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年末ジャンボミニ

 年末ジャンボミニを三千円分だけ買った。くじ売り場はサービスエリアの片隅にあり年末特有の浮ついた空気が薄く漂っていた。並んでいる人たちは皆、胸の内に小さな宇宙を抱えているように見えたが私はただ惰性でその列に加わっていた。期待はしていなかった。期待しないことが、ここ数年で身につけた一種の生活習慣だった。

 結果は三万三千三百円当選だった。数字を確認した瞬間、胸が高鳴るというより少しだけ重力が軽くなった気がした。人生を劇的に変える額ではない。会社を辞めることも海の見える町に引っ越すこともできない。ただ少しだけ現実が柔らかくなる。夜のスーパーで迷わずプリンを買い喫茶店で二杯目のコーヒーを頼むことができる。それは確かな事実だった。

 当選金を手にした私は世界から小さな肯定を受け取ったような気分になった。君はまだここにいていい、と誰かに言われた気がしたのだ。悪くない。そう思いながら私は静かに新たな年を迎える準備を始めた。

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