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SA フードコート
昨日サービスエリアのフードコートにてのこと。
あるお客さまが困惑した面持ちで私(フードコート従業員)に声をかけたのだった。
「ラーメンを、間違えて二つ買ってしまったのですが、どうしたら……」
私は脊髄反射のように言ってしまった。
「では、二つともお召し上がりになればよろしいのでは?」
その瞬間、隣にいた社員が実に優雅に、だが断固たる態度で言った。
「申し訳ありません。返金させていただきます」
――なんと美しい正しさ。
私はただ呆けたようにそのやりとりを見つめていた。
そして、その後私は店長に注意された。
「お前少しは考えろ」
ああ、わかっている。考えれば分かることなのだ。
しかし私には、その「すぐ」が、どうにも手の届かぬところにあるのだ。
恥ずかしい。悔しい。哀しい。
だが少し笑える。人間なんて、そんなものだろう?
私は今日も少しだけ肩をすぼめて生きている。