表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八百比丘尼、異世界で放浪スローライフ  作者: アジ
一章 スローライフへの序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/60

25話 サクラのくちばし

 サクラと名乗った鴉は窓辺に干したハンカチを目印に深夜に訪れた。何か用事があって城に戻ったようだったが、闇にまぎれてまた抜け出てきたのだろうか。


「バンリ、ホーク、お待たせしました」

「いえ。あなたこそ、大丈夫なんですか?」

「少しならば」


 ホークは宿屋の私の泊まる部屋で鴉が本当に来るのかとそわそわして待っていたが、中々来なかったのでソファでうとうととまぶたを閉じていた。


「はっ……だれ……あっ……!?カラスが喋っている!」

「ええ、ホーク。よろしくお願いします。サクラです」

「へえ、めずらしい名前だ……」


 そういえばこの国には桜の花はない気がする。逆に見知らぬ植物は多数ある。


「ミクと脱出する流れは、この間言ったとおりですが、大丈夫ですか?」

「ミクがテラスから落ちて重症のふりをするから救護室に来る、でいいんですか?」

「はい」

 サクラは小さな頭をこくりと頷かせる。

「テラス、遠目に見てみたんですが、落ちたら即死しませんか?私が治癒魔法使えても難しいような」

「それは大丈夫です。その時が来れば分かります」

 本当に?と、疑いつつサクラを見やると、テーブルの方に羽ばたいて移動する。


「バンリ、地図をお持ちでしょう。見せて」

「はい」


王都の地図を言われるがまま広げると、サクラはくちばしでとある場所をコツコツと叩く。


「ここには民家がありますが、今は無人です。鍵を開けておくので、裏口から逃げられたらここに来てください。バンリ、あなたは気配を消す魔法が使えますね。ここまで逃げるのは難しくはないはずです。ここに潜んで気配を消していれば、捜索からは逃げられると思います」

「……分かりました。ミクからの伝言は?」

「必ず来て、とだけ」

 分かりました、と返事をするとサクラは続ける。


「ここまで逃げたら、王都から無事に脱する方法も準備してあります。なんなら、南の国に船を使い旅立つ方法もお教えします。ただ、ひとつ……私からもお願いがあります。南の国で探しものをしてほしいのです」


 親切すぎると思えばやはり裏があるのか……。眉を顰めサクラをねめつけると、私の返事を聞かずに窓の方へとまた飛んでいく。その時が来れば私には選択肢はないということかも知れない。


「では」

 勝手に約束を取り付けたサクラは、振り向きもせずにまたお城の方へと飛び立つのだった。


「怪しいですねあのカラス……」

 ホークは闇に溶けたサクラの姿を見届けて、深く嘆息してソファに座る。

「ええ……でも、ミクと今連絡を取れるのはあのカラスしかいませんし……。こんなざっくりとした計画で本当に行けるのか心配です」

 その時が来れば分かる、と言われましても……。ミクが大胆な性格だから仕方ないのかも知れないけど。不安に思いながら私はサクラのくちばしが突いた地図を眺めるしかなかった。


 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ