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裏切りの時間通り

  月に一度のレントゲン撮影。

 病院からは「午後三時には来てください」と、まるで御前会議に呼び出された家臣のように命じられる。

 私は律儀に三時きっかりスマホの時計よりも正確に到着する。

 ところがどうだ。いつもレントゲンを撮り始めるのは四時前である。しかも必ず「遅れてすみません」と丁寧に頭を下げられる。

 今日こそは文句を言ってやろうと私は胸中で拳を固めていた。「毎回、毎回いつも遅いじゃないか一体どういうつもりなんだ」と。私の心はすでに討入りの赤穂浪士のように高鳴っていた。

 ──ところが、である。

 今日に限って三時ちょうどから撮影が始まったのだ。あまりの予定通りっぷりに私は逆に狼狽した。武士の情けもなく、きっちり三時に呼ばれたのである。

 なんということだ。用意していた抗議の言葉は、すべて空振りである。せっかく練習した「ちょっと、いいですか?」のイントネーションまで無駄になってしまった。これではまるで喧嘩を売ろうと刀を抜いた瞬間に相手が土下座しているようなものである。(ものでは無い)

 結局私は、にこにこと笑って「はい、どうぞ」と言われるがままレントゲン室に吸い込まれていった。

──私の勇ましき決意はレントゲン室の白い光に透けて消ていった。


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