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見た目という名の風に揺られて
透析のスタッフの中に、どうにも距離感というものを測りそこねている人たちがいる。
平然とタメ口で話しかけてくる。最初のうちは、その馴れ馴れしさに小さな違和感を覚えた。まるで、どこか知らない町の喫茶店で、いきなり隣の席の客に肩を叩かれたような、そんな乱暴な感じだ。
だけど不思議なことに、見た目が自分のタイプだと感じる看護師から同じタメ口を向けられると、その違和感はどこかへ消えてしまう。むしろ心の奥で、ひそやかに温かい風が吹き抜けるような感覚さえ生まれる。
言葉そのものは同じなのに受け取り方はまるで別物だ。
そう考えるたびに私は結局のところ見た目という曖昧で流されやすい価値に振り回されているのかもしれない、とため息のように思う。
人間の心の仕組みというのは時に驚くほど単純で、そして勝手なものだ。そんな自分を苦笑いしながら今日も透析室の白い光の中で静かに受け入れている。




