第7話:転校生に「誰?」って言われた俺の立場よ
「今日から転校生が来まーす!」
HR開始直後、大島が笑顔でそう言った。
「ここにきて転校生!? 俺でさえこのクラスのノリに適応できてないのに!?
新キャラ投下って脚本家なに考えてんの!?」
「入ってこーい!」
教室に入ってきたのは、
どこかクールな雰囲気の男子――灰島 零
顔:イケメン
雰囲気:ちょっと不思議系
第一声:「よろしく。あんまり騒がしいの、得意じゃないから」
ざわつく女子陣。
俺の存在、ちょっとかすむ(※霊的にではなく社会的に)
そして事件は起きた。
俺、何気なく挨拶してみた。
「どーも、幽ヶ崎無念です。出席番号3番(死亡済)です」
……灰島、スルー。
「……ん? 聞こえてなかった?」
もう一度声かけてみた。
「え、誰?」
……は?
はぁぁあああああああああああああああああああ!?!?!?
「俺だけ!? 俺だけ見えてない!? なんで!? 今さら!?
みんな見えてるのに!? 逆にどうして俺だけ!?」
「無念くん、どうしたの?」と真中志乃。
「転校生に見えてねぇの俺だけなんだけど!?
存在感って配給制なの!?
俺の分、もしかして灰島くんに渡ってる!?」
その後もずっと、灰島は俺をガン無視。
近づくと「寒っ……なんかゾワッとした」って言って教室の隅に移動するし。
いや俺、ただの生徒(霊)なんだけど!?
「もしかして灰島くん、幽霊が見えないタイプなんじゃ……?」
「お前にそれ言われたくねぇよ、志乃!!!」
翌日――
なぜか灰島の視線がピタリと止まる。
「……なんかいる。いや、いた。いや、今そこに“喋る風”が通った」
「何その霊感の鍛え方!? スピリチュアル系の中間地点かよ!?」
ようやく灰島がこちらを見た。
「え、お前……本当にいたの!? え、ずっと!? まじで!? 嘘だろ!? うわあああああああああ!!!」
「こっちが言いたいセリフ全部言われたァァァァ!!!」
こうして俺は、クラス唯一の“見えてなかった奴”に存在をバグらせられた。
でもなぜか、それ以降――
「なんか、お前が見えるようになってから俺、ちょっと生きやすい気がする」
とか意味不明なことを言い出す始末。
「なに、俺、幽霊界の整え役みたいな存在なの?」
「うん、なんか……魂のバランスがいい」
「栄養ドリンクじゃねぇぞ俺はァァァァァ!!!!」
新たな仲間(?)が加わって、教室はますますカオスに――
俺のツッコミボイスが、明日も宙を舞う。