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UNKNOWN SOLDIER  作者: とび
8/8

カロン

間違えていた箇所があったので訂正しました。

前回から何か月たったか分かりませんがようやく続き投稿です。

今回は話の展開が前から描きたかったシーンなので個人的には今までで一番面白い回かとw

まあ作者の文章力のなさがひどいのでそれでも読んいいよという方だけどうぞ。

休暇の翌日・・・・・

彼らに新たな依頼が届いた。

プリムラとコロナリアという二つの村の周辺で使者が大量発生。

村人は村から出ることもできず、使徒を一掃してほしいとのことだった。

今回はミウ、マイ、カイ、サラと、シノ、パール、イミルの二手に分かれて、依頼をこなすことになった・・・


~ミウ側~

道中で現れた使者を倒しながら、ミウ達はプリムラへ向かう。

ミウとマイは今まで何度か任務で訪れたことのある村だ。

プリムラで作られた料理用の調味料は、世界中で人気である。

それに加え、プリムラの料理はとてもおいしいと評判で、世界中から食べに来るものは多い。

ミウとマイもその一人だった。

プリムラに近づくにつれ、だんだんと使者の数が増えてくる。

「これ以上倒すのは危険だな。奴らが進化するかもしれない。」

ミウがそう言うと、3人も攻撃をやめて走り出した。

(ふう・・・・)

カイは心中ホッとしていた。

これ以上使者と闘わなくて済むと。

前の戦いでサラに悪かったと言ったものの、そんな簡単にカイの使者に対する恐怖心が消えるわけではない。

使者が現れるたび、彼の手は震えているのだ。

「安心してると、隙をつかれるよ。」

マイがカイの横を走りながらつぶやいた。

バッとマイの顔を見る。

マイはカイを見ることなく、カイを通り越してミウの横についた。

カイはマイの背中を睨む。

(また・・・どうして分かったんだ・・?)

カイが使者に対する恐怖や、それに関する事柄を思っていると、マイが言い当てることがしばしばあった。


カイは、まるで心を読みとられているようで気に入らなかった。


プリムラへついてまず、彼らは村人に状況を確認し、宿屋で部屋を借りた。

「村周辺の使者の数はやはり異常だったな。私達だからこそ入れたが。」

ミウは水を飲みながら言う。

世界中の街や村は、互いに輸出輸入をして、生活をしている。

使者の大量発生後から、プリムラに輸入品が届けられなくなっているせいで、村人の生活が少し苦しくなっていた。

「とりあえず、さっさと倒した方がよくないか?」

カイがそういうと、ミウは考える仕草をした。

「・・・・いや、今倒してもまた現れるだろう。事実、日に日に数が増えていったとの情報が入っている。何か原因があるはずだ。」

マイとサラはその言葉にうなずいた。

「この村に、使者が好きなものがある、とか?」

サラはクスッと笑い、冗談めいたように言った。

「使者に好みがあるなんて、人間を殺す以外に聞いたことがないな。もしかしたら、そういうものが新たに現れたというのも考えられるが。」

ミウもそれに笑いながら返す。

「実は、この村にもう一組ファイターとヒーラーが派遣されている。会って話をきこう。」

ミウ達は宿屋から出ると、村の隅にある小さなバーに入った。

照明の明かりが小さくて怪しい雰囲気が出ている。

カラン。

ミウとマイは店の店主と顔見知り。

挨拶を交わすと、人目につかない奥の席に案内された。

そこに三つ編みで髪を一本にまとめた二人の男性が座っていた。

1人がこちらに気づき振り向くと、席を立ってミウに突然抱きついた。

「!!」

カイは突然の出来事に驚きを隠せず、思わず剣を出しそうになった。

「久しぶりじゃんミウ!!会いたかったで~~!!」

ミウはすかさず抱きついた男の腹にパンチをくらわした。

男の顔が歪み腹を抱えて座り込む。

「相変わらずその右手は健在やなあ、ミウ。お、初顔いるやん。新人かあ?」

座っているもう一人の男もこちらに振り向いてそういう。

二人の顔はそっくりだった。

「紹介しよう。今座り込んでいるのがレア。座っている方がレトだ。見ての通り、双子だ。」

マイは小さくため息をつくと、座り込んだレアの顔を覗き込んだ。

「ミウに抱き着くの、いい加減にしたら・・・?」

呆れ顔のマイの顔を見てレアは苦笑いを返す。

「ほな、座ってえや。」

レトがそういい、全員席に座り、カイとサラは軽く自己紹介をする。

「変わった喋り方だな。」

「出身がこーいう喋り方の奴が多い場所でな。他にもいろんな喋り方があるみたいやで?」

カイの問いにレアは満面の笑顔で返すと、レトが本題を切り出した。

ほとんどの情報は、ミウ達が村で得たのと同じであったが、レアが人差し指を立てて、まだあるんやで!と話し始めた。

「プリムラのフィールドのすぐ隣にある森なんやけどな!あそこに最近霧がでるときがあるんやって!だから明日、そこにいかへん?」

「霧か。この辺ではめずらしい現象だな。何かあるかもしれない。行ってみよう。」

明日の昼、森の前で集合。

そう決まった後、ミウとマイは宿屋に帰り、カイはうまい店があるとレアに連れ出され、サラとレトが店に残っていた。

「君はヒーラーなんか?」

レトはカクテルを揺らしながらきいた。

「ヒーラーでもあり、ファイターでもあるよ。」

「へー!すごいやん。なかなかいないんやで、両方の才能持ってるヤツって。ヒーラーは本当に能力あるかないかやし、ファイターってなろうと思えばなれるっていうやついるけど、なるまでの訓練が大変やし、運動能力大切やし、挫折するやつも結構いる。自分の周りにシールド張らずに治癒できるってすごいことやで!」

「ははっ。君は、ヒーラーなの?」

レトは一口カクテルを飲んで少し残念そうな顔をした。

「そや。残念ながらファイターにはなれんかった。挫折したのは俺なんや・・・。レアはちっさいころから運動神経良くてな。でも俺は身体があんま強くないねん。」

少し間をあけて、レトは続けた。

「でもな、ヒーラーにはなれたから。レアは強いけど、雑やからすぐケガすんねん。だから俺が治癒してないと、あいつ途中できっと倒れるからな。」

レトはサラの方を向いてにっと笑った。

「僕にも双子の兄弟がいるんだけど、戦い方が雑でね・・・。」

「そうなんか。」

「僕も闘ってるんだから、少しはケガしないようにしてほしいんだけど。彼には無理みたいだ。」

フフッとサラは笑い、水を飲んだ。

「それって、信頼されとるんやなあ。サラが強いって、絶対負けへん思ってるから、そーいうことできるんやと思うで?」

「そうだと、嬉しいよ。だったら、レアも君を信頼してるから、雑な戦い方できるんじゃない?」

二人はお互いに向き合って声を少しあげて笑った。

「なんか俺達、似てるなあ。」

「双子だし?」

レトは笑うのをやめ、前に向きなおして真面目な顔つきになる。

「ああ、そうや・・・・。双子って互いをすごく大切に思えるんや・・・。こーいうの知ってるか?双子は一つの魂を、二つに分けてるんやって。だからお互いに足りない所を補えるって。」

サラは手を組んで、グラスに入った水の表面が微妙に波立つのを見つめた。

「うん、そうだね・・・。」

段々と、水の波がグラスに広がっていく。

水に映ったサラの表情は、冷めているようで悲しそうだった。



翌朝、森の前に彼らは集合した。

今のところ、森に霧はかかっていない。

ミウが先頭をきり、中に入っていく。

途中現れた使者を倒しつつ、奥へ進んでいくと、ミウの足が止まった。

「どうした?」

カイが後ろからミウの前を覗く。

「足跡、だな。」

ミウの足先から、5歩分だけ、足跡が続いていた。

「なんや、幽霊みたいやな。途中で足跡消えるなんて。」

レアは笑いながら冗談を言い、マイの顔を覗き込んだ。

「な、何よ。幽霊なんていない!。」

マイはムッとして顔をそむけた。

「誰かいるのかもしれないな・・・。分かれて探してみ・・」

ザワッ・・・

ミウがそう言おうとした瞬間、森の中に強い風が吹いた。

「何や・・・?」

レトが眉をひそめた。

「「「「「「!」」」」」

風がやむと同時に、霧が森を包み始めた。

どんどん霧が濃くなっていく。

ミウは隣にいたマイの手をとっさに掴んだ。

「姿が見えにくい!はぐれるな!」

ミウがそう言い終わる頃には、声以外で存在を確認できないほどに濃くなっていた。

「こっちは大丈夫やで・・・ってうわ!」

「どうした!」

レアの声がした方向から、使者の声が響く。

ミウ達の前にも、使者が現れた。

「クソっ!」

ミウは剣を手にだし、使者を切り捨てる。

サラもカイもそれぞれに戦闘を始めた。

霧による視界の悪さで、どこから使者が現れるか分からない。

「うおりゃ!」

「うわ!」

カイの目の前すれすれをレアの武器が通り、カイの前髪が少し切れた。

「おい!危ないじゃないか!」

カイはレアを睨む。

レアはカイに見えるほど近くにいた。

「悪い悪い。俺の槍はよう切れるからきいつけてな。」

ニカっと歯を見せてレアは笑った。


「レト・・!大丈夫かい?」

サラは近くにいたレトの周りにいた使者を一掃し駆け寄った。

「大丈夫や。すぐにシールドはったからな。」

サラはハッと周りを見渡す。

さっきまではミウやカイの声が聞こえていたが、戦闘で離れてしまったのか、何の音も聞こえなくなっていた。

「はぐれたようだね。」

「そうみたいやな・・・。サラ、腕見せてみ。ケガしとるで。」

サラは自分の右腕を見る。

肘から少し血が出ていた。

戦闘に集中していて、全然気が付かなかったのだ。

「いいよ、自分で直せるし。」

レトは首を横にふりサラの腕を掴んだ。

「俺の出番、無くさんといてや。」

レトは笑いながら治癒を始めた。

レトの手から出た球体上の柔らかい光が、サラのケガをジワジワと直していく。

「よし、できたで。」

「ありがとう。」

さっきまで血がでていたところは、綺麗に傷がなくなっている。

「とりあえず、皆を探した方がよさそうだ・・・。」

サラはそういい、レトと前方に進み始めた。


「なーカイ?知ってるか?トイレに現れる女の幽霊の話・・・・。」

「俺は、そんなんじゃ怖がらないよ。」

冷めた目を向けられたレアは舌打ちをして面白くなさそうな顔をした。

「マイだったら面白いのになあ。」

「俺は・・・幽霊なんかより、使者の方がよっぽど怖い。」

カイは自分の両手を見つめた。

その手は小刻みに震えている。

「カイ・・・お前そんなんでやってけるんか?」

レアは槍を背中に担いでカイの震える手を見つめる。

「分かってるよ。俺には覚悟が足りないって、サラにも言われたんだ。でも、そんな簡単に、恐怖は消えない。」

「誰だって怖いのは同じやで。俺だって怖いしな。でも、少しでも使者の恐怖から皆を守れるなら、頑張れる。」

レアはカイの前に立ち、少し顔をカイの方に向けて歯をみせて笑った。

カイは震えた手を握って深呼吸をすると、レアと歩き始めた。


「ミウ、ケガしてない?」

「ああ、大丈夫だ。」

マイとミウは他の4人を探して森の中を歩いていた。

マイはそっとミウの手を握った。

「レアの言ったことが気になるか?」

ミウがそういうとマイは顔を赤くして違うよ!と強めに言った。

「そうじゃなくて・・・こうやって任務で二人になるの久しぶりだから・・。」

マイはミウの腕を掴んで下を向いて言った。

5人が来る前はいつも二人で任務をこなしていたが、最近はバラバラになることが多く、あまり人とかかわることも少なかったマイは、少しさみしい思いをしていたのだ。

ミウはマイのさみしがりな所を知っていた。

「私のパートナーは、マイが一番。分かってるだろう?」

コクン、とマイが頷く。

(5人の教育で、あまりマイにかまってやれなかったか・・・。)

かまうと言っても、普段一緒にいるだけでいいのだが、それもまともにできなかったことが、マイには辛かったのだろう。

ミウはななめ上を向き、目線だけマイに向けた。

「帰ったら、二人で街に出かけよう。どうだ?」

ぱっとマイが顔をあげて、嬉しそうに笑い、コクコクと首を振った。

「よし、はやく合流しないとな・・・。」


サラとレトは使者の気配に気を配りながら歩いていく。

視界に映るのは白一色、響くのは二人が落ち葉を踏む音だけ。

長時間この場にいるのはよくないと二人は思った。

「あ・・・・水の臭いせえへん?」

レトがそう言った瞬間、前方の霧が少し薄くなった。

二人の目の前には湖が広がっていた。

サラは湖にゆっくりと近づき、水に手でそっと触れた。

冬ではないはずなのに、水は凍るように冷たい。

サラの指先から、波紋が広がっていく。

「ん・・・?」

波紋はサラの指から外へ広がっているはずだったのに、それがかき消され、波紋がかえってきてサラの指にあたった。

「サラ・・・誰か、いるで・・。」

サラは顔を水面からはなし、視線を前に向けた。

人のシルエットが見えた。

そして、だんだん近づいてくる。

その度に水の波紋がサラの指にあたるのだ。

「水面を、歩いているね・・。」

「驚きやな・・・。」

シルエットがはっきりして、ついに顔がわかるほどに近づいた。

寮横にはね、赤に近い茶色の髪をした、サラと同じくらいの青年。

セーラー服のような長袖の服にネクタイをつけ、膝より少し上の半ズボンをはいている。

しばらく彼らはお互いを睨み続けた。


お互いにピクリとも動かなかった。

その沈黙を青年は解いた。

首を少し傾けてニコッと笑顔をつくると、口を開いた。

「初めまして、だねえ。使者を大量に発生させれば、来てくれると思ってたよ。君たちはファイター?ヒーラー?この世界の希望って言った方がいいの?」

サラは水面から手をはなし、立ち上がると、鎌先を青年に向けた。

「希望かどうかはさておき、僕らは使者を倒すためにその職についている。君はどうやら、不思議な力を使ってるみたいだけど、何者?それともファイターかヒーラーで、君の持つ能力の一部、とか?」

青年は目を丸くし、下を向いて震えだした。

「ぷっ・・・・あは、あははははははは!!!」

震えは徐々に大きくなっていき、青年は腹を抱えて笑い出した。

「何がおかしいんや!」

レトはこぶしをつくって殴る真似をする。

青年は笑うのをピタッとやめ、ゆっくり顔を上げた。

「使者だろうとなんだろうと、僕にとって邪魔な奴は排除するだけだ。あ~でも、僕は一応使者側ってことになるかな~。君たちと境界づけるならねえ~。」

サラとレトは驚いた。

今まで敵は使者だけかと思っていた。

しかし今、使者側にいると言った青年は、人の形をし、人の言葉を話しているのだ。

「どういうことや・・・。」

レトはシールドを張り、サラは鎌を握る手に力を入れる。

「サラ、俺の能力は、自分の影を操ることや。短時間しかもたん。あいつの動きを止めて倒そう。」

レトがサラにそう呟くと、サラは頷いた。

「ねえ?今から闘おうよ!僕を楽しませてよ!」

そう青年が言った瞬間、サラの後ろに青年が瞬間移動した。

青年の手がサラに触れそうになったが、サラははやくそれに反応し、鎌で防戦した。

「フッ。」

青年は鎌をピンとはねた。

グワっと強い風がサラを湖に吹き飛ばした。

ざばっ!

「ゲホッ・・・。強いね・・・。」

鎌を支えにしてサラは体制を立て直す。

レトの治癒魔法がサラの身体を包んだ。

「これぐらいで倒れないでよ~?面白くないことは嫌いなんだ。」

青年はゆっくりと後ろを向き、レトの目を見つめる。

レトはごくっと唾をのみこんだ。

青年が放つ異様な雰囲気に、レトの手はガタガタと震えだした。

「君はヒーラー専門かあ。戦えないヤツ、嫌いなんだよねえ・・・。」

レトは一歩、後ろへ後ずさる。

ヤヴァイ、こいつはヤヴァイ、はやく逃げないと、そんな考えがレトの頭を占めていた。

「だって、この僕を楽しませる力がないでしょ?」

青年が一歩レトに近づこうとした。

ところが、彼の足が動かない。

「!」

青年は自分の足を見た。

「影・・・?」

レトの影を操る能力によって、青年の足はがっしりと掴まれていたのだ。

「油断しちゃあかんで。」

額に汗を浮かべてレトがそう言うと、青年は後ろに気配を感じた。

サラが跳んで、鎌を大きく振り下ろそうとした。

「ちょっと気が緩みすぎちゃったかあ。」

青年は手でその鎌の手持ち部分を掴むと、サラごと鎌を力いっぱい放り投げた。

「サラ!」

サラは頭をつよく木に打ちつけ、そのまま地面に落ちた。

「うっ・・・・。」

「今治癒を・・・!!!」

ドスッ。

ぐちゃ、と歪な音をたて、赤い液体がレトの胸から落ち、地面の色を変えた。

「え・・・ガッ・・・。」

青年はレトの胸を貫通した手を勢いよく引き抜いた。

レトの口からも、血がどくどくとあふれ出てくる。

「な・・・んで・・・、シールドが、ある、のに・・・。」

レトはそのまま崩れ落ち、湖に顔がうまった。

「だって、僕は使者じゃない。人間だよ。」

青年はため息をついて、倒れているサラの方を向いた。

「弱すぎだなあ。飽きちゃった。次会うときは、もう少し楽しませてよねえ。ああ、名前言ってなかったね。僕は、カロンって言うんだ。死の国への渡し守の名前、だよ。覚えやすいでしょ?って、もうきいてないかあ、残念。じゃあねえ。」

カロンと名乗った青年はそういい、空高く飛び森から消えた。

サラはようやく身体に力を入れ、鎌を支えに立ち上がる。

「カロン・・・か・・・・。」

倒れてはいたが意識がなかったわけではなかった。

サラは一歩一歩、レトに近づく。

レトの頭の周りの水は、血で赤く染まっていた。

「レト・・・・死んだ・・・のか・・・?」

サラはしばらくレトの身体を見つめていた。

ザクっと、後ろから葉を踏む音がきこえ、後ろを振り向くと、レアが立っていた。

「サラ!無事だったんやな。カイと一緒にいたんやけどな、あいつともはぐれてな。お前は誰かと・・・。」

レアは言葉を失った。

サラの後ろに横たわった身体を見て、ゆっくり近づいていく。

「あ、あ、レト・・・か・・?レト、レト、レト!!!」

段々と足がはやまり、滑り込むようにしてレトの身体を起こした。

「・・・・敵に、やられたんだ・・・。」

レアは自分の耳をレトの口に近づけた。

しかし、すでにレトは息をしていない。

「嘘や・・・なんでこんな事に・・・。」

レトの顔を自分の胸に埋めるようにして、ギュウっと抱きしめる。

「こんなん、こんなん嫌や・・。レトがいなかったら、これから俺はどうすればいいんや・・・!レト、レト・・・。」

ボロボロとレアが流す涙が、赤くなった湖に波紋を広げていく。

そんなレアの背中を、サラは見つめていた。

(僕は・・・・)

サラの脳内に、一つの映像が流れる。

誰かがが、誰かの身体を抱きしめ、涙を流す映像。

ちょうど目の前で起きている光景と同じように。


サラはゆっくりと鎌を持ち上げ、勢いよく、振り下ろした。

サラの顔には、何の躊躇もなかった。



その頃カイは、レアとはぐれた後にミウ達と合流していた。

「水の臭いと、・・・血の匂いがするな・・・。」

ミウがそういってまもなく、彼らは湖に出た。

視界に入ってきたのは、赤い湖と、抱きしめられた死体、それを抱きしめる死体、そして、その前に立つ、サラ。

「何が、あったんだ・・・・?サラ、何があった。」

ミウは険しい顔つきでサラに問いかけた。

「新たな敵が現れて・・・僕達は成すすべもなかったんだ・・・。強すぎる相手だったよ・・。」

3人の顔が一気に青ざめた。

ファイターとヒーラーが3人もいて、この有り様なのだ。

「使者の進化系か?」

「いや、使者じゃない・・・。僕達と同じ、人間だった。カロンって名乗ってたよ・・・。」

(((人間!!)))

3人は目を丸くした。

人間、本来自分達の味方で仲間であるはずの存在。

敵であるのは使者とその発生源であるルシファーだけのはずだった。

「でも、僕達とは比べ物にならないくらい強い。ただの人間じゃないよ。」

サラはそういって、腰に手をあててため息をついた。

カイはレアとレトに近づいた。

「もう、死んでるのか・・・。」

「うん・・。」

カイの右目から一筋の涙がこぼれ、レアの頬に落ちる。

マイもミウの胸に顔を押し当てて、泣いた。

ミウは涙は流さず、苦渋の表情を浮かべながら、ただ静かに二人の死体を見つめていた。



村周辺のの使者は、カロンがいなくなったせいなのか、ほとんど姿を消していた。

少し残っていた使者を消し、ミウ達は一泊して帰ることにした。

レアとレトの身体は、ミウが連絡をとったファイターがグランドシティまで運んで行った。

ミウはマイが泣き止むまで部屋で付き添うと宿屋に残り、サラとカイは、レア達と初めて会ったバーで飲むことにした。

「なんでついてきたんだ、サラ。」

「カイ君がさびしいんじゃないかと思ってさ。」

少し笑いながらサラはカイに返す。

カイは昨日会ったばかりのレアとレトの事を思い出す。

特にレアとは、一緒に食べたり、森で二人になったりと、短い時間ではあったが距離をほとんど感じない仲になっていた。

「なんでこんなことに・・・・解決しても後味悪すぎるだろ・・・。」

「そうだね・・・。でも、僕はあの二人が一緒でよかったよ。」

「なんだ、よかったって。死んでいいわけないだろ。」

カイはサラを睨む。

「片割れだけ死ぬよりマシだよ。双子は、二人で一つなんだから・・・。」

「どういう意味だ?」

「あの二人にとっては、これでいいんだよ。僕は、最善の選択をしたつもりだから・・・。」

「?」

「君にはわからないことだよ。気にしないで。」

「なんだ、それ・・・。」

カイはハ-っと息を吐きながら机の上で腕を組み顔を埋めた。

カイはチラッとサラを見た。

(レアの背中の傷・・・サラの鎌でつけたような感じ・・・だった・・。まさかな。そんなことするはずないよな。)


サラは頼んだ水を見つめる。

グラスに広がる波紋を見ながら、サラの頭の中でレトの言葉がよみがえった。


(こーいうの知ってるか?双子は一つの魂を、二つに分けてるんやって。)


「・・・・そう、欠けたら意味がないんだよ・・・。」

「なんか言ったか?」

「いや、何も。」

レアとレトは関西弁?です。

結構お気に入りだったんですけどすぐ殺しちゃいました。

なんかごめんなさい(キャラに)

カロンもお気に入りですけどねw

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