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透析中の暇つぶし

 透析というのは退屈だ。退屈で、そして体をじわじわと責める。

 あまりに暇だったものだから私は勝手に一つのゲームを始めてしまった。

 透析スタッフのなかにサイコパスがいる、そう仮定し透析スタッフを一人ひとり観察する、というゲームだ。

 笑ったときの顔パソコンを使う指の速さ……。そうした細部から冷酷非情な心の欠片を探し出そうというのだ。なんとまあ、くだらない。くだらないのだが、これが意外と夢中になる。

 ところが夢中になればなるほど全員があやしい。

 優しげに話しかけてくれるあの看護師も、じっと無言で機械を見ているあの技士も、どこか冷たい光を瞳に宿しているように見えてくる。

 血圧を測る仕草も針を刺す手つきも、まるで舞台の上で演じられる殺人前夜のワンシーンのようだ。

 私は透析ベッドの上で、すっかり孤立した囚人になっていた。

 この人たちは、みんな私を殺す機会を虎視眈々と狙っているのだ。

 そんな馬鹿げた考えに胸の奥が冷たくなる。するともうスタッフの笑顔がすべて偽りに思えて酸素よりも先に心が薄くなっていく。

 ゲームを始めて2ヶ月も過ぎる頃には私はすっかり鬱になっていた。

 そして、また憂鬱な気持ちで透析に通う。

 それでも私は、この愚かなゲームをやめられそうにない。

 人を信じるより疑う方が少しだけ楽で、そして少しだけ退屈しないからである。


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