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収集2

同日午前八時十五分 新宿区学園前通り


「んー、見つからないねぇ」

ヨツバが欠伸をしながら暇そうに足をのばす。

ボスからの任務で 取りあえず エイトからもらった情報…彼女の通学路だという、この小道を張っていたのだか、八時になっても現れない。

小道といっても、大通りから少し離れているというだけで建物は大通りと変わらないが人通りは少ない。


「もしかしてー、相当早い登校なのかなー。」

人通りが少ないとはいえ、男二人がただ道をブラブラしているのは、あまりに怪しいと思い、こうして近くの公園のベンチに座っているわけだが…

「暇ー」

この男…ヨツバは、暇そうに座っているだけで、ベンチからも見える通学路を見ようともしない。

…本当に彼女を探す気があるのか?

もっとも、本気で探すなら直接学校に押しかければ、一番手っ取り早いが素性を明かせない身なのでできるはずもない。


「ロクサも暇だよねー」

突然話を振られたので、取りあえず頷いて返す。

「よっし、じゃ、別の場所行く?」

これ以上待っていても来る気配は無いし、別の方法で情報収集していくほうが、よっぽど効率的だ。

そう考えて、ヨツバに向かって頷く。

「じゃ、ノビノビタイムしゅーりょー。」

お前はいつもノビノビしているがな。

心の中でそう言って、ヨツバの後に立ち上がった。


「あー。」

ヨツバは少し歩いて立ち止まり、気の抜けた声を発した。

何事かとヨツバの指差す先を見ると、小道を歩く女子学生がいた。

「…制服同じだけどー、佑乃ちゃんじゃないねぇ」

佑乃というのは、今回のターゲット。つまり、長谷川組 組長の娘の名前だ。

これもエイトから教えてもらった情報なのだが。


道をゆっくりと歩いている少女は、写真で長谷川が着ていた制服に似ているが、着崩れがひどく、スカートも長谷川佑乃の写真より短いため、一見わからない。

「んー、取りあえず話聞いてみる?」

相当派手な格好で、しかも遅刻寸前の時間にタラタラと歩いているということは、相当グレている気はするが、まともに話を聞ける自信はあった。

「よし、いつものように、作戦決行!」

ヨツバの合図で走りだし、少女がいま通って行った小道に着くと後ろからゆっくりと追いかけて行く。

少女のスピードが遅かったので、すぐに追いつけた。

手を伸ばせば届く距離に来た所で、ヨツバが笑顔で目配せしてきたのを合図に作戦開始。


「君ー、ちょーといいかな?」

ヨツバが少女の肩に手を乗せると、少女が首だけをこちらに向ける。

少女がヨツバに気をとられている隙を見て、素早く少女の前に移動し進行方向に立ち塞がった。

「なに?私急いでんの!」

予想通り、ヨツバの手を振り払った少女は前に向き直るが、進行方向を塞がれている事に気付いて立ち止まる。

「なっ、なに?なんなのよ!」

逃げられてしまう前にヨツバがもう一度声をかける。

「急いでるんなら、もっと早く歩けばいーのにー。」

「関係ないでしょ!」

「まーまー。少し質問するだけだから、ね?」

ヨツバが笑いながらそういうと、大抵の女性は言われるがままになってしまうのだが、この少女も例外ではなかった。

少し照れて俯き、耳を赤くして、

「早く、ね!」

と、先程より穏やかに言った。

それを聞いた後、コートのポケットに入っているボイスレコーダーの録音ボタンを押して、会話を見守った。


「ありがとー、君の学校に、長谷川佑乃ちゃんて子、いるかなー?」

少女は少し考えた後、思いだしたように顔を上げた。

「あぁ、いるいる。」

少女がうんうんと頷いている隙に、ヨツバはこちらに目を向けてきた。

こちらも、コクンと頷いて返す。

「どんな子なのか、教えてくれない?」


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