第6話:保健室で“体温ない”って返される屈辱よ
「……は? 体温、ない?」
「はい、“測定不能”ですねー」
保健室の先生、完全に笑ってる。
いや、マジで。ニッコニコで“お前、無理”って言ってきた。
ことの発端は朝。
「無念、顔色悪くね?」
「俺、元から透けてんのよ。色どころか概念が薄いのよ。」
でもなんかダルい気がして、保健室に来たわけよ。
もしかして、霊的に風邪ひいたのかもしれんじゃん?
で、体温計くわえて1分後――
ピピピッ
→ エラー
「エラーってなんだよ!俺の命が不具合ってこと!?
生きてないってだけで、計測不能になるのおかしくね!?」
先生が深刻そうに言った。
「幽ヶ崎……あなたね、生きてないのよ。」
「それは知ってんだわ!!! それを“今さら事実確認”みたいに言うなよ!!!
保健室ってもうちょい包み込んでくれる場所じゃないの!?」
ちなみに血圧も測ってみた。
→ 結果:カフが腕を通過
「腕、スゥッて抜けたんですけど!?
てか血ないのに血圧測らせるって何プレイ!?」
「じゃあ脈を…」
「ねぇよォォォォ!!!脈どこだよ!? 俺、存在の鼓動すらねぇわ!!!」
ベッドに寝かされたけど、当然布団はスカスカ。
むしろ俺がベッドに“取り憑いてる”感がすごい。
「幽ヶ崎くん、病名:生前疲労で出しとくね」
「病名っていうか死因の言い直しじゃねぇかそれ!!」
そんな俺を見て、隣のベッドの真中志乃が一言。
「無念くん、“魂に栄養ドリンク”って効くのかな?」
「効いたら俺、今ごろパリピ幽霊になってっから!!!
光って飛んでるからな!? それもう成仏だよ!?」
なお、保健室の記録にはこう書かれた。
患者名:幽ヶ崎 無念
症状:死亡済
診断:自然体(※物理)
俺の診断結果、もはや哲学。
次回――魂の健康診断(意味不明)へ突入……するかは知らん!!!