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八百比丘尼、異世界で放浪スローライフ  作者: アジ
三章 ソアの国

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42話 死んだふりやさん

「私、戸籍がないので……たまに記憶喪失のふりをして戸籍を作ったこともありますが、年を取らないので身分証明書と私の外見がいずれ一致しなくなります。私、十七の頃に不老不死になりましたけど、この外見で四十代とかは無理でしょう?」

「うーん、たしかに……。三十代でもちょっと無理ある」

「ふふ、ですよね」

 子供には見えないが大人と言われると微妙な外見だ。年齢に合わせた服を着てマスクをしたりして、それでなんとか成人だと言い張ることもあったが。


「ある日、八尾望さんと、会って……私達、びっくりするほど顔が似てたんです。でも、あちらのほうが少し年上になった私、て感じで。で、一つお願いを聞いて、通帳などをもらいました」

「通帳もらったらだめでしょ!?」

「まあそれは当たり前にそうなんですけど……」

 私が昔から生きるためにいろんな犯罪をしてきたこともあるというのを知ったらきっとミクに軽蔑されるだろうと苦笑する。ミクはなんだかんだ、平和に生きてきた現代っ子だ。家庭に何かあって飛び出したらしいが、育ちも悪くないのも分かる。

「その人が、DVしてくる男から逃げたいから目の前で死んだふりをしてほしいとのことで……御礼にもらえたのが通帳と身分証明書です」

 ええ……と明らかに引き気味の顔をミクは見せてくる。猫は意外に表情が豊かだ……。

「死んだふりやさんをしてたの……?」

「まあ、そう言われたら、そうですね。おかげでアパートや携帯を借りることができました。が、八尾望さんとはそれっきり。日本からいなくなるから、と言ってその翌日にはいなくなりました。ご家族もいないそうで、誰からも連絡はありません。八尾望さんの知り合いに会ったら、妹のふりをしていいと言われたので家族のふりもしていました。それで……、ある日、噂であの崖に向かったと聞いたことがあります」

 昔からそういうことを繰り返してきたので大きな感情は八尾望には持ってはいないのだが「あなたによく似た人がそこから飛び降りたことがある」と言われたのだ。


「ふ〜ん、なるほど……。昔からバンリはそういうことを繰り返してたってわけ……。まじで今後やらないでよね……」

「根に持ってますね……」

 そこ今気にするところなんだ!?ジュドーを騙したときのことを3日にいっぺんは言ってくるので相当根に持っている。私はだいたい数時間で生き返ることができるので普段から死んだふりをすることに抵抗がなくなっていた。


「そんなわけで、多分、そうじゃないかな、と」

「そうだねえ。あんまり聞かない名字だし……。ま、会えばわかるか……てかどこにいるかのヒントくらいほしいよね」

「たしかに……」

 サクラはなぜヒントをくれなかったのだろう。まるで名前を出せばすぐに見つかるかのような、少ない情報。黒髪のひとが珍しいのであれば、たしかに特徴としては目立つのかも知れない。


 それから適当な雑談をしているうちに、ホークとジュドーは仲良く戻ってきた。ジュドーの水魔法のすごいところは、汗だくになってもきれいに体を浄化することができる。呪いとかを解く力はないが、泥や血にまみれても水魔法が得意な人なら難しくはないらしい。魔法が使えることを隠すために家での洗濯とかには使ったことはないそうだが、本当にありがたい。


「陸に上がればソアの国の王都まではかなり歩くので、体力が必要ですからね、あと数日、体力づくりに努めます!」

 元気に宣言したホークに、ミクはうんうんと頷く。後ろにいるジュドーが、何か言いたそうにもじもじとしている。まだジュドーは私達に遠慮がある。まあまだ出会って半月ちょいだから、仕方ないんだけど。


「ジュドー、どうしたんですか?」

「あの……ミクさんの家から持ってきた……ポテチというのをおやつに食べてもいいでしょうか……」

 たいへん言いづらかったが、ジュドーはこの船旅で少しだけ、肉付きが良くなった。早く陸に着かなければどうなってしまうのか。


「みんなで分けて食べるならいいよ」

 ミクがリュックから取り出すと、ホークも一緒に目をきらきらとさせる。みんなおやつ、好きすぎる。筋トレの消費カロリーより明らかに多く食べてると思うけど、船旅はもうすぐ終わるので、まあ今くらいは、と甘やかしてあげることにした。クーラーと扇風機を魔法でお世話になってることだしね。


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