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八百比丘尼、異世界で放浪スローライフ  作者: アジ
三章 ソアの国

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58話 どこに行った!?

「みんながいない!」

「ホークはどこへ……!?」

  この部屋には5つベッドが並べてあった。ミクは私と同じベッドだったが、ミクもいない。ジュドーがいたはずのベッドの中に触れてみるが、シーツはもう冷たかった。同じようにホークのベッドの温度を確認したカイトは見る見る顔色を悪くして行った。


「おかしい。この部屋は中から施錠してある。外からの鍵を持っているのは僕だけのはずだ」

「え!?じゃあどこに……!?」

 この部屋には私達以外には、灯りのまわりをぱたぱたと飛ぶ数匹の蛾くらいしかいない。


「冷静に考えましょう。ホークさんたちの強さなら、ここらへんの魔獣くらいなら勝てないはずはありません。自分たちでどこか……」

「じゃあどうして施錠されてるんです」

「うーん……私達はそれぞれの魔法をコントロールして小さいものも動かせるようになったので、外に出たあと施錠したとか?」

「この鍵は魔力を込めたものだ。そう簡単ではないんですよ」

 早口に言うカイトは余裕がない。しかし、もし何かトラップがあれば、私達が外に出た途端に危険に身を晒すことになりかねない。

「そうだ、ちょっと待ってください」

 異世界へのゲートは、そもそも日本を思いながら使って繋げているものだ。この発掘場の通った道などにも繋げられるはず、と入り口からイメージして見ると、日本につなげるより容易にそこは穴を開けた。


「こうして探してみましょう」

「……分かりました」

 来た道を早送りのようにゲートを移動させて辿ってみるが、人の気配はない。やっとこの部屋の前までたどり着いたが、何よりドアの外には足跡もない。この発掘場は壁は補強されてきれいになっているが、この通路は地面は土だ。外に出ていった形跡はないようだ。じゃあ、この部屋から忽然と三人が消えたということになる。



「ホーク……」

 カイトが今にも泣きそうに肩を落とす。

「……カイトさんは、本当にホークさんのことが好きですね」

「友達なんだ、当たり前でしょう」

 鋭い目で睨めつけてくるが、今日はどこか弱々しかった。

「ホークは、僕の数少ない友人です。……何より、あいつは見たこともないほど善人で、愚かで、ほっておくとどうなるのかと心配でならない。一番苦労しているのはいつだってあいつなのに」

 ミクが王都で困っているのだと知ったとき、ホークも「ほっとけなかったんです」「ただただ、心配なんです」と言っていた。

「ホークさん、『困ってる人を見たら手を貸したくなるでしょう、人間なんですから』と、前に言ってました。あなたもそうなんですね」

「……ふふ、ホークが言いそうな言葉ですね。悪いが僕は誰にでも手を貸したくはなりませんよ」

 まあそうでしょうけど。つい笑ってしまいそうになって口を抑えるが、カイトは更に私の方をギっと睨む。

「今笑ってる場合ではないでしょう」

「笑ってませんよ」

「今、笑い声が……。いや、貴女ではない……?」

 カイトの表情に緊張が走る。ハッと私も背後を見るが、もちろんそこには誰もいない。いや、そうだった。この部屋には私達以外にもいた。


 灯りの方に魔力を向けて、重力操作の魔法をかけると飛んでいた蛾たちは次々に床に落ちた。が、1匹だけどうしても、それに逆らおうとする。全力で魔力をかけると、ついにそれは床に張り付いた。


「あなた、何者?」

 冷たくその銀色の蛾に声をかける。よく見れば蛾ではない……蝶々だ。


「もう!分かりましたわ!皆さんを開放致します!」

 女の子の声でその蝶は叫ぶ。カイトはハッとしてその蝶に近寄ると、じっとその姿を見て息を詰めた。

「……もしかして、ピジョンか……?」

「お兄様……」

 震える声でその蝶は返事をした。



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