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幽霊ですが、出席番号3番です。  作者: つまようじ田村
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第9話:透けてる俺に「写真映りいいね!」は侮辱か?


 


文化祭、当日。


クラスの出し物は【お化け屋敷】。

俺? もちろん“最奥のボス霊”です。


 


……うん、わかってた。そりゃそうだよね。


でもな。


あまりにナチュラルに選ばれると、逆にモヤっとするのなんで?


「無念、今回の主役よろしくなー!」


「はいはい。浮いてるからって軽率にラスボス任命すな」


 


そして俺は、霊的存在の自覚を胸に、黒マントとガイコツマスク(装飾のみ)を身にまとい、

最奥の薄暗い教室でスタンバっていた。


なお、役作り不要。素で怖いらしい。


 


そこへ現れたのが、クラスメイトの女子――椎名ひより(しいな・ひより)。


どこまでも明るく、どこまでもポジティブな、俺の霊体すら否定しない天然系女子である。


 


「無念くん、写真撮ってもいい?」


「え、ああ……いいけど」


 


「はい、チーズ!」

パシャ!


 


「うん!透けててすっごく雰囲気出てる!」


「褒めてる!? 怖がるどころか“映え”って言われたの初めてなんだけど!?

てか俺の存在、今日だけインスタ素材!?」


 


「SNSにあげていい?」


「ダメに決まってんだろォォォォ!!!

バズるから!! “幽霊バレ”で拡散不可避だから!!!」


 


そんな感じで幕を開けた文化祭だが――

問題はそのあとだった。


 


俺が“ボス霊”として待機していたとき、

小学生の社会科見学ツアーが突撃してきた。


 


子ども:「うわぁああああああ!!!」

親:「ちょ、やめてやめてマジでやばいやついるじゃん!」


 


「ちょっと!? 俺何もしてないよ!?

立ってただけで泣かれるってどういうこと!?

幽霊にも無実ってあるよな!? なぁ!?」


 


控室で聞きつけた担任・大島が登場。


「幽ヶ崎、お前やりすぎ」


「違うって!! 今回俺、ガチでなにもしてない回なんだってば!!!」


 


結果、俺は文化祭中に以下の記録を打ち立てる:

•写真撮影:20件

•ツーショット:15枚

•見学者号泣:45名

•SNS上昇ワード:『幽ヶ崎 透ける』『本物』『呪われてほしいほどイケメン』←!?


 


椎名ひよりが言った。


「無念くん、やっぱり主役だったね!」


「なんでそんなに嬉しそうなの!?

透けてる人間が人気出て喜ぶ世界線ってどこ!?」


 


でも、まぁ。


……悪くない。かもしれない。


 


来年の文化祭も、出たいような……

いや、やっぱ成仏したいような……


 


でもまずは次回の後夜祭だよなァァァァァ!!!!


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