16/40
誕生日
母からLINEが来た。「今日は誕生日だし焼肉に行こう」
──私は、愚かにも舞い上がった。
この世にまだ、私を祝福してくれる存在が残っていたのかと。
焼肉はすでに私の口中で踊り始めカルビとロースが手を取り合いワルツを踊っていた。
ところがだ。
会計の場に立ったとき、母はまるで当然のごとく「ご馳走様、美味しかったよ」と
私はまるで屠殺場に連れていかれる牛のように財布を開いた。
お札が吸い込まれていく。私の未来も吸い込まれていく。
なぜだ、なぜ私の誕生日に私が支払わねばならぬのだ。
──そのとき母が、ぽつりと呟いた。「私が産んだ日よ感謝しなさい」
私は悟った。
誕生日とは自分が祝われる日ではない。産んでくれた母に感謝する日なのだ。言ってみれば出産チャージ。今日この日に精算させられているのだ。
ああ私はついに理解した。
母の笑顔は眩しく、そしてどこか金貸し業者のように禍々しかった。




