しており、その業界では知らぬ者は居ないぐらいの有名人となっているらしい。
たまにこいつ本当に高校生かと疑いたくなる。
「イラっ。もー知らない!ホント知らない!お兄ちゃん!」
「どうした?」
「私、この馬鹿が帰るまでお婆ちゃんの家に避難するから!お父さんとお母さんに言っといて!学校もお婆ちゃんの家から行く!」
あー…………
まぁこれも例年通りか。
仕方ないな。
「分かった。忘れ物をしないようにちゃんとまとめて行くんだぞ。持っていってやらないからな」
「分かってる!じゃあねお兄ちゃん!次に会う時は敵同士だよ!」
どこぞのライバルキャラのような捨て台詞の残して妹は自室へと戻っていった。
少しガタガタと物音がしたと思うと、玄関から出る音が聞こえた。
完全に妹が家を出ていった証拠だろう。
家の中に静寂が訪れる。
秋音が居なければだが。
「やっっっったぁ~~!!!煩いのが消えたぁ!へへーんっ!ゲームオタクは大人しく引っ込んでればいいんだよバーカっ!」
…………どうしてこの二人はこんなにも仲が悪いのだろうか。
別に趣味が違うなんてことはざらだろうに。
「なぁ秋音?もう少し夏峰と仲良く」
「出来ない!」
「ならもう少し普通に話すこと」
「も出来ない!」
「…………」
即答である。
妹よ……
お前は秋音に何をしたんだ?
「秋音、1つ聞いてもいいか?」
「なーに?」
「お前と夏峰、何かあったのか?あまりにも仲が悪過ぎるんじゃないか?趣味が云々の話じゃ無いように思えるんだが」
「趣味が云々?冬希は何も知らないの?」
「何をだ?」
「私達の仲が悪くなった理由だよ」
「いや、知らないな」
「本当に?」
「あぁ」
考えてみるもそれらしい答えは出てこない。
精々僕が知っていることと言えば高校に入ってそれぞれが自分の趣味を持ち始めたことぐらいだ。
それ以外のことは僕は本当に知らない。
「ん~そっかぁ。あいつ冬希に相談してると思ったんだけど、してなかったんだね」
「そんなに深刻なことだったのか?」
「…………うん」
おいおい。
そんな話聞いてないぞ?
今更だが早いこと解決しないとマズそうだな。
「秋音さえ良かったら話してくれないか?いつまでも喧嘩をし続けているのは疲れるだろう?」
「確かに疲れるよ。でもね?私はあいつを許すことは出来ない」
「だからどうしてなんだ?」
「だって……あいつは…………!私達が昔お婆ちゃん家に泊まってた時にあいつと遊ぼうとしたら「ゲームで忙がしいから無理」って言ったんだよ!?」
「しょぼっ!?」
「しょぼくないもん!」
「あ、あぁいやごめん!」
しまった。
つい本音が出てしまった。
……それにしてもそんなことが理由でここまで仲が悪くなってたのか?
妹の性格からしたら多分悪気は無いし、当たり前のこととして処理したのだと思う。
通りで妹が何も言わないわけだ。
ゲームの事になると周りが目に入らなくなるからな。
「冬希には多分分からないよ!私、一人っ子だからさ、近い歳の人と遊ぶのって凄い新鮮で、勿論学校の友達は沢山居るけど親戚はまた違うくて……だから私お婆ちゃん家に泊まりに行った時に冬希とあいつと遊ぶの凄く楽しみで……なのに……なのにあいつはゲームなんかを優先して遊んでくれなかった!私凄いショックだった!夏峰許すまじ!」
秋音はそんな風に思ってくれてたんだな。
今思えば確かに僕達と遊んでいる秋音は凄いキラキラしていたような気がする。
公園で遊んだり、夏は花火をして、秋は焼き芋を焼いたり、冬は雪合戦をしたり、僕だって楽しかったし。
それに高校に上がってからは全員がそれぞれの趣味に没頭し始めてそんなこともあまりやらなくなったのも事実。
それこそ多分秋音の誘いを妹が断った時が境目になっているのだと思う。
趣味の違いがお互いの仲を悪くしているんだと思っていたけど、どうやらそういうわけでも無さそうだな。
でもこれなら案外早く解決出来るかもしれない。
仲が悪い原因は昔妹が秋音の誘いを断ったから。
ようは秋音は遊び相手が居なくなって寂しいのだ。
…………多分。
ちょっと自信が持てないが二人をまた仲良く遊ぶ仲に戻してやれば万事解決なのではないだろうか?
それにはどうしたらいいか。
考える必要は無い。
丁度いいイベントが近々あるじゃないか。
これを利用しよう。
「秋音の怒りはよく分かった」
「でしょ!酷いでしょあいつ!」
「あぁそうだな。だから僕から1つ提案があるんだが聞いてみないか?」
「提案?」
「秋音、僕と一緒に今度の町民体育大会に参加しないか?」
僕の記憶が正しければ秋音と僕の家の地区は同じだったはず。
幸いにも妹は相手の地区だ。
種目もどうやら沢山あるみたいだし、仕組むのは簡単だ。
「勿論だよ!今日は元々その話をしに来たんだから!」
よし。
さぁ頑張るぞ。
秋音と妹の仲を直す為に。
前回の投稿から二ヶ月以上も経ってしまい本当に申し訳ありません!
その間に誰一人としてブックマークを解除をせずに居てくれたことは本当に嬉しく思います!
時間が空いたわりには中身が凄い薄くて本当に申し訳ないのですが、頑張っていこうと思いますのでこれからもどうかよろしくお願いします!