第1話:出席番号3番、死亡済。
「出席番号3番、幽ヶ崎無念」
「はい、死亡してまーす!」
「元気そうで何より」
いや待て、どの口が言ってんだ担任。
“死亡してまーす”に“元気そう”ってどういう脳内変換だよ。
ツッコませに来てるとしか思えねぇ。
ちなみに俺の席、他のやつと違って“1センチ浮いてる”。
なんでだよ。
誰だよ、「幽霊だし椅子もちょっと浮かしとくか」って内装こだわったヤツ。
ふざけてるのに妙に仕事細かいのやめろ。
「ねぇ幽ヶ崎くん、プリント配ってもらっていい?」
「いいけど、たぶん用紙がスゥッてすり抜けるよ?」
「じゃあ霊圧で押して回って!」
「俺はBLEACHじゃねぇんだよ!!」
給食時間――
俺の前に配膳トレイが来ない。
なぜなら、食べられないから。
そりゃそうだ。俺、物理的に存在してない。
なのに、担任がやって来て――
「幽ヶ崎、牛乳くらい飲めよ」
「飲めるか!!口からスルーして床に直行だよ!!」
「もったいないだろ」
「牛の気持ち考えて泣けってか!?」
その後、突然クラスメイトに呼び止められる。
「ねぇ幽ヶ崎、来週の掃除当番一緒だよね」
「俺にホウキ持たせる気か!? スポーンてすり抜けるぞ!?」
「気合いでいけるっしょ!」
「だから気合いで物理超越すんな!!!」
そして放課後――地獄は続く。
担任が俺の前に立ち、こう言った。
「幽ヶ崎、いったん生徒会“書記”から始めてみない?」
「待て待て待て待て待て待て待て!! 俺、まだ自己紹介しかしてねぇのに!?」
「人気投票ダントツだったんだよ。“透けててかわいい”って理由で」
「それ褒めてる!? それとも冷蔵庫の中のこんにゃく扱い!?」
「ちなみに、将来の生徒会長候補としても期待されてる」
「早すぎだろ!まだ学園祭の存在すら知らねぇんだよ俺!!
どこまで前倒しすりゃ気が済むんだこの学校!!!」
「ってことで、来週の朝礼スピーチよろしく」
「頼むから休ませてくれ、あの世で……!」
生きてないのに推薦されてる俺の明日は、透けるほどに不透明である。