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赤鬼ラーメン

 吉備サービスエリア下り。私は赤鬼ラーメンなるものを前にすでに敗北しておりました。なぜなら赤鬼と聞いただけで、もう辛くて泣き出しそうになったからです。

 私は昔から鬼に弱い。節分の豆まきでは鬼役の父親に本気で土下座したことさえあるのです。

 しかし券売機のボタンを押してしまった。後戻りはできぬ。出てきたラーメンは真っ赤な地獄鍋かと思いきや意外にも普通の豚骨スープに赤みを少々。拍子抜けでございます。私はその瞬間「赤鬼ただの顔色の悪い人説」を確信した。

 一口すすれば――あらまあ、まろやか。豚骨のコクにピリッとした辛味。これでは赤鬼どころかちょっと怒った保健室の先生程度である。

 麺には唐辛子が練り込まれていると聞いたが私の舌は全く動じぬ。これ、練り込む必要あったのか?と製麺工場に電話したいほどである。

 たぶん練り込んだ唐辛子は途中で働くのを辞めてしまったのだろう。私と同じく根性なしである。


 最後まで食べ終えても、舌は平然。胃袋も平然。

 私はどんぶりを空にして思った。――赤鬼って案外心やさしいんだろう。

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