表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八百比丘尼、異世界で放浪スローライフ  作者: アジ
三章 ソアの国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/60

57話 まだ入り口なのに

 発掘場に着いたのは、その日の昼過ぎになった。何層にもなる地下へと潜ることになるので、数日は戻れない可能性がある。準備は万端で、私とミク、ホーク、ジュドー、カイト、そしてゴーレムのカイト2号で潜ることになった。カイト2号はずっと無言でそばにいる。正直不気味だ。しかし確かにカイトの命令どおり、ホークを護ることに特化している。街を歩いていればたまに男性に声をかけられることもあるが、カイト2号が間に入り男の腕を折らんばかりに掴むので、ホークが大丈夫大丈夫と安全をアピールしなかったらどうなったことか分からない。

 私達にもひとつづつゴーレムになる魔導具は渡されたがこれとぞろぞろ歩く勇気はないので魔獣に囲まれたときなどに取っておきたい。何より不気味だし。



「ここが発掘場ですか……」

 もっと日本の炭鉱みたいなものを想像していたが、山の中腹にある神殿の奥にその入り口はあった。大きな黒い扉は鍵穴らしきものは見当たらない。

「ここは王家のものが伴わないと発掘は許可出来ない。そして土魔法の特別なものではないと扉が開かない仕組みになっています。こうして……」

 カイトが扉に手を置くと、詠唱を始める。いやに長いそれは確かに特殊なものなのだろう。扉は左右に開くのかと思えば、急にカイトの手がぐにゃりとそれを柔らかいものののように押した。

「さて皆さん、どうぞ。このまま入って下さい」

「このままって、この粘土みたいなドアに入るのか?」

 ホークの質問に、カイトは言葉では答えず背中を軽く押すと水の中に入るような軽さでホークはその中に消えていった。どうぞと目で促されて私達も続くと、中は明かりが壁に灯された長い長い廊下が続いていた。洞窟というよりは地下遺跡のようだ。


「ここはまだ整っていますが、中は整えられてない洞窟に続いていきます。いろんな魔石がある発掘場で、魔獣もそれらから力を得ています。そしてここは盗掘者から守るために迷宮になっているので、はぐれないように」

 事前にこれらのことも聞いてはいたが、思ったよりも広く感じる。遠くから何かの鳴き声や物音が聞こえて不安になる。

「ふーん、ダンジョンと言うやつだよな。ツーラ国でも訓練で潜ったことはあるけど……」

「ほう。流石だなホーク。どのような?」

「きれいな遺跡みたいだけど、トラップも多くてさ。壁とかみだりに触れないように、と習ったな。落とし穴とかあるかもしれないし」

 落とし穴は嫌すぎるんですけど……。こちらの不安を読み取ったのか、カイトはいつものように余裕綽々な笑顔を見せる。

「ご心配なく。地図を皆さんに渡しておきます。トラップなども一応チェックしてあるはず。もしはぐれて道に迷ったときはこの入り口まで引き返し、待っていて下さい」

 各自に渡された地図はかなり広い。角層が細かく書かれているが、深部だと自分がこの地図のどこにいるのか把握するのは難しそうだ。ミクには背中のマントに地図を日本から持ってきたヘアピンで留めてやる。

「さて、行きましょう」

 カイトの言うがまま、私達は発掘場の奥へと向かうのだった。



◇◇◇



 長い通路の先、階段を降りて更に長い通路の左右のあちこちに小部屋がある。中を遠目にそっと覗くと土の壁を掘り進めた形跡があった。

「昔は魔獣もここらへんに多く生息していたんですが、魔力を多く摂取できる地下の方へと住処を変えて行きました。角や爪、体液などが結晶化したものが昔はまだその小部屋にあったんです」

「なるほど……」

 カイトの説明に頷いていると、小部屋から何か小さい生き物が飛び出してきた。

「えっ!?」

「バンリ!」

 驚きそれを目で追えないでいると、ミクが小さな火球を投げつけてきた。

「ギィッ!!」

 角の生えたねずみのような生き物は声を上げて床に落ちた。小型の魔獣らしい。

「このくらいならどんどん出てきます。注意を怠らぬよう」

「はい……」

 どうにも私は危機感が人より薄いのか、鈍くて瞬発力がない。ミクは動体視力がいい。猫になる前からそう思ってはいた。きっとゲーム画面のステータスみたいなのがあったら素早さは低いんだろう……HPだけやたら高そう。


 そんな感じの小さな魔獣と戦いながら数時間進むと、発掘された形跡とは違う部屋にたどり着いた。施錠できる硬い扉もある。

「ここは休憩所です。もう外は夕方でしょうし、初日はここらへんで」

「へえ、簡易ベッドもあるのか」

 ホークが興味津々で部屋の中を見渡す。レンガで壁はきれいに整えられていて、小さな箪笥や壺などもいくつかある。

「闇の皮袋の中のものを使うほうが安全だろう。シーツやマットなども丸めて入れていましたよね?」

「あ、はい、人数分入れています」

 私がずるずると皮袋に丸めて入れていた寝具を取り出すと、ジュドーがベッドの上の埃等を風魔法で取り除く。きれいになったところで疲れた体をそれぞれそこに投げ出して、会話も少なめに眠りにつくことになった。



 私は疲労はあまり感じないが、今日はやたらと眠気が来る。なんか変な感じだな、と目を閉じると、すとんと意識はなくなった。



 次に目を覚ました時、何故か部屋に私とカイトのみになっていて私達は流石に顔を見合わせることから朝が始まった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ